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蓮に舞う  作者: Momamo
第1章
22/25

21.第18節:監視下の神業

人物紹介のページに今回出てくるキャラクターの紹介・画像を乗せました。

世界観についてのところの店舗欄に店主達の画像を乗せました。


今回の話はとても難しかったです。

読むのも少し難しいかもしれません。

本物の医療従事者の方、間違っていたらごめんなさい


19.第16節:君への贈り物、のページの一番下にナイフとネックレスの参考画像を追加しました。興味のある方は覗いて見てください



一一一一一一一一一一一一一一一(柚葉視点)


(蓮也が家を出た直後一一)



れんもお仕事いっちゃったし、仕事行く時間まで何しようかな。


ソファに座って、水族館でれんに貰ったチンアナゴの抱き枕を抱えながら考える。


そうだ!さっき教えてもらったナイフの動かし方、練習してみようかな!


私は急いで部屋からナイフを持ってくると机の上に置き、空を飛ぶ感覚で動かしてみる。

すると、昨日はヘロヘロだった動きが、少し拙いけどまともな動きで空を飛んだ。


「えっ!こんなすぐ上手くいくの?!さすがれん、教え方が的確だよっ!!」


それから私は夢中でナイフを動かす練習を続けた。

昨日はヘロヘロだった動きも、れんほどじゃないけど、滑らかに宙を舞うまでに成長していた。


「うんっ、とりあえずこれで満足かな!えへへっ、れん、帰ってきたらきっと驚くぞ〜!」


私は嬉しくなってその場でくるくると回った。


「あっ、そうだ!まだ陣刻むスペースがあるって言ってたよね?どうしようかな……」


このナイフを細工で使うか戦闘で使うかにもよって入れたい陣は変わってくる。

細工で使うナイフは一応既にあるから……戦闘で、もしもの時に使う用にしようかな?

いや…血を出す時に使ってたナイフとこのナイフと入れ替えよう。

れんを想いながら、れんから贈られたナイフで血を出す。

なんか、いいかも?


そうと決まれば、血の操作性をさらにあげる陣と、余裕があったら血で汚れない陣にしようっ!


私はナイフを持って作業部屋に行き、道具を取りだして椅子に座る。

れんが贈ってくれたナイフ、絶対に失敗はできない。


私はいつもより集中して陣を刻んだ。


一一・・・



「できたっ!!」


私はナイフを掲げて喜ぶ。

めっちゃ集中して陣を刻んだからか、いつもより上手く刻めた気がする。

早速試してみたいけど……何も無いのに自分を傷つけたら、れんがきっと悲しむよね。

………うん、やめておこう。


私はネックレスの収納機能を活用してナイフをネックレスに仕舞う。


(そろそろ着替えて出発した方がいいな)


私は自室に戻ってジーンズと白シャツに着替え、戸締りをして外に出る。


「よしっ!今日も一日頑張るぞ〜!」


掛け声とともに、私は歩き出した。



私の職場は緑区にある白凰医科大学附属病院というところだ。

長いから、皆は白凰病院と呼んでいる。

何を隠そう、私はこの大学出身なのだ。

偶然腕を見込まれて、生涯この病院でのみ働くことを誓ったら学費は全部タダ、必要経費も全て支払うと言われた。

高校も通ってなかった私にできるかは分からなかったけど、れんの為になるならと二つ返事で了承した。

それからは通信制の高校の学費も払ってくれて、私は医者になれた。

今まで勉強なんてしたこと無かったけど、必死に覚えて完璧にした。

今では"失敗のない天才外科医"とまで呼ばれている。

れんのために、ただその一心で、私は全てを覚えた。


だから私は、一応恩があるこの病院に言われた手術をするんだ。


…………まぁ、休みは多めに貰ってるけどね。



駅に着いた私はLUMICA(ルミカ)を取り出し改札機にかざす。

LUMICAとは交通系ICカードのことだ。

魔力で使用者を識別し、本人以外には使えない。


私は仕事のときでのみ使うようにしている。



ホームに来た電車に乗りこみ、白凰病院に向かう。

この時間の電車は空いていて、椅子にもすぐ座れるから好きだな。


私は乗り換え含めて1時間ほど電車に揺られ、目的地に着くのを待った。



一一・・・


ついた〜っ!


