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第15話『平穏を愛する勇者ソーン!』

「ゴホッ…!な、何だ!?」


幸い?ルドルは外に出ていたため中にはソーンだけ。


煙の中から人が出てきた。


ケホッ、ケホッ…


「いや〜、成功したッスね〜」


地面に空いた穴から

ヒョイッと白衣の人物が顔を出してきた。


大きなメガネ。


紫色のツインテール。


白衣。


「あれ?太陽がない…??」


ここはどこだ?と言わんばかりに周りを見渡している


ガガァーンッ


大きな音を立てて屋根や壁が崩れる。


そこから太陽の光がこれでもかというくらいに二人を照らした。


「おぉ〜、太陽ッス〜!!かなり久しぶりの太陽は流石に美味しい」


全身で光を浴びる白衣の女性。


(なんてことだ…拠点が…庭が…)


(俺の未来がここから始まるはずだったのに…)


地に手をついてショックを受けるソーン。


「やや??これはなんと!」


ソーンを見つけると途端に近寄り隅々を凝視した。


「防護服もなしに今の爆発に耐えうる肉体…!?」

「これは是非色々試したいッスねぇ〜」


ヨダレが出てきそうなゆるい顔でそう言った。


「おい!大丈夫か!ソーン!!」


血相を変えて飛んでくるルドル。


「その女誰だ!?って拠、拠点が…俺の夢が…」


幸福から絶望へと落とされる。


「ん?」


その声にメガネがルドルに反射する。


「うお、まぶし!」

「ってあんた誰だ!?この爆発の犯人か!?」


悲しみから瞬時に戦闘モードに入る。


「んんんー??」


眼鏡をクイッと直した。


「…ここ」

「…あなた達の家ッスか?」

「俺達の夢が詰まった拠点だぁぁーー!!」


全力で叫んだ。


ーーー

ーー


「本っっっ当に申し訳ないッス!!」


風通しが良くなった拠点の中で響いた。


「まさか私の研究所の上に建物が建っているなんて…」

「まぁまぁ、ルドル。そんなに怒んないでさ」

「えっーっと、」


拠点が半壊したというのに冷静なソーン。


「あ、私はリンビアと申しますッス」

「《リンビア=オリル》“スーパー”科学者をやっております」

「このリンビアさんだってわざとじゃないんだからさ…」


(最悪はあのお金を使うか…)


「そ、そうなんッスよ」

「ここには誰も立ち入らないようにって、看板を付けていたはずなんッス」

「看板??」


ガコッ

ザギンッ!


上から植物のツルや根が絡まった硬い板が落ちてきた。


そこには立ち入り禁止のかすれた文字が書いてあった。


「これッス」

「流石に気付けないよ…」


劣化が激しく生い茂る草葉に隠され見えなくなっていた。


そんな時ルドルがやっと声を発する。


「……スーパー?」

「「ん??」」

「あんた、スーパー科学者なのか…?」

「この世界で一番だと思ってるッスけど…」


落ちていたルドルの目は「スーパー」と言う肩書きで輝きを取り戻した。


「なぁ!なぁ!どんな装置創れるんだ!?」

「ウルトラスーパービーム砲とか、飛べる翼、漆黒の闇を纏いし剣創れるか!?」


(拠点に付けようとしてたやつ…まだ気にしてたんだ)


「結論から言うと…どれも…」


ゴクン


「余裕ッスね」

「!!?」

「まじか!!!」

「はいッス。なんなら前に創ったことあるッス」

「ソーン!今の聞いたか!?」


鼻息荒くテンションが見るからに上がる。


「あ、ああ」

「俺達の理想が今ここに!!あぁ、全ての事象に感謝だ…!!」


(いや、爆発は感謝じゃないでしょ)


「でもこの拠点の修理どうしようか…また時間がかかっちゃうよね」

「あの…それなら余裕ッスよ」


申し訳なさそうに言った。


!?


「半壊させてしまったお詫びに、修理は任せてくださいッス」

「おいおい、そんなことまで出来るのか!このスーパー科学者は!」

「いや〜照れますな〜」


(何だこの二人の噛み合い方は)


「よろしく頼むぜ!リンビア!」

「俺はルドル。んでこっちがソーンだ!」

「ルドルさんにソーンさん!よろしくッス!」


こうして二人は新たなる仲間?を見つけた。


「して、リンビア女史!」

「これが我らがセブンスヘブンの新拠点最上モード設計図だ!」


満を持して設計図をだす。


「これはこれは〜、ルドル卿。流石のセンスッスな〜」


二人は設計図を見て盛り上がる。


(結局とんでもない拠点になりそうだな…)


(まぁ、今回はお金がかからないからいいけど)


「ソーンも一緒に見てくれよー!今度はこんなカッコいいの考えたんだぜー!」


ーー

ギャラクシーフィールド

マグネティックファンタジア

爆熱飛翔翼

ウルトラスーパービーム砲

……


ーー


「どうだ!?」


(もはや名前だけじゃない何か分からないものまで書いてある…)


「ちゃーんとソーンの庭もカッコよくしておいたぜ!」


下の方に小さく《ソーンの庭ネオギガンティック》と書かれていた。


「なんだよこれ!“ネオ”も“ギガンティック”もいらないよ!」

「何言ってんだー!」

「男たる者いつでも最上にカッコよくしないとダメなんだぜ?」


(カッコイイのか?これ?)


