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蓮に舞う  作者: Momamo
第1章
20/26

19.第16節:君への贈り物

今回もちょっと長いです

⚠︎ページの一番下にナイフとアクセサリーの参考画像を乗せています。AI画像なので苦手な方はご注意ください⚠︎


昨日更新後に人物紹介ページに画像を追加しました。

AIイラストなので、苦手な方は見ないようにお願いします。

宝飾工房《紡》の紹介を紹介ページに追加しました。



俺はいちごミルクを片手に刻環堂に戻る。

今度は地上を歩いてゆっくりと向かった。



「……お邪魔します。じいさん、いるか?」


刻環堂についた俺は、今度はそのまま中に入りじいさんを呼ぶ。

少したった後、じいさんが奥から顔を覗かせた。


「おぉ、れんか。ちょうど今ナイフの処理が終わったところじゃよ。ほれ、感覚を確かめてくれ。」


そう言ってじいさんは3本のナイフを持ってくる。


「………???俺が買ったのは2本だぞ?」


「まぁまぁいいから。握ってみんさい。」


そう言って差し出され、まずは柚に渡す予定の薔薇のナイフを鞘からだし手に取る。

魔力がいい具合に馴染んでいて、柚の手にも馴染みやすそうだ。

刻印もいい具合に入っている。


「使用者登録するには、根元に刻んである陣に血を1滴垂らすんだ。分解するのはTōkaなら簡単にできるであろう。」


なるほど、と思い次に蓮の花のナイフを手に取る。

………驚くほど俺の手にピッタリで、魔力を流すのも抵抗なくできる。


「俺の分に使用者登録をして陣の効果を確かめてみたいんだが、いいか?」


「あぁ、いいぞ。ちょっと待っておれ………」


じいさんはナイフを持って裏に行くと、分解されたナイフを持って戻ってきた。


俺は指を噛み切り、分解してもらったナイフの根元の陣に1滴血を垂らす。

陣は少しの間淡く光り、血を吸収して元に戻る。


「組み合わせてくるでの、ちょいと待っておれ。」


そういってもう一度裏に戻り、組み合わされたナイフを持ってくる。


ナイフに魔力を流し、俺の魔力を馴染ませる。

そのあと机に置き、少し離れてナイフにこっちに来いと魔力を飛ばす。

ナイフはなんの抵抗もなく俺の手元に飛んできて手に収まる。

今度は空を飛ぶように、糸霊器を操るように空中に浮かせて操作してみる。

俺の思った通りにナイフは宙を泳ぎ、俺の手元に戻ってくる。


「完璧だ。素晴らしい仕事だ、ありがとう。」


「いやぁ、驚いた。……お主、相当器用な人間じゃな。普通はあの陣でそんな細かい動きはできないはずなんじゃが。まぁいい、3本目も持ってみてくれ。」


そう言って差し出されたナイフは少し小ぶりで、とても軽く設計されているとわかる。

小柄な女の子でも扱えそうな感じで、護身用に持っておくのもいいだろうと思うナイフだった。

柄には鈴蘭が描かれており、これは…ブルームーンストーンか?がついている。

握ってみると、手が小さい女の子に向けたものだと分かる。

例えば、舞とかが使うのにピッタリな感じだ。

ふと鞘を外し刃の部分を見ると、"M.Lux"と書かれていた。

もしかして………


「これ、もしかしてなんだが、舞のためのものか…?」


「おぉ、やっぱり気づいたか。そうじゃよ、Tōkaには世話になっているからの、元々3人用にナイフを作っておったんじゃ。小柄な女の子と聞いていたから、そのようなナイフを作ったんだが、どうだ?

