0107
Side:エルトアリア
巨大な蜂? とかいうものが出て来る場所で、慌てて帰ってきたとのこと。
蜂というものを確認したが、ただの羽虫でしかなかった。
いわゆるところの生理的嫌悪感というもので固まってしまい、戦えなくなってしまったらしい。
軟弱なというべきか、仕方ないと言うべきか。
それよりも全てを終わらせており、これからは眠るだけとなる。
が、私にとってはここからが試練だ。
女王にも聞いたが慣れるまでは仕方がないとの事だったな。
魂を重ねるとは、お互いに溶け合うようなものなのだ。
己が己で無くなりそうな、それでいて非常に甘美なもの。
それは肉体や精神の快楽とは雲泥の差といってよいものであり、肉体に依存している八重ではそこまで感じぬらしい。
言うなれば、我だけ辱めを受けているようなものになってしまっている。
それが腹立たしいし、何より八重の魂が重なる事に我が耐えられぬ快楽を受けておるなど、恥ずかしくて言えるはずも無し。
にも関わらず、分からぬからかあっさりと聞いてくる。
そんなに未来の妻を虐めて楽しいか? と言いたいところであるが、黙るしかない。
知られる訳にはいかんのでな。
その事にエギルターサとグラドウェムが「ニヤニヤ」しておる事も腹立たしいのだが、そこも含めて諦めるしかあるまい。
…………しかし、八重と関わるとこうも生娘のようにされてしまうのは何故だ。
これが続くと、我が我で居られなくなりそうで少々怖い気もするが……
とはいえ、成るようにしか成るまい。そう思いてベッドに入った。
豪華な物では無いが、寝心地はこちらのベッドの方が良かったりする。
不思議な事で、妙に進んでいる部分が散見されるのも地球という星の不思議なところだ!?
……いきなり手を繋がれたが、これは耐えられるようになった。
いや、そもそも手を繋がれただけで焦る事がおかしいのだ。
だから今が普通であり、初めての時はちょっと驚いておっただけよ。
そうだ、そうに決まっておる。
くそぉ、未だに鼓動が早まる事は止められぬ。
何故にここまで我が意識せねばならんのだ。
そして何故これほどに充足を感じるのだ!
これは【共魂の契約印】だけではあるまい、確実に【精魂の雫】が影響しておるはずだ。
でなければ、我がここまでになるはずなどない。
ふぅぉ?! 突然くっついてくるヤツがあるか!
そんな密着など……いや、我は何度も八重を襲って来たわけで、何故にこの程度の事で狼狽えておるのだ?
本人の意識が有るか無いかで、ここまで変わるという事か。
となると【精魂の雫】とは………ひゃぁ!?
た、魂が近づいてきた。
しかもここ最近は重ねる速度が上がってきておる。
そもそも<記憶の宝珠>で魂の扱いに長けた者の知識と感覚を得ておる以上、何れは上手くなって当然。
しかしこの速度は幾ら何でも………!!
そ、そろそろ限界だ。
我が容易く快楽に呑まれるなどあり得ぬというのに、こんな、こんな………!!
と、溶ける!! 我が溶けて八重と一つに……! ああっ!!!
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Side:橘八重
今日もエルトアリアさんにスカされたが、隣を見ると既に眠っているようだった。
仕方ないので俺も目を瞑ってさっさと寝る事にする。
起きていてもする事は無いし、反応が無いと魂を重ねるのも上手くいっているから分からないからなぁ。
なので今日はこれで終わりだ。
さっさと寝よう。
次の日。朝起きて顔を洗い歯磨きをする。
それが終わったら服を着替え、一階のコンビニへ。
適当にパンと飲み物を買って戻り、リビングで一人食事をする。
まだ誰も起きて来てないっていうか、そもそもエルトアリアさん達って早くないんだよな。
そのうえ昨日は七尾さんまで巨大蜂で疲れたみたいだし、今はゆっくり寝かせておけばいいだろう。
もしかしたら歳なのかもしれないけど、俺はその部分にツッコむ事は無い。
死にたくないしね。
エルトアリアさん達はそもそも寿命が無いからか、年齢に対した興味も持っていない。
とはいえ人間の七尾さんは特に気になる年齢だし、絶対に口を出さない方がいい。
唯でさえ女性に年齢の話は禁句なのに、七尾さんはアラサーだからな。
確か28歳だったと思うけど、そろそろって感じだ。
30になると肌が下り坂とかCMでやってるし、色々と気を付けなきゃいけない年齢なんだと思う。
そこら辺を無神経に言うのは危険すぎるので、俺は意図的に話題を避けたりしている。
どこに地雷が埋まってるか分からないんだ。
その上で踊るつもりなんて一切ない。
これはどこの国の男性も変わらない事だろうが、女性に年齢の話は本当に危険すぎる。
70代や80代でもブチギレる人は居るって聞くし、本当に<触らぬ神に祟り無し>だよ。
朝食を食べ終わった俺は、配信部屋に行って早速ゲームを開始する。
こっちの部屋の鍵は、寝泊りしている部屋のボードに掛けてあるんだ。
なので好きに持っていっていい為、そこから取って来て開けた。
そろそろラスボスが倒せるらしいので、さっさと倒しに行こうと思う。
俺はゲームを起動してロードし、その後にカメラを確認してノートパソコンを操作。
配信を始めた。
「えーっと、現在は朝の6:42分です。
未だエルトアリアさん達も七尾さんも寝ているので、俺だけで配信を始めます。
ただし反応は返せないと思いますので、悪しからず御了承下さい。
あと、これからラスボスを倒しに行きます」
そう言っておき、俺は城から出て東に向かっていく。
お姫様を助けた洞窟を抜けて町に行き、回復した後で西へ。
既に橋を掛けてあるので先へと進み、ラスボスの居る城へと進む。
中に入って進んで行き、適当にドラゴンなどを倒していく。
ダースドラゴンのダースってなんだろう? って思うが、細かいところにツッコむなと言われたので黙っておく。
言ってもいいんだけど、配信画面が見れないしね。
「ダースドラゴンって12個入りなのか? 後11匹いる?