椅子に座れるのはいいんだけど、1時間ってちょっと長いよね?

私はそう考えながら改札を出てすぐそばにある白凰病院に向かう。


白凰病院はとっても大きな病院で、全国でも両手に収まるくらい有名な病院だ。

日々患者さんも沢山来ていて、常に人の出入りが絶えない。


私は従業員専用の裏口に回り中に入る。


「あっ、神城(かみしろ)先生!おはようございます!」


「えぇ、おはよう。」


私の本当の苗字は神城(しんじょう)なんだけど、私の腕を見込んでくれた先生が読み間違えたのをいいことに、そのまま偽名を名乗ってる。


私は更衣室に入り、深い青のスクラブを着て白衣を羽織る。

最後にIDホルダーを首から提げた。


よし。今日も頑張ろう。



まずは患者さんに今日の挨拶をしに行く。


「おはようございます。調子はどうですか?」


患者さんの名前は佐藤(さとう) 美咲(みさき)さん、45歳。


「おはようございます。調子は………今日のことが心配で、あまり眠れなかったんです……。」


「どんなところが不安ですか?」


「肝臓癌なんて………思ってもみなくて。………肝炎なんて言われたこと無かったのに………」


「B型肝炎は知らずに感染しているケース、少なくないんです。」


「………怖いですね。」


「大丈夫です。今気づけた。まだ、間に合います。」


「はい…………よろしくお願いします。」


佐藤さんは今にも消えてなくなってしまいそうな程に落ち込んでいる。


「…………それでは、今日の手術について再確認致します。今日やる手術は"肝部分切除術"です。肝臓の中央やや右寄り、上下にも少し広がっている約6.2cm×5.8cmの腫瘍を部分切除します。肝臓は再生力が高いので切ったあとも必ず回復します。麻酔が効いてるので手術は眠った状態で行います。血は必ず出ます。必要に応じて輸血をすることもあります。ただ、こちらも全力を尽くして事に当たりますので安心してください。以上の点を聞いて不明点等聞きたいことはありますか?」


佐藤さんは不安げな瞳でこちらを見つめ、フルフルと首を振る。


「……………いえ、ありません。その、今日はよろしくお願いします…。」


「わかりました。では時間になりましたら看護師が迎えに参りますので看護師の指示に従ってください。それでは失礼致します。」


私は一礼し部屋の外に出た。


はぁ。

今回の患者さん、見るからに私のことが不安なんだとわかる。

天才外科医です!なんて言って出てきたのがこんな若い女の先生なんだ。そりゃ不安にもなるよね。


でも大丈夫。私は、絶対に失敗なんてしないから。しないでみせる!


私は医局に向かった。


自分のデスクに座り、今日の患者さんの情報を再度頭に入れる。


(S5中心にS6をまたぐ。門脈右枝と接触あり……全体で約6.2cm×5.8cmの不整形腫瘍…。深部が不明瞭でリスクあり…肝硬変の所見あり…。)