あと文字は勝手に入れてしまったが、お主の文字が"闇"って意味だったじゃろう?そして、Tōkaのやつが"守護"。だったらそのまいという子は"光"がいいかと思ったんじゃよ。

陣は少し変えてあって、手元に戻ってくる陣をなくして、代わりにナイフに込められていた魔力量に応じて防御結界が貼られるようなものにしてみた。これも余白は少し残してあるから、Tōkaに頼めば追加してくれるであろう。使用者登録ももちろん出来るようになっておるぞ。」



俺は言葉を失う。

俺が舞にナイフを贈るとしたら、今言われたものと同じようなものを選ぶと思ったからだ。


「…………じいさん、あんた、凄いな。俺が欲しかったものと一緒だ。これも買わせて欲しい。いくらだ?」


「金は要らんと言ってもお主は置いていくのであろう?まったく…そうじゃなあ、さっき余分に貰ったのを引くと追加で2万じゃな。」


じいさんはナイフを全て鞘に仕舞い、綺麗な箱に入れて包んでくれる。

蓮の花のナイフ以外の2つのナイフの箱にはラッピングまでしてくれた。


「そうか。」


俺は財布から4万円を取りだし机に置く。


「ありがとうじいさん。いい買い物が出来た。また何かあれば買いに来る。Tōkaのことも、よろしく頼む。」


俺は3つの箱を封環にしまい、店の外に出ようとする。


「おい、ちょっと待て、また多いぞ?!戻ってこーい!」


「いいから、それはTōkaに使ってやってくれ。」


そう言って外に出た俺はじいさんを待たずに空に飛びあがる。


後ろから声が聞こえてくるが、俺は無視して後ろを振り返らずに手を振って栄方面に飛ぶ。



一一・・・


また栄の裏路地に降り立ち、時間を確認する。


今は18時近くか…

大体あと2~3時間でアクセサリーができる感じか。


1度家に戻ってもいいし、ブラブラしててもいいな…どうしようか……


俺は悩んだ末、柚葉に帰りが遅くなる旨を書いたメールを送る。


今他に買いたいものなどは思いつかないし、とりあえず空中散歩の続きに行こうか。


「あっ、その前に、口座からアクセサリー用のお金を下ろしておかなければいけないな…」


大体いくらだろうか、つむぎが言っていた金額を思い出して計算する。

………柚のやつが30万、俺のやつが35万+少しかかるだろうか、それと陣が合計5つ、だが割増にすると言っていたからこれに+1万、合計6万、あと刻印が合計10文字で1万、チェーン2本で2万くらい、かな……

