表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢の生存作戦  作者: 芹屋碧
1章 転生悪役令嬢は思い出す【2学年】
10/43

10…報告会










 あれから3人はそれぞれのできる訓練を積極的に行ってくれている。その為同じ時間を過ごすことは減ってしまったが、定期的に4人で集まり対策や相談をするようになっていた。


 場所は王都のバトネ家の(タウンハウス)の談話室を使用して、週に1~2回寮の門限前まで話をしている。


 まだ長期休暇は終わっておらずあっという間に学園授業再開まで残り1週間。父から定期報告会の知らせを受け取った。



 「――お父様、この手紙は?」



 「明日の魔神グリムディアの石碑調査定期報告会の知らせだ。

 お前はまだ未成年だから18歳になるまでは、私が表向きは【守り人】を担う。しかし、魔神に関わる案件にはセシリアは全て関わらなくてはならない。

 今までは私だけが参加していたが、すでに【守り人】となったセシリアには参加の義務がある。

 私はお前の安全を守る為だけに【守り人】を継続するだけだ。【守り人】としての判断は今後はお前が決めるのだ。」


 厳格な面持ちで話はするものの、そこにはセシリアへの愛情も感じられた。


 普段から厳しい表情の父が、一途な愛?は信じがたいが、普段は隠しているのだろうか?厳格な父と母のラブラブな姿はとても想像できない・・。


 ふと先日のバトネ家の気質(・・)を思い出したのだった。


 でもその気質ならばセシリアがハリアスに愛情表現が強かったのも納得出来る気はする。


 今日は(タウンハウス)へ泊ることにしていたので、私は父の執務室のソファで報告会のための話を数時間かけて共有してもらうのだった。


 




 ***





 ――王都の西側に位置するローランド大教会の神殿の談話室では、今から報告会が始まろうとしている。


 父に連れられて出向くとそこにはハリアス・宰相・王国第1騎士団団長・王国第2騎士団団長・リュシード・司祭2名・他護衛や部下たちが集まっていた。


 セシリアも定められた席に腰かけると最後に大神官と共にアイも部屋に入室し、全員の顔が揃う。



 「今年も無事に死傷者なく石碑と周辺の調査は終わったようですが、ご報告いただけますか?」


 穏やかな表情で微笑む大神官であるフリード・コーザスは、若干22歳で大神官となってから10年以上教会をうまくまとめ上げているらしい。


 元々は平民だったらしいが、聖力の多さから神官に抜擢され、あっという間に最高位にまで駆け上がった有能な方。

 背丈は180cmまではいかずとも細身の体形もありすらっと高くも見え、髪の毛は淡いミルクティのような色で金髪ではないのに輝いて見える。エメラルドグリーンの瞳に見つめられたら清涼感で癒されるのではと感じてしまうだろう。白と銀糸の神父服は重厚感はあるがとても爽やかに着こなし神々しささえ感じる。

 ぱっと見は本当に美しい美丈夫である。


 


 「今回の調査では周辺の魔獣の出現率が昨年に比べて非常に増えています。

 昨年は月10体もいなかったのに対して今年の討伐記録では週5体は確認されており、場所も今までは人の居ないモラン山の中が多かったのに対し、今年は山の麓の畑や人の居る場所など大きく変わっています。

 さらに出現方法もワープホールから現れたという報告がほとんどであることから、故意に仕組まれている可能性もあると懸念されます。」



 「-故意?おっしゃる意味が分かりませんが説明願えませんか?」

 

 バトネ公爵の報告に宰相がすかさず口を挟む。


 「今までであれば魔獣を発見する際【遭遇】することがほとんどで、ワープホールから出現することなどありえませんでした。しかし、今年はワープホールの出現が多数報告されているのです。

 魔獣は強いですが、頭を使って場所を選ぶようなことは今までありませんでした。偶然野生動物と遭遇するのと同じ感覚だったのですから。

 それが意図的に人がいる場所にワープホールをつかってわざわざ魔獣が出現するでしょうか?

 今はまだ不確定ですが、故意に何者かの狙いによって魔獣が出現させられている。とも見ているということです。」


 「・・・・・」


 何者かの存在を理解したのか、宰相を含め皆しんと静まり返る。


 今までの報告で、魔神と魔獣以外の話以外に第三者の存在は確認されてこなかった。それがいきなり公表され、魔獣も増えている現実にただ事ではないと皆察したのだろう。



 「・・では報告を続けましょう。

 石碑では今回優秀な成績を収め続けている娘、セシリアに【守り人】継承の儀を行いました。」


 「――セシリア嬢の【守り人】継承は18歳を過ぎてからの予定だったはずでは?」


 「えぇ、その予定でした。

 しかし、先日娘が訪れていた王都の公園で魔獣が出現いたしまして、その討伐を娘は一人で完遂いたしました。齢で判断する必要はないと判断して行いましたが、少し困ったことになりまして、その報告が本日一番の重要報告となります。申し上げてもよろしいですかな?」


 ちらっとフリード大神官に視線を向けるとこくりと頷かれる。


 「今から2年以内に魔神が復活(・・)すると宣言されております。」



 「!!!!!」

 

 バトネ公爵はセシリアが憑依されるという話は伏せたうえで報告してくれた。

 あまりに衝撃的な言葉に皆、声も出せずに愕然としている。


 魔神復活(・・・・)それ即ち人類の滅亡を意味するからであった。



 「――報告は以上です。」


 厳格な表情は崩さぬまま、バトネ公爵は報告を終えると席に腰かけた。


 