真剣に見ていると、後ろから声をかけられた。


「よぉ、柚葉。今日も重役出勤か?」


「…………………………。」


私は無言で画面を見続ける。


「ちょーっと病院長に気に入られてるからって、あんま調子にのんなよ。」


「…………………………。」


「おいっ、聞いてんのか?!」


私は何も聞こえないふりをして机の引き出しを開け、奥に飾ってあるれんの写真を眺める。

この写真は、小さいけど特殊な結界が貼られていて、普通の人には見えない。


「おい、またその写真か?ぜってぇ俺の方がイケメンだろ。どう見てもよ。」


……………コイツを除いて。


(さかき) 晃司(こうじ)。私の医者としての同期。

私が天才すぎるが故に何かとイチャモンをつけてくる。

めんどくさい相手だ。


「なぁ、俺にしとけって。こんなやつよりも絶対俺の方がお前を幸せに一一」


「榊、いつもいつも突っかかってきて、なんなの?私は遊びに来てるんじゃないの。構って欲しいなら別の人のところに行って。」


引き出しを閉め、私はそう言いながら席を立つ。


「あっ、ちょ、まっ………」


「私は手術があるから。じゃあね。」


私は待たずにそのまま外に出る。


「あ〜あ、また振られたんかお前は。」


「うっ、うるせー!!いつか振り向かせてやるんだから、いいだろべつに……ッ!!」


なんて会話が繰り広げられてたのを私は知らない。



一一・・・



私は更衣室で白衣を脱ぎ、ポケットから出した金平糖を3つほど口に含んで手術控室に行く。

ここの方がよっぽど邪魔されない。


ストレッチしながら先程見ていたCT画像などをモニターに出す。

血管の位置、腫瘍の位置とサイズ、血の流れをわかる範囲で頭に入れる。

大丈夫。

今日も私は上手くいく。


時間が近づいて、看護師が私を呼びに来て、手術室に向かう。

手術室に向かう途中、手を洗う場所がある。

そこで私は無言でしっかりと手を洗い滅菌ガウンと手袋を看護師に着せてもらう。



そして私は手術室に入る。


すでに佐藤さんには麻酔がかかっていて、手術台で寝ている。


「お疲れ様です。」

「よろしくお願いします。」


「お願いします。」


看護師たちが出迎えてくれたのに挨拶を返す。


私は術野(じゅつや)の確認や器具の位置、看護師の位置、コードが術野に被っていないかなどを確認するために手術台を一周周る。


(ここから、こう切って、そしたらこうで…………うん。大丈夫そう。)