……合計約73万と少し……………結構するな……。


いや、考えるな蓮也。もう買うと決めたものだ、グダグダ考えるのはやめよう。


とりあえずATMに向かうとするか。

俺は現在地から近くにある悠信局のATMを探す。


……お、パルクレアの中にあるみたいだ。

俺はパルクレアに向かって歩き出した。


しばらく歩いて到着した俺は、さっきとは別の館の地下にエスカレーターで降りる。

降りたすぐ左を曲がった角のところに、悠信局のATMはポツンと置かれていた。


「ええと、まぁ200万下ろしておけば足りるだろう。」


俺は画面を操作して200万を下ろす。

通常この銀行は50万までしか下ろせないのだが、引き出し上限額を変更すれば500万まで下ろせるようになる。

昔手続きしておいたのだが、たまにこういう風に必要になるから手続きしててよかった。


下ろした200万はすぐに封環にしまう。


さて、空に戻るか。


俺はパルクレアを出て裏路地に入り空に向かう。

ある程度の高さまで来たところで柚から魔力通信がかかってきた。


「………もしもし、柚?」


『あっ、れん〜!遅くなるって、どうしたの?何かあった?大丈夫?居なくならないよね?大丈夫だよね?大丈夫って言って〜!!!』


べそべそとしながら色々と聞いてくる柚。

プレゼントのことはまだ内緒にしていたいから、俺は誤魔化すしかない。


「大丈夫だ柚、何もないよ。ただ俺が、今日はもう少し外にいたい気分なだけなんだ。」


『ほんとに?ほんと…?じゃあ大丈夫?ちゃんと帰ってくる?』


「帰るよ。俺たちの家は、そこしかないじゃないか。」


『そっか………そっかぁ!!!わかった!!じゃあ私、夜ご飯作りながら待ってるからね!でもなるべく早く帰ってきてね、寂しいから………』


最後の方は声が小さくて聞き取れなかったが、大丈夫だろう。


「じゃあ、また帰るときに連絡するから、それまで細工でもして待っててくれ。」


『うんっ、わかった!!じゃあまた後でねっ?』


「あぁ、また後で。」


プツリと通信が切れる。

昔はここまで心配症じゃなかったはずなんだが、何処からこうなったのだろうか……

まぁいい。

俺はジアとティアを呼び出し会話をしながら空を飛び続けた一一


一一・・・



もうそろそろいい時間だろう。

俺は工房"紡"に戻ってきた。


CLOSEとドアにかかっているが、確かチャイムを鳴らせばいいんだったよな。


俺はドア横のチャイムを鳴らしつむぎがでてくるのを待つ。

……………………待ったが、出てくる気配がない。


ドアノブを回してみると鍵はかかっておらず中に入れた。


「入るぞ…?」


俺はそっと中に入り、ドアを閉める。

防犯意識が足りていないな、この店は。


工房の中を見ると、つむぎが真剣に作業をしていた。

声をかけるのもあれかな、と思い俺は再び並べてあるアクセサリーを見る。


ダイヤにサファイア、ルビーにエメラルド……色々な宝石があるな。

その時、鈴蘭をイメージされたネックレスが目に入る。

使われてる宝石はダイヤモンド。

とても美しく、舞に似合うだろうなと考える。


既にだいぶ金額がいっているが、1つ増えるくらいなら……

「おにーさん、他にも欲しいのあります?」


俺は驚いて半歩下がる。

さっきと同じように、俺が元いた場所の隣につむぎがいた。


「あのな……気配消して近づいてきて驚かせるのは、やめた方がいいぞ。」


「はーい。ところでっ!どうなんすか?欲しいの追加しちゃいます?ます??」


俺は悩む。今、買ったところで、渡せるのはまだ先かもしないから。


「いや、俺は………」


「これっすね!見てたのは!鈴蘭のダイヤモンド!これいいっすよね、可憐な感じがしてそれでいて力強さもありそうな、めっちゃ美しくできたやつっす!誰が作ったかって?もちろんワタシっすよ!わっはっは!」


