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転生悪役令嬢の生存作戦  作者: 芹屋碧
1章 転生悪役令嬢は思い出す【2学年】
9/43

9…負けたくない!!










 魔神グリムディアの定期調査は1週間ほどで完了し、6月下旬には王都の寮に戻ってきていた。


 父に相談に乗ってもらい、セシリアは今後の方向性を定めることができたので、協力を仰ぐことにした。




 ***




 ――今日は自分の目指すものを成し遂げるために必要な日。


 父の協力もあり、王宮のハリアスの住む離宮の東屋で()をすることになっている。


 足を踏み入れた庭園には多くの美しい花が咲き誇っており、気持ちの良い風がそよそよと流れている。


 きっとティータイムを楽しむなら最適な日和といえただろう。


 しかしセシリアが行うのはティータイムではなく重要な話だ。


 不安を滲ませつつもセシリアが歩みを進めると東屋にはすでに3人が席に腰かけていた。



 (―――え?!みんな集合が早すぎない?!) 



 「――皆様もうお集りでしたのね!」



 「大丈夫だ。皆早く着きすぎただけなのだから。リア、こちらにどうぞ。」


 ハリアスはセシリアに気づくとすぐに立ち上がり椅子を引いて呼び寄せる。



 「ハリアス様ありがとうございます。」



 「・・・」


 お礼を言っただけなのに何故かハリアスの表情が固い。


 何かしてしまったのだろうかと記憶を辿ってもセシリアにはわからない。


 しかし気づけばハリアスの表情はいつも通りに戻っていたのだった。



 「今日は集まっていただいてありがとうございます。


 皆さんにお越しいただいたのは、先日行った魔神グリムディアの石碑調査で私一人では対処できず、助けていただきたいと考えた為です。」



 「セシリアが対処できないことって・・結構難しいことなんじゃ・・」



 「―――おっしゃる通りです。」


 アイの問いかけに肯定で返す。


 普段とは異なる話口調にいつもならすぐ切り込んでくる彼らは、すぐに真剣な話だと察したのか真剣な眼差しでセシリアを見つめている。



 「――実は近い将来、私の体に憑依すると魔神グリムディアに宣言されました。」



 「なんだと?!!!」


 ガタンっと荒々しく立ち上がりこちらを見るハリアスの表情は愕然としており、すぐにセシリアの言葉を信じてくれていることに少し嬉しいと感じてしまった。



 「この話は緘口令(かんこうれい)が敷かれることになっておりますので他言無用でお願いいたします。

 先日バトネ公爵と【守り人の継承】を行いました。

 その流れで魔神グリムディアと対話を行ったのです。

 体が器として最適なため、器として使うと魔神グリムディアに宣言されました。


 しかし、私は簡単に自分の体を渡したくはありません。

 もし私の体が器として使われた場合…王都は壊滅するかもしれません。

 魔神グリムディアは私を乗っ取った後、間違いなくこの地上を消し去ろうとするでしょう。」



 「――これ・・止められるの??」


 真っ青な表情でアイはセシリアに問う。



 「・・・恐らく今のままでは無理です。

 私は高ランク魔法使いの中でも魔力量は飛びぬけています。魔神グリムディアに使われた場合、天変地異のような魔法で人間を滅ぼそうとするはずです。」



 「――だが私たちに話しに来たということは何か策があるのでは?」


 ハリアスは先ほどまでの動揺を隠し、いつも通りの口調で問う。




 「はい。今日集まっていただいたのは、その協力をお願いする為です。

 そもそも魔神グリムディアに対抗するためには女神の力【聖魔法】が必要です。

 ――今立ち向かえるのは、女神の恩寵を授かったアイとハリアス様だけなのです。」



 「聖魔法・・・」

 

 アイは自信なさげに呟く。



 「私の予測では、魔神グリムディアは18歳までに私を乗っ取るのではないかと考えています。

 それまでに対処できれば何とかなるはずです。

 私たちが最終学年の7月に調査(・・)を行うのではなく、再封印(・・・)をこちらから仕掛けたいのです!

 それができるのはアイとハリアス様だけなのです。

 力を貸していただけないでしょうか!!」



 「あと2年後か・・・」 

 


 「そうです。協力していただけなかった場合はみんなでバッドエンドです。

 ですが、皆で立ち向かえば一縷の望みがこの世界を救うかもしれません!!」




 「――私やるよ!!!・・・だってその為に呼ばれたんでしょう?

 私はセシリアにも体乗っ取られて欲しくないし、死にたくないからやれることは頑張るよ!!」



 「私もどれだけ聖魔法が扱えるかはわからないが今からでも特訓しよう。

 絶対にセシリアの体を奪わせはしない!!」

 

 アイに続いてハリアスも神妙な面持ちではあったが決意をしてくれた。



 「俺は王家にも聖女にも仕える騎士だ。2人が立ち向かうなら全力で2人を守ろう。」


 3人がセシリアの言葉を否定せず聞き入れてくれたことが何よりも嬉しかった。


 原作小説では絶対にありえない関係性ではあったが、今のセシリアに思い浮かぶ対策はこれしかなかった。



 「あと、調査をしてわかったことですが、封印されているモラン山付近で魔獣出現が増えているということです。

 出現地を調べると”目的”が見え隠れしました。

 自然に出現しているのではなく、何者かが計画的に出現させているのでは?という見方もできるのではないかと・・。

 あくまでここからは私の推測ですが、王都の公園に魔獣を出現させたのももしかしたら―――。」



 「何者かが呼び寄せたと?」


 ハリアスの言葉に頷く。



 自然現象と考えたなら王都の警備を増やすのみだったが、これが作為的に魔獣を出現させたのだとすると、魔神には人間の従僕がいることになる。


 4人は言葉を失いしばし逡巡するのだった。









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