1…聖女降臨
―――――ギイィィィィ・・
扉を開けて中に入るとすでに何人もの神官や王族が集まっている。
「遅かったじゃないか!セシリア早くこちらへ来なさい!」
父は厳しい表情で呼び寄せる。
指示された場所に立つと、目の前の祭壇には光がぐるぐると渦巻いており、その近くには見慣れた美しい少年が佇んでいた。
(ハリアス様・・・)
ハリアス様はこの国(ローランド王国)の王太子であり、私の婚約者でもある。
15歳にも拘わらず、すらっと高い高身長に襟足が長めの漆黒の黒髪は前髪も眺めで目を隠さないように手でよくかき上げられることが多く、その仕草でどれだけの少女が彼の虜になったかわからない。
瞳は蜂蜜のように蕩けるような黄金色で、長い睫毛と大きな瞳は見つめられると彼の魅力に閉じ込められてしまいそう。
口の左下の黒子は色気をこれでもかという程引き立たせ、微笑みかけられようものなら鼻血も覚悟しなければならない。
この色気の権化のような少年が、自分の婚約者だなんてセシリアは未だに信じられない。
渦巻く光に照らされるハリアスの美しい顔を呆けながら見つめ続けていると、突然強い光があたりを包み込み、光のあった場所には少女の姿があった。
黒とまではいかない焦げ茶色のセミロング程の髪の毛に、小柄な背丈。瞳はクリっと大きな焦げ茶色の愛らしい垂れ目。海軍の少年兵が来ていそうなセーラ―のような服に随分短い膝上までのスカート。
―――まるで聖女のよう
(ん???・・・聖女???)
光から現れた少女を見て思わず心の中で呟いた自分の言葉に自分自身が驚愕する。
そしてその衝撃と共に、見たこともない景色や人物が次から次にセシリアの頭の中に流れ込んでくる。
パニックを起こすセシリアをよそに、ふわっと舞い降りた少女はハリアスに支えられ頬を染めてウットリしながら何か話しているその姿は恋の予感を感じさせるかのようにも見て取れた。
我に返った瞬間、セシリアはハリアスと少女の微笑み合う姿を目の当たりにして思わず心の中で叫んでしまう。
(――【愛の行方】の世界なの?!!)
セシリアはあまりの強いショックで目の前が暗くなり意識を手放すのだった。