「……それは一旦置いといて、出来たのか?」


「おぉ!忘れてたっす!出来てるっすよ!最終確認見てみてくださいっす!」


そう言ってつむぎは工房に戻り、2つのネックレストップを持ってくる。


手袋を渡されたので一応手袋を着け、一つ一つ確認をする。

……………悔しいが、完璧な仕事だ。

刻印も、ちゃんと見えにくいところにある。

柚のは最初に見た時のままだ。雫型のルビーの周りに雫型の枠がついている。そして右下の部分に葉っぱが立体的についていて薔薇のようにも血のようにも見える。

俺のやつは、これは、蓮の花か?俺のには雫型の枠がなく、雫型のブラックダイヤモンドの下部分に蓮の花がついている。

ナイフといい、蓮の花が多いな。


「お前、ほんとに、値段が高いこと以外は素晴らしい腕の持ち主だな。」


「えっへへー!それ程でもっす!あっ!そんなこと言われても負けないっすからね!」


「それは構わない。ところで、チェーンはどこにある?種類は?」


「こっちっすよ!」


つむぎに店の中間地点に案内されると、そこには様々なチェーンが置いてあった。


「これいいな…オーソドックスだが、一番好きなチェーンだ。これ2本にするよ。」


「まいどありっす!………ところで、さっきの鈴蘭はいいんすか?」


俺は悩む。確かにすごく欲しい気もする。


「………1度手にとって近くで見たい。ルーペも持ってきて欲しい。」


「わかったっす!取ってくるっすね!」


パタパタと走って工房まで行き、ルーペを取ってくるつむぎ。

そしてガラスのショーケースから鈴蘭のネックレスを取り出すと俺に手渡す。


俺はルーペで覗いたり光に当てたりして宝石を見るが、やはり高品質のとてもいい宝石だ。

鈴蘭のネックレスは、雫型のダイヤモンドの周りに雫型の枠がついており右側に鈴蘭が立体的についていて一部花のない部分はダイヤモンドを花と見立てているんだろう。

なんだか、3人でのお揃いみたいになるな。


…………買うか…?


「ちなみになんだが、これに刻印をつけたり陣をつけるとなったらどのくらいかかる?」


「そうっすね……だいたい1~2時間でいけるっすよ!」


「そうか…………。」


ダメだ。もう、欲しいスイッチが入ってしまった。

買おう。そして、このネックレスは俺が常に持っておいて、舞と再開したら、つけてやろう。


「買ってやる。陣と刻印を頼みたい。」


「やったっすー!!!!!あざます!!!!初めてのお客さんで3つも!!!嬉しいっす!!!」


「はは…………つけて欲しい陣は、汚れ知らず手入れいらず、勝手に外れない、物を入れれる、の3つだ。刻印は"M.Una"。陣なんだが、どれも魔力を込めておけば勝手に発動する感じにして欲しい。物を入れるのは魔力を使わなくても、込めておいた魔力で自分の意思で出し入れできるようにしてもらいたい。できるか?」


「ギリギリっすけど、何とかやってやりますよ!このまま作業に入るっすけど、他になんか聞いておきたいことあるっすか?」


「あぁ、そうだ。値段を聞いていない。いくらだ?」


「これだと、30万っすね。陣と刻印含めると34.5万っす!」


「わかった。俺はここで待っててもいいのか?」


「いいっすよ!ゆっくりアクセでも見ててくださいっす、じゃ、作業してくるっすね!」


紬は奥の工房に消えていった。


俺は疲れたなと思いながら、置いてあったソファに座る。

今は……20時半くらいか。今から1時間だと、家に帰るのが22時はすぎるだろうな。

柚、怒っているだろうか………

まぁアイツは単純だから、プレゼントを渡したらきっと怒ってても忘れるだろうな。

プレゼントを、渡して………ご飯を……………食べて…………


俺は疲れからの睡魔に抗えず、そのままソファで眠ってしまった一一



一一・・・



「一一さん、おにーさん、おにーさん!!起きてくださいっす〜!!!」


俺はバチッと目を見開くと、目の前にある顔を見る。


「俺は……寝てたのか?」


「そうっすよー、最初死んでるのかと思ってヒヤヒヤしたっすー!」


「それは……すまんかった。」


時計を見るとたしかに、21時半になっていた。


「それより、出来たっすよ!確認してくださいっす!」


手袋とネックレスを渡され、俺は手袋をはめて出来を確認する。

特に変わったところはなく、刻印はちゃんと見えにくいところにある。


「ありがとう。上出来だ。」


「えへへー、それ程でもっす!」


「それで、使用者登録って出来るのか?」


「できるっすよ!宝石の裏側のところの金属に小さな穴が空いてるんすけど、そこに血を流し込めば行けるっす!」


「そうか、わかった。ありがとう。あと、チェーンなんだが、さっきのものを3つほしい。」


「わかったっす!1本1万になるっす!」


「わかった。それで、合計いくらになる?