 静まり返る室内で口火を切ったのはハリアスだった。



 「今回の調査報告を私は先に公爵から聞いていた。そして今後の対策を考えたのだが話をさせてもらってよいかな?」



 「――殿下がですか?・・どうぞお願いいたします。」


 少し驚いたような表情を見せた後にフリード大神官は同意する。



 「今回公爵の報告を受けて、私はもう一度過去の魔神封印の際の資料を調べなおした。

 まず、過去封印を行ったのは女神の恩寵を持つ王太子と、優秀な魔法使いによって封印されたと記されている。

 しかし、当時は聖女は召喚されたことは一度となく、今回なぜ召喚されたのか未だ不明だ。


 これがもし女神様の思し召しなのだとしたら、魔神復活に対する対抗策としての聖魔法と関係していると私は視ている。

 そして、恐らく膨大な魔力でなければ再封印は難しいと危惧している。


 私は女神様の恩寵を授かった者として責務を聖女と共に果たそう。そして、【守り人】となったセシリア・バトネと私の側近兼聖女の護衛を務めるリュシードの4名で選抜隊を組み、再封印のためこれから力を合わせていく所存だ。


 今後私たちの下に教会や騎士団、調査団から聖魔法の使える司祭や派遣の護衛騎士、調査兵を補いたいと思っているので協力を頼みたい。

 私と聖女の聖魔法の訓練にも協会側には尽力してもらいたい。どうだろうか?」


 ハリアスの言葉に皆騒然としていた。



 「――俺も魔獣の出現の仕方はおかしいと思ってますよ。

 懸念する魔神復活も、魔神に従う奴がいるっていうのも信ぴょう性はあるっちゃあある!

 うちは魔獣との闘いは慣れっこだから命令が入れば尽力はしますよ。」


 軽い口の利き方をする魔獣討伐専門の王国第2騎士団団長ダウザは平民も所属する騎士団の為かフレンドリーな物言いがよく物議を醸している。


 セシリアにとってはこういう人材は非常に扱いやすく、接しやすいため思わずこっそりと狙いを定めてしまう。



 「私たちは【守り人】(セシリア)の総意に従う所存です。」


 バトネ公爵もすぐに賛同する。


 「我々は王国内の治安を第一としておりますので、必要に応じて尽力致しましょう。」


 少しだけ不服そうな王国第1騎士団団長ルーヴィッツも同意した。




 「私どもも勿論尽力致しますよ。

 ・・・ただ、セシリア嬢が【守り人】として本当に優れているのかは私は自分の目で見たわけではございませんので賛同してよいものか・・

 我々は日ごろから聖女様の安全と成長に尽力しておりますので、聖女様の妨げになっておられないか心配でならないのです・・。

 優れた魔力を持つ魔法使いでしたら、こちらでご用意もできます。選抜される方に関しては再度ご検討いただいてはどうでしょう?」


 穏やかで優しい微笑みを浮かべながらもとんでもない辛辣な言葉を投げつけてくる。

 ふう~とため息を吐くフリード大神官の言葉に場は凍り付くのは当然だった。



 (・・・あ・・これ私相当嫌われてるやつね?)


 優しい物言いではあっても、内容は明らかにセシリアを認めてはいないのは一目両全。継承の儀まで疑うとはどれだけ嫌っているのだろうか。


 前世を思い出す前から全うに生きてきたからこそ、面と向かって偉い人に否定されるのはかなり気持ちにグサッとくるものがある・・。




 

 「私はセシリアがいなきゃ働きませんよ?」



 (―――アイ?!)


 ズバッと告げる言葉に驚き視線を向けたが、皆同じだったようで一斉に視線はアイに向かっていた。


 

 「――聖女様?

 ・・・何故そのようなことをおっしゃるのでしょう?

 貴女様にとってセシリア嬢は障害にしか―――。」


 

 「面白いことを言うのだな。大神官よ。

 セシリアがどれだけ聖女と仲が良いのか知らぬのか?

 今回の選抜とてセシリアがいたから聖女は了承したのだ。

 聖女から報告を受けなかったのか?」


 大神官の言葉に被せるようにしてハリアスはセシリアの必要性を述べ、さらにはフリード大神官を追い込む気満々のようだ。


 「・・・お話は伺ってはおりました。

 しかし、いずれ聖女様はこの国にとっても殿下にとってもなくてはならない方になる予定です。

 殿下の婚約者とうまくいくとは到底思えないのは当然では――」


 「大神官、貴方は何か勘違いしているようだな?

 聖女は私と添い遂げるような言い分ではないか?

 後にも先にも私の婚約者は1人だが?」


 「――殿下。それを決めるのは早計かと。

 今はまだ何も決まってはおりませんし動いてもおりません。

 断言されるのはご自身の首を絞めるも同じ。

 それに余計な火種は作らぬほうが良いのです。」


 厳しい物言いのハリアスに全く動じないフリード大神官は、さも当たり前のように言葉を重ねていく。



 「私の作った選抜隊は変更はせぬ。

 聖女よ。貴女はどうだ?」



 「私も同感です!大神官様は私にとてもよくしてくださっていますが、

 セシリアとのことを悪く言われるのは納得できません。

 もし本当にはずせというのなら、私はこれから王宮と学園でしか過ごしません!

 それでも良いですか?」


 

 「・・・聖女様がそこまで慈悲をされるのであれば私がとやかく言うことではないでしょう。

 殿下にはこれからのことを冷静にご判断いただけたらと願っております。」



 「――では特に問題ないと判断する。

 今後の選抜隊の活動に関しては追って連絡する。各部署の責任者たちは、迅速に動いてくれることを期待している!」

 


 ハリアスの覇気に皆感嘆する。


 しかし、セシリアの心にはフリード大神官の言葉は大きな棘となり自身の心に傷を残すのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