第1章 最強探索者達、配信者を助ける。23話
《魂を狩りし巨王》に遭遇した夜桜達。
「……やはり狙ってたか。」
「ヒッ!?」
「この子がここから出てくるのを待っていたのだろ?自分ではセーフエリアに入る事が出来ないから……」
足にグッと力を入れ攻撃に耐えているといつの間にかモンスターの後ろに回り込んでいた秋雨が銃を向けていた。
「精密射撃"死の悲鳴"」
その一撃はモンスターの核をしっかりと捉えており、ミリ単位で逸らさずに魔石を狙う。だが、《魂を狩りし巨王》は物理攻撃無効化を持っている為、その攻撃はハズレてしまったが、夜桜達から離す事に成功する。
「姉様、秋雨!!こちらに記録転移"返り咲き"」
返り咲きは1つ前の地点まで帰ることが出来る能力になっており、ここに飛ぶ前なので、橘師弟がいる場所まで戻る事になる。
九重は夜桜、秋雨、アルくんを連れて1つ前のポイントまで跳び帰る。
《魂を狩りし巨王》は夜桜達がいた辺りに目を向け、跳んで行ったであろう先を見て姿を消す。先回りしに行くのかはたまた追いつかれるのは分からない。
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(橘視点)
夜桜達が跳んだあと、時雨達が合流ししばらく経った。徐々にモンスターの数が減ってきた辺りで、モンスターの群れがおかしな動きをし出す。
「ん?なんだ、なんかモンスターの動きが同じくねぇーか?」
「集合……してる?」
橘達を囲んでいたモンスター達がひとつの場所に固まり出したのだ。様々なモンスターが山になるよう重なっていき、下からは潰れる音が聞こえてきてどんどんと上に重なっていく。
「これは、何をいている」
デカくなっていく山に巻き込まれないように橘達は後ろに下がる。木々よりもでかくなったその物は次第にモンスター同士がくっ付いていき、ひとつの塊になる。
「こいつら……自分を贄にして《魂を狩りし巨王》を呼び出そうとしているのか?」
塊から足が生えてきて、巨大な下半身が形成されてきた。辺りには魔力を帯びている魔煙が漂い始め、辺り一帯を高濃度の魔力で埋め尽くす。
するとそこへ夜桜達が合流を果たしてしまう。
「先回りされてたか……。」
「うわっ……!」
転移後で少しの浮遊感を感じたのかアルが声を上げてしまう。
「おっと、大丈夫?」
「は、はいぃ……。」
「なら良かった。」
「夜桜さん。」
アルを気にかけていると警戒態勢を崩さず橘が声を掛けてきた。
「救助はできたのですね一応」
「あぁ救助は出来た。だが、こいつの上半身に襲撃されてしまってな、1度ここまで撤退という判断にしたんだがこちらに下半身がいたとはな」
「先程、ここらにいたモンスター達が1箇所に固まり出したてあの物体が形成されました。」
「贄召喚だなそれはここのボスモンスターのスキルにあるやつだ。」
《魂を狩りし巨王》の下半身がダンダンと地面を踏み始める。辺りに漂っていた魔煙が何かの形を形成していく。
「完成体のお出ましだ……ここで仕留めるぞ。」
アルを時雨達に任せ、夜桜、秋雨、九重は攻撃態勢にはいる。
《魂を狩りし巨王》は雄叫びを上げる。その声は木々や地面などフロア全体を震わす程の大きさとなる。
魔煙から鋭い棘状の物が形成され夜桜達の周りに展開される。九重が防ぐ為に魔法を発動しようとすると、夜桜達を囲うよに結晶の防壁が展開される。
その防壁により、結晶に棘状の物は突き刺さりはしたが貫通することはなく防がれる。
「間に合いましたか?」
琥珀と白鷺達のパーティが到着をする。
頭上に展開されていた結晶防壁は役目を終えて、消えてしまうがその突きを付いて、魔法が放たれる。
夜桜達は武器や回避などで避けて、アルは琥珀の固有スキルである結晶防壁で護られたことによって無傷だった。
《魂を狩りし巨王》は激怒し、魔煙からモンスターを生み出す。その形状はドロドロとしたヘドロ状の悪臭を放っており、スライムのような物が生み出された。