「えーっと、全部で……111万っすね!」


「わかった。」


俺は封環からピッタリ111万を取りだしつむぎに手渡す。


「確認してくれ。」


紬は1枚ずつお金を数え、間違いがないことを確認するとにっこりした。


「まいどありっす!!!!またぜひ買いに来て欲しいっす!!」


「気が向いたらな……あ、そうだ。ラッピングとかってできるか?」


「できるっすよ!本当ならお金をとるんすけど……おにーさんいっぱい買ってくれたんで無料でラッピングするっす!どれをラッピングするっすか?」


「この、薔薇のやつと鈴蘭のやつを頼みたい。俺のブラックダイヤモンドのは箱に入れるだけでいい。」


「了解っす!ちょっと待つっすよ!」


そう言って工房に走っていき、ラッピングされた箱となにかの紙を持って戻ってきた。


「どうぞっす!赤いリボンが薔薇のやつで、白いリボンが鈴蘭のやつっす!何もリボンされてないのがブラックダイヤモンドっす!あとこれ、宝石の鑑定書っす!」


「あぁ、ありがとう。」


俺は全て受け取り封環にしまう。


「じゃあ帰るな。また、気が向いたら来てやる。それまでに何人か客を取るんだぞ。」


「わかったっす!全力で頑張るっす!!」


俺は外に出て、暗くなった空に向かって飛ぶ。


「ありがとうございましたっすー!!!!」


遠くから声が聞こえた。

俺は少し振り向いて、手を振って家の方向に飛んでいく。

今日は1日すごく疲れたが、楽しかったな。


さて、柚は怒ってるのかどうなのか………


一一・・・



「ただいま一一」

「れん〜!!!!!こんなに遅くなるなんてっ!!!大丈夫?事件とかに巻き込まれてない?怪我してない?生きてるよね?れん心配だったよ〜!!!」


帰ったと同時に飛びつかれて動けなくなった。

がっしりガードされ逃げようとしても力が強くなって動けない。


……しかもなんか、泣いてるフリして匂い嗅いでないか?


