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MeMories  作者: 赤井家鴨
6/6

再入園

蛇足パートですが、どうぞよろしくお願いします。




僕はしがないアルバイター。

と言ってみても大して、いいや、まったくカッコよくないか……。

その日暮らしを満喫する現代の風来坊。て言った方が様になるな。

 まぁ、そんなことはさておき、僕はとあるアパートに住んでいる。


F県、裏野市、裏野ハイツ。

お化けが出るとか、癖のある住民が大勢住んでいるとかで一年前に引っ越してきたんだが、とんだ肩抜かしのオンボロアパートだった。怪奇現象どころか隣人にすら合わない。

 そう、僕は都市伝説やオカルトといったものが大好物で、わざわざ出向くような変人なんだ。

解決した事件や未解決事件の記事を読むのも大好きだし、宇宙人にも会ってみたい。

厨二乙とか言われるが、流行にのっとってサブカル男子と言ってもらいたいもんだね。

僕はこの世の綺麗な部分だけでなく、汚い部分も包み隠さずさらけ出して欲しいだけなんだ。

まぁ、オカルト仲間の受け売りだけど。


 無差別大量殺人事件があったと言う村が眠る貯水ダム。

殺人鬼が描いた黒髪美女の肖像画。悪魔が封印されているという血塗られた童話集。

他にも高校生の間で流行っていた、通勤電車に轢かれた女子高生の呪いもネットで見れる物なら全て見た。

なんちゃって怪談集もおそらく全部読んだだろう。次元のおじさんが実在してほしいとも願ったもんだ。変なおじさんはごめんだけどね。しかし、どれもこれももう飽きた。


 僕はゴミに囲われた布団に寝転んで、棚に並べてある一冊の本を取った。


”メルベイユ・ヤーパン”


たまたま本屋で買ったサブカル雑誌。

当時は廃墟ブームだったから僕も真似て買ってみた。

 新刊が出るたびに本は薄くなり、最後に出た刊なんて、五百円ぐらいの同人誌のように薄かったらしい。それでも今までと変わらない値段で売ってたんだから、ぼったくりである。

 唯一の目玉コラムであった”工場夜景”は、廃刊の一年前に急遽打ち切りとなり、それで読者もガクッと減ったようだ。

僕も”廃墟ノススメ”よりも既刊に載っていた”工場夜景”の方が魅力的で好きだった。

 僕は”工場夜景”が打ち切りになったという知らせが載ってある、一年前の夏号を読んでいた。


”廃墟ノススメ・スペシャル号! 裏野ドリームランド”


 裏野ドリームランドは子供の頃に一度行ったきりだけど、随分と楽しかった記憶だけが残っている。しかしこの記事はこの記事でとっても面白い。

 六ページにわたる壮大なミステリー。不可思議な事件に謎の怪談。

これはもう……、普通にオカルト雑誌と変わりない。

廃墟を進める気が全くもって感じない。

僕はつい呆れ笑いしながら、そのまま全部のページを読んでしまった。


 そういえば、裏野ドリームランドって近所じゃなかったっけ?

僕は軽くノートパソコンで裏野ドリームランドについて調べてみた。

「ふーん、なかなか面白そうだな……。観覧車から『出して』って声が聞こえるのか。ほー……」

まあ、近所と言ってもこの片田舎、自転車で一時間のところにあるようだ。

「廃墟探索か……」

 家にいるから刺激が足りないんだ。なら出向けばいい。

僕はいつだか昔に買った”廃墟の走り方”っと言うハウツー本を手早く読んで、必要な物だけを大きなナップザックに詰めた。

きっと楽しい一日が待っているはず。





<完>




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