魔煙から生み出された後地面に落ちると、落ちた先の地面がスライムから放たれる瘴気により死滅する。
酸性で溶かされるのとは違い、死滅した地面は再生することが出来ないレベルの死の気配が漂う。
「なんて悪臭なんだ……息がしにくい。」
「あのスライムは物理攻撃無効化を持っており、巨王の隷属《狩られし者の成れの果て》と呼ばれている、巨王に魂を狩り取られた者達の成れの果てだ。」
夜桜がアルに説明をしてくれた。
「成れの果て……。人だったのですかあれは」
「そうだ、ほかの世界の人だったかもしれないし、ここの世界の人だったかはわからない。」
「あとドローンをあれに向けないようしてください。精神汚染で狂ってしまいます。」
九重から注意が飛んでくる。
「え?分かりました」
慌てて、ドローンの向きを変える。
「アルさんは下がってくださいですがあまり離れてはいけませんよ?」
「わ、分かりました……。」
「姉様!!」
「武器生成……"魔撃砲"」
夜桜の傍らに巨大な筒が出現する。
この魔撃砲は愛知県名古屋城ダンジョンからレアドロップで手に入れられる武器の1つ、使用者の魔力を込めると魔法攻撃を放つことが出来る。その威力は相手の物理防御力依存である。
100なら100ダメージを能力値がカンストしているならカンストダメージを入れることが出来る。
魔撃砲から放たれる攻撃になすすべなく消えていくスライム達。
「スライムは倒せましたね」
「あぁ、だが本体がまだだ」
「夜桜どうする」
「隙を作り、白鷺がこの子を運んでほしい」
「了解した」
隙を作る為、《魂を狩りし巨王》へ総攻撃を仕掛ける。
だが、夜桜達よりも早くに《魂を狩りし巨王》が攻撃を仕掛けてきた。
今度は魔煙から無数の触手状の物体を呼び出し夜桜達に襲い掛かる。
襲い掛かってくる触手を難なく切り裂いたりして躱していく。
だが、それは囮だったようで《魂を狩りし巨王》本体が夜桜達の包囲網を潜り抜け、アル目掛けて攻撃が迫りくる。
「……!?」
「まずい!!」
その瞬間アルの視界は動きが遅くなる……すべての動きが遅くなり、これから来る衝撃を見ないために目を瞑ると、不思議な声が聞こえる。
———固有スキル 無効化の熟練度が一定条件を達成しました。
———達成した事により能力が解放されます。
———殺意ある攻撃の無効化を取得しました。
———殺意ある攻撃の無効化により、魂を狩りし巨王の攻撃は無効化されます。
敵の攻撃はあと少しとなった時、目の前でガラスが割れた時の音を出しながら弾かれる。驚いていると巨王は次なる攻撃をアルに仕掛けてくる。
だがまた、パリーンという音と共に攻撃が弾かれる。
「なにが……おきて」
唖然として固まっているとアルを掴みその場を離す事に成功する者がいた。
「間に合って良かった」
そう声をかけたのは白鷺だった。白鷺の固有スキルである、韋駄天によってその場から移動する事ができた。
「……ッは!?えっと、え?」
驚いて固まっていると、白鷺が声を掛けてきた。
「俺の名前は白鷺だ。前線からお前を後退させるから少し待っててな」
「白鷺さん……ありがとうございます!!」
「よし、元気な声もまだ出せるな」
しっかり捕まってろよと声を掛けられるとお姫様抱っこの体制で抱えられる。
「すまんな俺にとってこれが一番走りやすいんだ!我慢してくれよ」
目を真ん丸にした状態で返事をする。
「は、はい」
行く手を阻まもうとモンスター達が寄ってくるが、白鷺の弟子2人である、彼方と黄泉が敵を蹴散らす。
「回復異常"過剰摂取"」
「黄泉送り"煉獄への導き"」
2人の攻撃によって敵は死んでいく。
「ナイスだ、2人とも……。韋駄天"神の脚"」
神の脚という能力は人に認識出来ないレベルの速度に達する。周囲の光景は止まったように動かず風圧も感じなまま、前線から撤退する。