「柚、離れろ、苦しい。」


「あっ!ごめん、ごめんね、でもれんが心配で………」


「大丈夫だから、とりあえず家に入ろう。な?」


「うん、わかった……」


何とか解放され、ホッと一息ついて家の中に入る。

途端、いい匂いが漂ってくる。


「これは……」


「あっ!晩御飯作っておいたよ!今日はシチューだよ!」


「コレは冷める前に食べたいな。着替えてくる、机に並べておいてくれるか?」


「うんっ、任せてっ!!」


柚はリビングにパタパタと走っていく。


俺はそれを見届けると自室に戻り部屋着に着替える。

今日は疲れたから、早くに眠くなりそうだな。


そう考えながらリビングに向かうと、机の上にはシチューが並べられて、カリカリに焼かれた食パンも置いてあった。


「最高の組み合わせだな。食べるか。」


俺は椅子に座り手を合わせる。


「いただきます。」


「私もっ!いただきます!!」


まずはシチューを1口口に含む。

まろやかで野菜もホロホロでとても美味しい。

次にパンをちぎってシチューに浸し食べる。


「うん、美味い。流石だ、柚。」


「えへへっ、どんどん食べてね!おかわりもあるよ〜!」


俺は無言でどんどん食べ進めていく。


「そうだ、米はあるか?」


「お米ももちろん炊いてあるよ!持ってくるねっ!」


柚はキッチンにパタパタと走っていって、ご飯を片手に戻ってくる。


「はい、どうぞっ!」


「ありがとう。」


これをやる人は少なからずいるがあまり一般的では無いらしい。

シチューのお皿に米を投入する。

シチューライス、俺はとても好きなんだ。


どんどん食べ進めていって、あっという間にシチューが無くなる。


「ごちそうさまでした。今日も美味しいご飯をありがとう。」


「どういたしましてっ!」


食器を片付け、椅子に座り直す。


「柚、ご飯食べ終わったらちょっとした話がある。」


「ん!わかった!もう食べ終わるからちょっと待ってね」


ゆずはシチューを飲み干し、食器を片付けたら椅子に座る。


「どうしたの?」


俺は無言でラッピングされたナイフの箱を取り出す。


「開けてみてくれ。」


柚が不思議そうな顔でラッピングをあけ箱を開けると、中から革製の鞘に入ったナイフが出てくる。

鞘には"Y"と焼印がついており、柚のものだと分かる。


「えっ…………これ、私に……?プレゼント……?!」


「あぁ、そうだ。細工にも、戦闘でも使えるようなものだ。握って感触を確かめてくれ。」


柚はナイフを取り出すと鞘から抜き、感触を確かめる。


「すごい………本当にピッタリ。私に合わせたみたい………!!これ、すっごく使いやすそう!」


「そうか、よかった。それはじいさんが柚のために作ったものらしい。その宝石部分がネジになっていて取り外せるようになっている。陣を少し書いてもらったが、まだ余白があるから好きなものを追加するといい。あと、その陣の部分に血を垂らすと使用者登録もできるようになっている。刻んでもらった陣は、ナイフが飛ばされても魔力を送れば動かせて手元に戻ってくるものと、一度だけ致命傷を肩代わりしてくれるものだ。」


「え、おじいちゃんが?刻環堂行ってきたの?」


「あぁ。」


「そうだったんだ……!!れん……っ!!!ありがとう、ほんとにすっごく嬉しい。もしかして今日出掛けてたのって、これのため………??」


「あぁ、そうだ。気に入ってくれたなら、良かった。」


「気に入るよ!!!ほんとに、嬉しい…………大事に、大事に使うね、ありがとう!!」


「あぁ。いつも世話になっているからな。余白部分は何を刻むんだ?」


「うーん、まだ迷ってるんだけど…どう思う?」


「血を操るのに有利な陣とかあれば戦闘で使うならいいと思うが。細工で使う場合はわからんな………」


「なるほど……ちょっと考えてみる、本当にありがとう!れん、大好きだよっ!!!」


「ちなみになんだが……お揃いで俺のもある。あと、何故か舞のも買ってしまった。」


「え!そうなの?!見せて見せて〜!」


俺は封環から2つの箱を取り出す。


「まずこれが俺のだ。蓮の花が掘られている。さっき言ってた陣の効果だが、こんなことも出来るみたいだ。」


俺はナイフを宙に浮かせて、色んな方向に移動させて手元に戻ってこさせる。


「すごいっ!!私にもできるかな?」


「じいさんは普通はこんなことできないって言ってたが、柚なら出来るんじゃないか?」


「そっかぁ!ちょっと練習してみる、ありがとう!」


「あと、舞のだが、せっかくラッピングして貰ってるから、情報だけ伝える。舞のは鈴蘭が彫ってある。小柄な子でも使える小ぶりなナイフだ。」


「そっかそっか、確かに舞ちゃんにはその方がよさそうだね!」


「あぁ。いつか、帰ってきた時に、渡すつもりなんだ。」


「いい事だと思うよ。それまでは、れんがナイフを守ろうね!」


「あぁ、そうだな。」


しばらく無言の時間が続いた。

柚は本当に嬉しそうにナイフを握って、触って、かざして、見つめていた。


「あ、あー、その、実はだな………」


「ん?どうしたの?」


「実は、その……もう一個、あるんだ。」


「えっ?!誰用のナイフ?!」


「いや、ナイフじゃなくてだな………プレゼントが……」


「……………えっ?!?!え、私に?!」


「………あぁ。その、気に入るかは、分からないんだが…」


俺は赤いリボンでラッピングされた小さめの箱を取り出す。


柚は無言でラッピングを外し、箱を開ける。


「えっ………これ………………ネックレス………?」


「あぁ、そうだ。天然の本物のルビーを使ってる。薔薇の花にも、血のようにも見えて、見た時柚の顔が浮かんだんだ。」


「う……………………………」


「う……??」


「う〜れ〜し〜い〜!!!えっ!!ほんとに?本当に貰っちゃっていいの?!」


「あ、あぁ、柚に渡すために買ったものだからな。気に入ってくれるといいんだが……」


「気に入るよ!!!!!めっちゃ可愛いもん!!!!私、こういうの大好き!!!本当にありがとう!!!!まさか2つもプレゼントがあるなんて………どうしよ、私今日死んじゃうのかな…?」