「バイタル問題なしです」


「ありがとう。」


私は定位置につく。


「タイムアウトを開始します。術者、神城(かみしろ) 柚葉先生。」


「はい。」


「患者ID3154、佐藤 美咲さん、45歳女性。血液型B型Rh+。術式は右肝部分切除術で間違いありませんか?」


「間違いありません。

腫瘍はS5を中心に、S6とS8にも部分的に浸潤あり。

アレルギーなし、B型肝炎キャリア、輸血準備あり。

ドレーン挿入予定、画像確認済み、CT第3シリーズにて病変明瞭。」


私は周りのスタッフを見回す。


「確認、お願いします。」


「患者ID・氏名、術式、左右確認しました。」

「画像確認済み、物品・輸血準備OKです。」

「麻酔、問題なし。」


「以上でタイムアウト終了です。」



部屋の空気が一気に緊張したものに変わる。


「バイタル安定してます。」


麻酔科医の言葉に、ちらりとモニターを確認する。


看護師が患者の体を固定し、術野を消毒、大きな清潔布を被せる。

手術器具が私の横に来たのを確認して、スタッフを見回す。


「…………それでは、始めます。」

「正中切開。10cm」


「メス。」


助手からメスを受けとり、手術が開始した。




まず最初に皮膚を切る。


「皮下、厚め……モノポーラ。」


手渡された電気メスで脂肪層を切り進める。

ジュッという焼ける音とともにほんのり煙が出る。


「出血、浅層です。」


「………バイポーラ。」


ピンセット型の電気メスを渡され、小さな血管を挟んでジュッと焼く。


「止血完了。続けます。」


皮下組織を切ったあとは腹直筋と腹膜がある。


「腹直筋、続けます……バイポーラ、用意」


私は慎重に筋層を焼き切っていく。


「小出血、左側。」


「止めて、………OK、続けます。」


所々血を止めながら切り進める。


「腹膜、開けます。………モノポーラ」


薄い腹膜が焼かれて破れ、中から腹腔が覗く。

そして現れた臓器を寄せ、肝臓を覆う膜を切開し、肝臓を露出させる。

私は出血しそうな血管を確認し、血の能力で抑え込む。


術野中央に右葉が展開される。


視認できる腫瘍だけど、一応超音波プローブで確認する。


「腫瘍経、約6.2cm。S5中心、S6/S8にかかる。マージン5mm取ります。」


私は電気メスで肝表面に切除部位をマーキングした。


助手がクランプを渡そうとしてきたのを私は止める。


「………クランプは要りません。」


一瞬驚いた気配がしたが、そのまま続行する。


「ここからはハーモニックで行きます。視界確保してください」


私は血の制御をしながら超音波メスで肝臓を切っていく。

切ってしまった血管はそのまま流れ出る血が糸に変わり一瞬で塞ぎ、血を止める。

表面上は出血がゼロに見えるていると思う。

私は少しの血だけこっそり別に避けておく。


そして腫瘍は取り除かれる。


「腫瘍、摘出。」


一切の出血がないように見える患部に、そこにいるスタッフは誰もが驚く。


取り出された腫瘍は看護師に渡し、私は縫合に入る。


「丸針、ください」


私は針をもらった振りをして、先程避けておいた患者の血液で針と糸を作りだす。

肝臓の切除部位の奥から手前まで全面を貼り付けるかのように血を操作して血の糸で細かく縫い合わせ、表面だけ自分の手で縫う。


「患部縫合、完了。出血、ゼロ。……ドレーン確認、漏れなし。閉創します。」


そして私は全ての場所を患者の血液で縫合していき、皮膚の部分は内側を縫い合わせ、傷跡がなるべく残らないようにした。

血の糸は少し見え方を変えていて、他の人には普通の糸に見えるようにしてある。

そして残った患者の血を薄い膜状にして傷口に貼り付ける。


看護師が傷口にガーゼを張り付け、透明フィルムで覆う。


「排液クリア、量は……問題無し。出血なし、縫合良好、異常、なし。」


私は全てを確認して看護師に報告する。


そして手術に使った器具やガーゼの数の最終チェックを行い、手袋とガウンを脱いで退室する。


「お疲れ様でした。……片付け、お願いします。」


「お疲れ様でした!」

「ありがとうございました、搬送します!」

「報告書、お願いしますね!」

「すごい神業だったな……あれ、いったいどうやって一一」

「おい、やめろ!深堀しない方がいい、あれは一一」

「バックには病院長がいるって噂だぞ一一」


様々な声を背に、私は手を洗って消毒し、更衣室に向かった。


一一・・・



更衣室で今日着てきたジーンズと白シャツに着替えて白衣を羽織ると、そのまま屋上に向かった。

途中の自販機で甘いカフェオレを買うのを忘れない。

いつも手術後に必ず飲んでいるんだ。


屋上には職員専用喫煙所があって、白凰病院に勤務している医者などがよく滞在している。


喫煙所に着くと、先客がいた。

