第五十一話 See you again-8
ーー五刃花隊隊舎兼
ナーベルク帝国 帝国兵総合病院 "零華"ーー
亜那魂蛇にて治療を施し
そのまま帝国兵総合病院 "零華"に運んだ。
5時間にも及ぶ手術を終え
3日後、アキレイは少年の病室を訪れた。
少年
「白い……天井………またか……
あっ!!蛇神様!!!!」
アキレイ
「よう。」
アキレイは
沢山のお菓子とぬいぐるみを
テーブルの上に置いた。
アキレイ
「調子はどうだ?」
少年
「皆さんのおかげです。
もう元気になりました!」
アキレイ
「そうか……」
大丈夫なハズはなかった。
左腕、左足を失った少年の笑顔を見たアキレイは
少年に微笑むと置いてあった椅子に座って窓を見た。
ーー二日前ーー
リナリア
「兄さん。ちょっといい?」
アキレイ
「なんだリナリア」
アキレイの自宅を訪れたリナリアは
インターホン越しにそう言うと
整えられた芝生の大地がカパッと割れて中へと入った。
地下へと続く階段をしばらく下りていくと
玄関が見えた。リナリアは取手に手をかけ
重い扉を開けた。中に入っていくと
打ちっぱなしのコンクリートの床の上には
グランドピアノとドラムセット、大きなソファ
そして旧式型移動用四輪駆動魔進が
六台ディスプレイしてあった。
リナリアはソファに乱雑に置かれた魔進雑誌をどかし
片付けると手前のソファに座った。
すると、ガラスのテーブルが
床からウィーンと現れ
アキレイが飼っている大型犬カサブランカが
飛び乗って来た。
リナリア
「カサブランカ!!久しぶりね!
元気だった??ご飯たべた?
お散歩行ってる?
ちゃんと兄さんに連れてってもらえてる?」
リナリアがカサブランカを撫でていると
アキレイがグラスを二つ持ってやって来た。
アキレイ
「リナリア、コーヒー飲むか?」
リナリア
「ありがとう。じゃあデカフェで。」
アキレイ
「デカフェとブラックコーヒーをアイスで」
アキレイはガラスのテーブルに
グラスを置くとテーブルの脇からアームが伸び
グラスを回収した。すると、すぐさまコーヒーが注がれた。
リナリア
「ありがとう。」
アキレイ
「で、用件はなんだ?」
アキレイは向かい側にあるソファに腰掛けた。
リナリア
「少年の事なんだけど………」
アキレイ
「ぁあ。」
リナリア
「やっぱり兄さんの読み通り
あの子の身体の中にはまだ蟲がいる。」
アキレイ
「そうか。
取り出せなかったんだな。」
アキレイは拳をグッと握りしめていた。
アキレイ
「あの時……もっと注意深く観察すれば
傷口から蟲が侵入した事くらい
容易に想像できていたハズだ。
何故、俺は……傷を塞いでしまったんだ……」
リナリア
「兄さんは悪くない。
未知の生物兵器だったのよ?
初めて見たんだからどんなものか
分からなくて当然だし
むしろ兄さんが助けたからこそ
あの子はこうして生きていられてる。」
アキレイ
「違う!!
あの子の苦しみを伸ばしただけだ!!」
ブワッと部屋中に熱気が満ちた。
アキレイは立ち上がると
手に持ったグラスが瞬時に溶けた。
リナリア
「兄さん!!」
アキレイ
「何が神の力だ!!!何が鞘花だ!
神の力を持つ俺でも
どうする事も出来ない!!」
リナリア
「聞いて兄さん。
レンゲイが言ってたわ。
アキレイさんは最善の処置をした。と」
アキレイ
「いや、何かもっと出来たハズだ!!
レンゲイの……桜雌鹿の力でも無理なのか!」
リナリア
「ぇえ。再度、傷口を開いて試したみたいだけど
鞘花や健康な身体の人ならともかく
あの子は体力もなくて、
食べ物も普段から食べられてないそうなの。
だから飢餓状態が長く続いていて
栄養失調に肺炎も併発してる今の状態では
あの子の心臓がもたないって判断したそうよ。
それに細胞レベルで蟲との結び付きがあるらしくて
今の状況だと何をしても難しいみたい。」
アキレイ
「………グッ」
リナリア
「落ち着いて兄さん。」
アキレイ
「……ぁあ。」
アキレイは深くため息をつき
再びソファに座るとリナリアの分の
コーヒーを一気に飲み干した。
リナリア
「落ち着いて聞いてね。」
アキレイ
「なんだ?」
リナリア
「あの子は………
もって、あと五日だそうよ。」




