第457話 使い魔の能力
2つに増やした魔力弾で、左右からタイミングをずらした攻撃で、邪神ナイアを攻めています。
今のところ面白いように当たるけど、このやり方もいつまでも通用しないでしょうから、早く次の手を考えなくてはなりません。
『そう言う訳か』
え? どう言うワケ?
邪神ナイアが、何かに気付いたようです。
『ここだな。そして、ここか?』
邪神ナイアがそう言うと、片手・片足を使って魔力弾を弾き返したのです。
弾き返す時に魔力を込められたからか、魔力弾は爆発せずに四散してしまいました。
これって、魔力弾の動きを読んだってこと?
さっそく対処されてしまった。
『指を動かさずに操っていたみたいだが、目が魔力弾を追っていたぞ。それを観察すれば、次にどこに行くのかは分かる』
「うぅ……そんな事で……!」
バレたのか。
やはり邪神は厄介な相手だね!
(じゃあ次は近づいて戦おうよ。そういうのはボクが得意だよ)
あたしに声を掛けて来たのはシロン君です。
(ボクのスキルを使えば、今よりもっと素早く動けるよ)
「それは素晴らしい! じゃあさっそく行くよ!」
(は~~い!)
邪神ナイアに反撃される前に、もう一度攻撃ですよ。
シロン君のスキルは、素早く動けるというものです。では、ダッシュだ!
ドビュン!
うわっ! びっくりした!
一気に加速したよ!
ふつう大きくて重い物を動かす場合は、慣性の関係ですぐには動かないはずです。それでも一瞬で動けたのは、シロン君のスキルのおかげですね。
邪神ナイアのウサギ顔が目の前にあります。
さすがにこれには驚いたようだ。
その顔を見たら、つい手が出てしまいました。邪神ナイアのおっぱいを、両手でつかんでやったのです。
性別が無いって言うから、形だけのおっぱいで硬いのかと思ったけど、柔らかかったです。思わずモミモミしてやりました。
全身に毛が生えていて分からなかったけど、どうやら乳首まであるようです。
『なっ! どこを触っておる』
邪神ナイアったら、胸を隠して飛びのいたよ。
反応が女性のようだけど、もしかして性別が無いんじゃなくて、両方共あるのかもしれません。
見た目の女っぽい雰囲気からも矛盾がありませんしね。
「次はお尻を触ってやるぞ~」
『こ……このセクハラ女神が』
この世界にセクハラなんて概念は無いはずなのに、なんで知っている?
アースにも行った事があるのか?
どっちにしても、邪神ナイアの動きがおさえられている今がチャンスだ。
「ふふん、ドラゴンには羞恥心なんて無いのよ!」
『それを自慢気に言うな』
あたしが手をわきわきしたら、凄い嫌そうな顔をしてた。
離れた所で見ているペギエル様やポチャリーヌも、呆れている事でしょうね。
「でも、そんなの関係無いね!」
あたしは回り込むように接近します。
(よぅし、次はアタイの番だな。両手を前に出すんだよ七美!)
クロンちゃんの声が聞こえて来ました。
今度はクロンちゃんが、スキルを使うみたいです。両手を前に出すって、手から何かを出すつもり?
「ほらほら~、こっちよ~」
邪神ナイアの周りをグルグル回ってやりました。
シロン君の能力で慣性を無視出来るので、方向転換し放題です。普通ならいったん立ち止まらなくてはならない所を、パッと向きを変えられます。
さすがの邪神ナイアも、この動きは付いて来られないようで、右往左往していました。
向きを変える時に、尻尾を振って足払いを掛けてやった。
足が4本もあると倒れたりはしないけど、バランスを崩してよろめきました。
(いまだっ!)と、クロンちゃん。
あたしは邪神ナイアに向けて手を突き出しました。
すると、手の平から何かが飛び出しました!
それは長細い姿のアブホースの落とし子です。ムカデと名付けた落とし子で、全長は10mぐらいあります。
その落とし子が素早く邪神ナイアに巻き付き、拘束しました。
そして“カマ”のような前足でがっちり掴んで、体を固定したのです。
さらに手からは、ハリガネムシも出て来ました。細長くて硬い体を持ったヤツです。
それが邪神ナイアの体に、ドカドカと刺さりました。うわっ、痛そう。
しかも貫通した後は、うねうねと動き回ってる。うひぃ~~。
(ちょっと待って、このままハリガネムシを地面に刺した方がいいよ)
シロン君がそう言うと、ハリガネムシがいっせいに頭を地面に突き刺しました。
つまり、邪神ナイアを地面に縫い留めてしまった訳です。
シロン君ってば、結構えげつない事をするよ。
邪神ナイアの動きは止めたけど、これからどうしよう?
体を串刺しにしようが、頭を切り落とそうが、たぶん死なないでしょう。かと言って、バラバラに吹っ飛ばして消し去るなんて事をすれば、王都を巻き込んでしまいます。
ピンクの光で対消滅させようにも、今のあたしでは魔力が足りないでしょう。相手はフルパワーの邪神ですので、こちらも全力を出さねばなりません。
邪神ナイアに、何らかのスキルで抵抗される可能性もあります。例えば相手のスキルを反射、または反転させる事が出来たら、消えるのは大陸の方になります。
いや、大陸だけならまだいい方です。
惑星の一部に穴が開けば、そこから星の中身が飛び出してしまいますよ!
そうなったら穴の反対側は、支えを失って中心部に向かって崩壊するでしょう。
こわぁ~~!
星が砕け散るのは、SFアニメだけでじゅうぶんです。
お互いに強すぎるがゆえに、攻撃する手段がありません。いやいや、向こうはこの世界がどうなっても平気な分、こちらが一方的に不利です。
相手の動きを封じているのに、手詰まりになってしまいました。
(七美ちゃん、このままヤツを亜空間に送ってしまうのよ)
(そうだぜ、今のアタイらの力なら、影魔を使わなくても亜空間にヤツを送り込めるよ)
(向こうで思いっ切り戦えばいいよ~)
なるほど。
あたしと同化したので、メロンちゃん達の能力もパワーアップしていますもんね。
どうやら邪神ナイアを拘束している落とし子を使って、亜空間に放り込もうというのです。
よし! 動けない今がチャンスだ!
邪神ナイアの体の下にある影に押し込んでやりましょう!