その姿を見て、私はタバコを吸いに来たのを後悔する。

榊 晃司だ。コイツは、私がタバコを吸いに来ると高確率でいる。


「よ、よぉ、奇遇だな。」


吸えもしないタバコをくわえて声をかけてくる。

気づかれる前に立ち去ろうと思ったけど無駄だった。

諦めて私もタバコに火をつける。


「今日も最小の出血で終わったんだって?」


どこから聞いたのか、そんな話を振ってくる。


「…………………………。」


私は無言でタバコを吸う。


「いつ聞いても不思議なんだけどよ、どうやったらそんな神業みたいなことできるんだ?」


「…………………………。」


「でもやっぱ、天才と天才は一緒にいるべきだよな。柚葉もそう思わないか?」


「…………………………。」


「お、おいっ、ちょっと待てって!柚葉!」


私が吸い終わったタバコを灰皿に捨て立ち去ろうとすると、榊は火のついていないタバコを箱に戻しながら追いかけてくる。


「おい、何もそんな急がなくても……、!ははぁん、もしや柚葉、俺に照れてるのか?だからそんな一一」


「喧嘩売ってる暇あるのなら少しでも勉強したらどう?」


「なんだって一一!!」


怒りながらもどこまでもついてくる榊。

コイツは暇人なのだろうか。


「それよりも一一って、は?柚葉、お前、そんなネックレスしてたか?」


「ふふ、いいでしょ。……"大事な人"からの贈り物。」


「はぁ?大事な人……って、まさかあの写真の…!!!!」


「…………………………。」


私は無言で歩き続ける。

榊は立ち止まり、俯いている。


「…………おれっ、俺はッ!!!絶対…………ッ、ぜっったい認めないからなぁあああッ!!!!!!!」


そう叫んだかと思ったら私とは反対方向に走り去る。


(やっと行った。助かったぁ〜。)


私はため息をついて医局に向かった。



私は先程の手術の術後サマリーを作り、家族の方への説明に向かう。


私が手術の内容などの説明を行うと、泣きながら感謝してくれた。

多分、失敗すると思っていた手術がまさかの通常よりもいい終わり方をしたのが響いたんだと思う。


その後ICUに佐藤さんの様子を見に行って、今日は終わり。



帰ろうかなって更衣室に行こうとしたら、病院長に呼び出された。


病院長、名前を神代(かみしろ) 鷹臣(たかおみ)、私を医学の世界に誘った人物だ。

私の医者としての偽名である神城(かみしろ)と読みと漢字一文字が同じっていう、似ている部分もある。


私は病院長室に向かった。


一一・・・



「失礼します。」


「入りなさい。」


私は返事が返ってきたのを確認して中に入る。


「そこに座りなさい。」


私がソファに腰かけると、正面に神代先生が座る。


「今日もよくやったね。あそこまで出血が抑えられるとは。」


「見ておられたのですか?」


「あぁ、もちろん。お前の手術は、いつでも見ているよ。」


私は心の中で舌打ちをし、少し気持ち悪いなって思ったけど、口には出さない。

この人は全ての手術室に盗撮魔道具を取り付けていて、私の手術を全て見ている。

一応私の上司だし、私が医者になれたのもこの人のお陰だから私は何も言えないけど。


「これからも柚葉、お前の活躍を期待しているよ。……あぁ、そうだ。次の手術が決まったからね。次は心臓だ。楽しみにしている。」


「はい。」


「それと、君の能力は派手に使っても構わない。だが、外部に血の能力が知られることだけは避けてくれたまえ。私だけが、君のすべてを知っていればいい。」


「はい。わかりました。気をつけます。」


「よろしい。………そういえば、確か蓮也って子。まだ元気かい?」


(!!!)


「…………元気ですよ。」


「そうか………いやなに、その子を捨てて私の元に来ないかって相談をしたいんだ。柚葉……君にはもっと相応しい場所があると、私は思っているよ。いつでも迎え入れる準備はある。豪邸に住まわせてあげるし、やりたい事もやって構わな一一」


「いえ、結構です。私は蓮也と共に生きます。」


「そうか………(うーん、厄介だな。そのうち消そうか………)……じゃあ、また別の時に誘うよ。これからもよろしくね。」


「……はい。要件は以上でしょうか?」


「そうだね、帰っていいよ。気をつけて帰るんだよ。」


「はい。お疲れ様でした。」


私は立ち上がり一礼すると部屋から出る。

小さく溜息をつき、今度こそ更衣室に向かった。


更衣室で着替え、私は帰路に着く。

手術が無事成功したのはいいことだ。

だけど、手術中ずっと見張られてるのも、同期に付きまとわれるのもやめて欲しい。

どうしたらいいんだろうな………



そんなことを考えながら電車に揺られた。



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