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24 つまりわたしは生きているのか死んでいるのか



 結論から申しますと、わたくし龍泉莉子、一般論的にはがっつり死んでおりました。




 千花ちゃんの予想通りというかわたしたち全員あの場で死んでたみたいです。かなりひどい事故だったようなのですが事故の内容は詳しくは聞きませんでした。

 わたしたちお葬式も終わっているんだそうです。

 わたしと小梅は近所のすずらんホールでお通夜も告別式も合同で。千花ちゃんの家はまさかの神道ということで一緒じゃなかったようです。

 お葬式が終わって火葬もされて間違いなく死んでいるということになるわけですが、この世界でナントカベリー食べたりしているわたしは生きているのは間違いないわけで、死んでいるのに生きているとかよくわからなくなってきました。難しいこと考えるとハゲるのでこの案件については当分保留というか凍結放置にしたいと思います。


 なぜ兄が死んだ妹からの電話にあっさり出たというか妹だとあっさり信用したのかというと、わたしたちの事故から二週間経ち、ようやくがんばって日常生活を送ろうよ、という気持ちになりどうにか父も仕事に復帰し兄も学校行かなきゃなーと部屋でぼんやり考えているときに(どうやらわたしのお葬式以降、父も母も兄も家から出ることもなく家でぼんやりしていたようなのですがこれも詳しくは聞きませんでした)わたしの携帯にコーヒーをこぼしてしまったと。慌てた兄はつい動転して洗面所に駆け込みわたしの携帯を洗ってしまったと。「だって砂糖入れてたからベタベタになっちゃうかもと思ったんだもん」って「だもん」って言うな男が。

 ショップにも持っていったけどどうにもならずご臨終です、と。データももちろん引き出せず。


「莉子の形見にって俺が携帯もらったんだけどさ、速攻壊しちゃってあせったよ。大丈夫、プライバシーはのぞいてない」

「別にのぞかれて困るものないからいいよ。彼氏がいたわけでもないし、エロサイト登録してたわけでもないし」

「リコさん、彼氏はいらっしゃらなかったのですか?」

「おい莉子!今の男誰だ?死神か?天使か?お前天国行けるんだよな?大丈夫だよな?」


 えーと…。

 なんでわたしはスピーカーフォンにしているんでしょうか?


「お兄ちゃんはわたしをなんだと思ってる?」

「何って幽霊だろ?お兄ちゃんが莉子の携帯壊しちゃったから怒って電話してきたんだろ。四十九日まではこっちに魂があるっていうし。お前の携帯見ながら反省してるときに俺の携帯に莉子からの着信だろ、これは間違いなく科学では説明できないパターンだな!とお兄ちゃんはすぐにピーンときたわけだ。莉子の携帯まだ解約してないし、壊れた携帯からかかってくるわけないもんな。莉子、四十九日経ったらちゃんと成仏した方がいいぞ。地縛霊とかになった場合俺が生きているうちはいいけど俺とか莉子の友達が年取って死んじゃったら知り合いいなくなっちゃってさびしいからな。ところでこれ通話料かかるのか?どう記録されるんだ?」

「家族間だから料金はかからないよ、ってそうじゃなくて!あのね、お兄ちゃん……」

「……」


 どう説明しようか考えて言葉が止まってしまう。兄も何も言わずに黙って待っている。


「お兄さん、安心してください、リコさんはわたしが責任を持って守りますから」

「……」

「……」


 ってリオン!おまえがしゃべるターンじゃないだろうが!あれ呼び捨て?呼び捨て上等!

 っていうかぎゅっとするな!おかしいだろこれ!


「えーと、莉子?」

「はい、お兄ちゃん」

「そのひと、誰?」

「えーと、執事?」

「眼鏡で鬼畜?」

「いや、銀髪でドラゴン」

「イケメン?」

「うん、イケメン」

「電話切っていい?」

「切らないでーーー」

「リコさん、イケメンって何ですか?」

「やっぱり電話切っていい?」


 リオンさま、お願いですからちょっと黙っていてくださいませんか。


「待って!お兄ちゃんの方がイケメンだから!同じイケメンでもお兄ちゃんの方がタイプだから!」

「リコさん、報われない恋はあきらめたほうが」

「恋ちゃうわ!」

「恋ではないなら愛ですか?」

「愛でもないわ!」

「でもお兄さんがタイプなんですよね?」

「だからそういうんじゃないって言ってるでしょ!」

「リコさんご自分でタイプだとおっしゃってましたよ」

「話の流れで空気を読まんかい!」

「…なあ、もしかして、その男アホの子?」

「知らない。どうでもいい…」

「莉子?」

「……」

「リコさん?」

「……」


 いやいや疲れている場合ではなかった。


「お兄ちゃんあのね、千花ちゃんと小梅も一緒なの」

「おう!みんな仲良く天国行けるんだな!」

「ちがうの。なんか異世界来てるの」

「異世界?」

「うん、魔物退治の勇者を三人でするの」

「まじかーーー!!!まさかの異世界トリップだと!やっぱりチートなのか?月が二つあったりするのか?黒目黒髪が重宝されちゃうのか?料理がシンプルすぎて日本のご飯が恋しいパターンか?巨乳の魔法使いは?巫女はひんぬー美少女?あ、ひんぬーは幼女な神官か!猫耳いる?猫耳じゃなくてもいいからもふもふ系はいて欲しいなあ。勇者ってやっぱり魔法で戦うんだろ?属性何?勇者だとやっぱり光とか闇?あ、全属性か、チートだもんな。でも三人ってことは役割分担してるのか?だとすると小梅は『火』だろ、千花ちゃんは『水』だよな、シャイ~ンアクア~イリュ~ジョ~ン♪ってな感じだもんな。莉子は、莉子は…お前いまいち魔法が似合わなそうだな、せいぜいダイヤキュート☆彡ぐらいだよな、あれ魔法か?一応魔法だよな?で、お前は誰とフラグ立ててるんだ?王子様か?護衛の剣士か?まさか莉子に限って魔王フラグはないよな。いや莉子だからアリか?勇者かあ、莉子は勇者っていうより巫女タイプだと思うんだけどなあ、小梅は間違いなく勇者だろうけど。そうすると千花ちゃんは賢者の役どころか?莉子頼むからバッドエンドはやめろよ。たとえ魔王フラグでも莉子が幸せになるならその世界が魔王に滅ぼされちゃってもいいんだからな、自分の体を大事に、ってまさかお前そこの空気を読めない銀髪執事とフラグ立てちゃったりしてないよな、やめてくれよ会話が噛み合わないアホの子が義弟とか、しかもイケメンとかムカつく、勘弁してくれ!なんってこったいオーマイ……ガーーー」

「お兄ちゃん、ちょっと落ち着いて」

「落ち着いていられるか。オタクなシスコンなめんなよ!」

「どうどうどう」


 ええ、うちの兄、オタクでシスコンなんです。ご近所で有名な残念なイケメンとは我が兄、龍泉涼夜のことでございます。

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