「それは無いから安心しろ。まぁ、喜んでくれてよかった。それにも一応陣が刻まれていて、汚れ知らず手入れいらずの陣、自分の意思がなければ勝手に外れない陣、小さめの物であれば1つ収納出来る陣が刻まれている。ナイフとか、入れておいてもいいんじゃないか?あと、使用者登録は宝石の裏面の穴のところに血を垂らせばいいそうだ。」


「わかったっ!!!ほんとにありがとうれん〜!!」


机から乗り出して抱きついてこようとする柚をサッと避ける。


「あと、ナイフとネックレス、刻印も刻まれているけど意味は教えない。気になるなら自分で調べてくれ。」


「わかった!!」


「あと……………このネックレスもなんだ。」


「??、なにが??」


「その……お揃いなんだ。3人で……」


「えっ?!そうなの?!見せて見せて!」


俺は自分の箱を取りだし、開けて見せる。


「俺のは、ブラックダイヤモンドを使われていて蓮の花がついている。」


「綺麗だね〜!!まいちゃんのは?」


「これもラッピングされているから出せないんだが、形は柚のと似ていて、石はダイヤモンド、鈴蘭がついているものだ。」


「まいちゃんにピッタリそう…!!いいねいいね!3人でのお揃いがふたつもある!嬉しいっ!!」


「喜んでくれて、良かった。………そうだ。ネックレスの使用者登録、忘れないうちにやっておくか。」


俺は指を噛み切り宝石の裏側に血を垂らす。


ネックレスは淡く光ったあと血を吸収して元に戻る。


「俺はこれからネックレスをつけようと思うが、柚もつけるか?」


「つけたいっ!!ちょっと待ってね、私も使用者登録する!」


柚も指を噛み切り宝石の裏側に血を垂らす。

ネックレスは淡く光ったあと血を吸収して元に戻る。


「ねぇねぇれん、ネックレス、つけてっ!」


「しょうがないな…こっちこい。」


ニコニコの柚が俺の目の前で髪の毛をどかしながら待つ。

俺は柚のネックレスを柚の首にかけた。


「つけれたぞ。」


柚はパッとこちらに振り返りながらニコニコしている。


「どう?似合う?れん」


「あぁ、似合ってるぞ。可愛いな。」


柚は一瞬で顔を真っ赤にしてうずくまる。


(それは反則でしょ…)


柚がなにか呟いた気がしたが聞こえなかった。


俺も自分のネックレスをつけてみる。

着け心地はいい。

いい買い物をしたな、と俺は思った。


「そうだ、柚、黒刃からの依頼料が振り込まれてたんだが、いくら欲しい?」


「え、私は要らないよ?」


「そうもいかないだろ。今回は柚が頑張ってくれたから達成した依頼なんだから。」


「そっかぁ………じゃあ、4分の1でいいよ。」


「そうか……じゃあ、ここに置いておくな。」


俺は封環から50万を取りだし机に置く。


「ちゃんとしまっておくんだぞ。」


「うんっ、わかった!ありがとう!」


柚はいそいそと立ち上がりお金とナイフを持つ。


「さて、俺は今日はちょっと疲れたから、早めに寝ることにする。柚はもう少し起きてるか?」


「あっ、うん!もうちょっと起きてるかも!」


「そうか。電気消すのを忘れないようにな。じゃあ、おやすみ、柚。」


「うんっ!おやすみ、れん!」


俺は自室に戻りベッドにダイブする。


今日も色々なことがあったが、柚の嬉しそうな顔も見れたし、満足かな。

工房《紡》、また機会があればいってみよう。

次はピアスとかどうだろうか。

指輪は……舞とのお揃いを付けているから、あまり考えていないが、柚が欲しいって言うのであれば、これも考えてみよう。


そして俺は睡魔に揺られて、闇に落ちていった一一



一一一一一一一一一一一一一一一(柚葉視点)



プレゼント2つも貰っちゃったっ!!