でも前回それなりに倒してるしな?」
ついつい口から出てしまったが、気にせずに先に進む。
配信画面で何か言っている人も居るかもしれないが、まだ朝早い。
ほとんどの人は見てないだろう。
ついにラスボスの前まで来たが、話をしなきゃいけないようだ。
「ラスボスもそうだけど、どうして自分に背を向けている相手と話すんだろうな?
まず「こっちを向け」って言うのが先だと思うけど……」
世界の半分をくれてやろうとか言われたけど「いいえ」で拒否してやった。
っていうかラスボスが何故こんな事を言ってくるんだ?
「世界の半分をくれてやるって言われて納得するヤツなんて居ないだろ。
だってコイツ殺せば全部手に入るんだし。
何でわざわざ邪魔者を生かすんだよ、あり得ないだろ」
なんでこのラスボスは悪いヤツなのに脇が甘いんだろうな?
仮に世界の半分を貰ったとしても、必ずその後で寝首を掻きに行くだろう。
そもそも半分で納得するバカなんていない。
ゼロか100かしかないんだから、元々から殺し合いしかないだろうに。
何を言ってんだか……
「なんか弱いなって思ったら変身するのか。
ベ〇イミ使えるだけのMPは残してあるし、道中の回復はやくそうを使ってる。
これは十分に勝てそうだな」
俺は攻撃しつつ大きなダメージを受けたら回復を繰り返し、そしてラスボスを倒した。
すると城の外に飛ばされ、毒沼が花畑になっていた。
「………これで終わり?
いや、城まで戻らなくちゃいけないのかな?
まあ、ル〇ラ使えばいいや」
そして城まで戻ったら王様になってくれとか言われたので、ここでも「いいえ」を選択してやった。
すると王女と旅に出るような感じで終わる。
「これで終わりか。
初めてやったけど、殴って回復してを繰り返してただけのような気がする。
これが面白いのか?」
そんな俺の呟きに、一人の人が書き込んだのでそれを見る。
『そもそもこれ初代だし、当時のゲームってこんな物だったから仕方ないさ。
ここから様々なRPGが世に出て行った、その先駆けみたいな作品だからな。
いわば日本的RPGの元祖なんだよ』
「なるほど、元祖だからこんなものなのか。
なら他のRPGは違うのかな?
でも次にやるゲームは決まってるし、RPGじゃないからお預けだ」
『次はRPGじゃないって何?
ゲームによっては人を選ぶから気を付けた方がいいぞ?』
「そうなの?
ゲームを買った店の店長が薦めてくれたヤツなんだけど、次はコレだよ」
そう言って、俺はカメラにメモリーカードを見せた。
そこには盾と剣を構えた青年が描かれている。
ただし耳が人間とは違うけど。
『最初がドラゴ〇クエストだったのに、何で次がリ〇クの冒険なんだ?
普通そこはゼ〇ダの伝説だろ?』
「そうなの?
店長はこっちの方がやりやすくて楽しいって言ってたんだけど……」
『ああ、そういう事か。
ゼル〇の伝説はチマチマした部分が多いから、確かにリン〇の冒険の方が直感的に出来るのは間違いない。
それはアクションRPGと呼ばれるタイプのゲームだよ』
「それは店長から聞いてるけど、全然違う印象を受けたんだけどなぁ。
これもRPGなのか」
俺は首を捻りながらも納得し、ゲームを消してメモリーカードを差し替えてゲームを始める。
今日は一日ゆっくり出来るから、適当に配信していよう。