「そうッスよー!ソーンさん!」

「私がいつでもソーンさん自身もカッコよくしてあげるッスからね〜」


(空中で手をワキワキすな!)


「まぁそっちの方は二人に任せるよ。俺は庭があれば十分だ」

「おしゃー!サクッとやっちまおうぜー!」

「おー!ッス」


(……あっ!!!やべ!!ドンさんからのお金無事か!?)


(確かあの辺に…)


瓦礫をかき分ける。


ゴソッ

ゴソゴソ


「あった!」


土まみれのバッグを引っ張り出す。


「……ふぅー」


(中身は無事か?)


ゆっくり開ける。


(良かった〜、無事だ)

(しかしこのバッグ強いな)


「おや、ソーンさんなんスかー?その大事そうなバッグはー?」

「あ、これは大切なお金だよ。ここのために用意したんだ」

「いや、そんなお金はどうでもいいッス!このバッグッスよ〜!」


子供が新しい玩具を見たときのような輝く目でバッグを触る。


「こんなのどこで手に入れたんスかー!」


(お金じゃなくバッグ?)


「これは別に大したあれじゃないけど…」

「大したアレッスよ!!」

「何だ何だ?そんなにスゲーもんなのかこれ?」


ルドルも興味を持ち寄ってきた。


「このバッグに使われてる生地は、極少量しか取れない希少性の極めて高い蜘蛛の糸で作られているッス!」

「「極少量の希少性の極めて高い蜘蛛の糸??」」

「どんな衝撃にも耐え、どんな斬撃にも耐える。摩耗性を含めた耐久性性能は極S…」

「こんな代物初めて見たッス」


スーパー科学者と自負するリンビアですらこのバッグには驚いた。


「そんなんなら武器とか装備を売らずにこれ売ったら、お金なんて余裕だったかもな!」

「売るなんて!そんな勿体ないッスよ!是非私の研究所に!!」

「これそんな凄いものだったのか…」


(流石ドンさん…強盗とかに襲われても大丈夫なように、頑丈なバッグを用意してくれたのかな?)


(お陰で助かりました!ありがとうございます!)


ドンが意図したかしてないか分からない。

だけど、ソーンとの縁はこのバッグによって守られた。


「これもそうでッスけど、ソーンさん」

「あなたって人は謎が多くて興味が凄いッス」


(爆発に耐えるその肉体といい、この極S級のバッグといい)


「一体何者なんッスか?」


(何者…か…)


「ソーン!ここでかましてやれ!」


ルドルの言う意味とは、

拠点ができるまでの間に


ーー拠点を持ったらよりカッコよく名乗りたいよな〜


という一言で始まった名乗りの事である。


「俺はソーン…」

「セブンスヘブンの創設メンバーであり平穏を愛する勇者ソーン!」

「そして…」


ルドルにターンを回す。


「俺か?」

「俺はルドル…同じくセブンスヘブン創設メンバーであり名付け親」

「この仲間と拳で天まで轟く拳闘士ルドル!」


ババーーン!!


(決まったな…)

ニヤリとするルドル。


(やっぱこれなんか楽しいな)

練習の成果を出したと安心し楽しむソーン。


(だが、これっきりにしたい…)


「そしてー!私は!!」

「「!?」」

「リンビア!」

「誰が呼んだかスーパー科学者!セブンスヘブンの縁の下の力持ち!(?)」

「科学のことならすべてお任せ、プリティマッドサイエンティスト!リンビアちゃん!!」


ドガァーーン!!


「す、凄い…」

「なんて…やつだ…」


えへへとハニカム


「勝手にセブンスヘブンに加入した気持ちになっちゃったッス…」

「俺達の特訓の成果をいとも簡単に…」

「ソーン!もう決まったよな!?」


(え、何が!?)


「答えは出たぞ!リンビア!」

「へ?」

「正式にセブンスヘブンのパーティーに入ってくれ!」


ソーンの気持ちは関係なくリンビアが勧誘されていた。


「いいんスか!?やったー!こちらこそお願いしますッス!」


(これでソーンさんの肉体を…グヘヘ…)


ブルッ


(なんか寒けがしたな…)


「これでリンビアが三人目の仲間だ!後四人!」

「まだまだ楽しくなるな!ソーン!」

「はは、そうだな」


(リンビアの加入は正直いいかもしれない)


(居るだけで研究の邪魔になったり、使えない研究対象への道も開かれたぞ!)


ソーンの思惑は広がり、


新しくリンビアをセブンスヘブンに加え、


拠点のグレードアップを行う事となった。


――こうして、


セブンスヘブンは三人となった。



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