どっちも可愛いし、めっちゃ嬉しい〜!!


れんがプレゼント買ってくるなんて、ほんとに珍しい。


私は自室に戻ってネックレスの入っていた箱を眺めていると、底になにか挟まっているのが見えた。


「なんだろ、これ…?」


取り出して見てみると、金額が書かれていた。


「なっ……?!さんじゅっ…?!え、高すぎない?!こんないいものを買ってきてくれたの………?」


思わず泣きそうになるのを我慢して私は胸元のネックレスを握りしめる。


「大事に……………ほんとに、ずっと、大事にするね。ありがとう、れん……」


私は、もしかして、と思いナイフの箱も探ってみる。

案の定なにかの紙が入っていて、取り出し読みあげてみる。


「えっと、なになに………………『Tōkaへ。れんって子は凄くいい子じゃのぅ。お主が惚れるのも無理がないわい。ただ、あの子は、覚悟を決めた瞳をしていた。相当、舞って子が好きなんじゃな…………。儂は、Tōkaに幸せになってもらいたいが、その……2人のそばで、辛くないか?もし、何かあれば、いつでもこの爺のところに来ていいんじゃからな。このナイフは、元々Tōkaのためを思って作ったもの。それをれんは1発でこれを見定めた。儂の想いも、れんの想いもこもったこのナイフ、大切にするんじゃぞ。メンテナンスが必要だったら儂のところを訪ねてくればいい。いつでも無料でメンテナンスしてやるからな。体調には気をつけるんじゃぞ。』…………………おじいちゃん………。」


おじいちゃんはほんとに、私のことを思ってくれてる。

そんなおじいちゃんが私は大好きなんだ。

改めて大事に使おうと決めて、ナイフを握る。


「あっ、そういえば、使用者登録しなきゃ!えっと、宝石の部分がネジになってるんだったよね。」


ナイフを裏返すと宝石の真下の部分にネジが付いてるのが見えた。


私は工具を持ってきてネジを外し、分解する。


刃の根元の部分を見ると、精密な陣が描かれていた。


「すごい………綺麗な陣。やっぱりおじいちゃんは凄いなぁ。」


私は指を噛み切り血を一滴垂らす。

淡く光ったあと血を吸収して元に戻ったナイフを再度組みたてて、魔力を馴染ませる。


「さっきれんはこんな感じで動かしてたよね……」


私は魔力をナイフに送り、動かしたいイメージを送って操作してみる。

しかし、れんのように上手くいかず、へにょへにょとした動きになってしまった。

次に床に置いて手に戻ってくるように魔力を送ると、スっと戻ってくる。


「元々の陣の効果はちゃんと発動するのね……れんみたいに動かすためには、練習しないとだっ!!よーしっ!明日には、絶対完璧に動かせるようにしてみせるっ!!」


私は徹夜することを決め、ナイフを動かす練習に励んだ。



だけどいつの間にかベッドで横になって眠ってしまってた一一・・・



一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

(以下ナイフとネックレスの参考画像です。AI画像によるものなので作りが浅いですが、この画像をもっといい感じに(?)したのが蓮也達のものです。)


蓮也ナイフ

挿絵(By みてみん)

蓮也ネックレス

挿絵(By みてみん)

柚葉ナイフ

挿絵(By みてみん)

柚葉ネックレス

挿絵(By みてみん)

舞ナイフ

挿絵(By みてみん)

舞ネックレス

挿絵(By みてみん)

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