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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第10章 復活の悪役令嬢
394/555

393.重大発表

 お城のパーティー会場に入ったキャサリンは、あっという間にクラスの女子たちに取り囲まれた。

「キャサリン様。本当にありがとうございます。

 おかげで、クラスの女子全員無事にパーティーに来ることが出来ました。

 こんなにキレイに着飾って、こんな華やかな場にいられるなんて、何もかもキャサリン様のおかげです」

 女子を代表して、メガネ女子があいさつする。


「あなたは、アグネスさんですね。

 母のドレスが、本当に似合っていますわよ。

 きっとドレスも喜んでいますわ」


「キャサリン様。私の名前を憶えてくださっていたんですね。

 光栄です。しかも、お母さまのドレスをお貸しいただいて、着た姿までほめていただけるなんて、もう今日死んでも悔いはないくらいです」


「大袈裟ですわよ。

 本来パーティーは、楽しいものです。

 みなさん。ぜひ今日は楽しんで帰ってくださいね」


「「「キャサリン様ー」」」

 女子たちは、次々と感激の言葉を口にする。




 その後、クラスの女子たちは生まれて初めての華やかなパーティーに興奮してはいるが、どこでどう振る舞ったらよいのか分からない。

 必然的に、キャサリンのそばで群れることになってしまった。


 ただ、このパーティーには多くの貴族が招かれている。

 貴族たちにとっても、キャサリンは重要人物だ。

 キャサリンが貴族たちに囲まれてしまうと、女生徒たちは後ろに下がるしかなかった。


 あっという間に、キャサリンとは引き離されてしまった。



 男子たちも、同じようにサナンダを囲んで群れていた。

 サナンダの方は、貴族としてそれほど重要人物ではなかったので、男子たちは思う存分サナンダの近くでパーティーを楽しむことが出来る。



 パーティー会場には、次々と豪華な料理が運び込まれてくる。

 魔法学園の生徒たちは、立食パーティー自体が初めてだったので、男子も女子もサナンダだよりとなった。




 しばらくすると、パーティー会場のあかりが消えた。

 暗闇の中、ざわつく会場にスポットライトの魔法がともる。

 灯りが照らすのは、さっきまで会場にいなかったはずのエドワード皇子だった。

「やあ、帝国の主要な貴族の皆様、そして魔法学園の俺のクラスメイト達。

 今日は、俺の招きに応じてくれて感謝する」

 エドワードは、魔法の拡声器を使って挨拶を始めた。


 暗がりの中にいる司会役が、それに応える。

「皇子様。今日は皆さま、皇子のお招きで集まりました。

 ただ、重要な発表があるということなので、みんなそれを待っています。

 実を言うと、司会をたまわったこの私も、その重大発表が何なのかお聞かせいただいておりません」


「ああ。そうだな。

 俺が、一人で考えに考え抜いて決めた事柄をこれから発表したいと思う」


 それが何なのか、会場内は水を打ったような静けさに包まれる。

 みんなの注目が集まる中、エドワードは一枚の紙を取り出して、読むような姿勢になる。

 それを読み上げるのかと思うと、紙を降ろした。

「重大発表は、読み上げようかと思ったが、やはり自分の言葉でやりたいと思う。

 キャサリン、クララ。ちょっと、こっちに来てくれないか?」


「何かしら、一体」

 ちょっと不審に思いながら、キャサリンはスポットライトに照らされた方に歩いていく。

 クララも、遠慮がちにその後を付いて行く。



 二人の女性がエドワードの近くに立つと、エドワードは魔法の拡声器が必要ないほどの大声でまくし立てた。

「ナードハート帝国、第六皇子エドワード・ナードハートは、ここに宣言する。

 かねてより婚約していたキャサリン・ノーベルとの婚約をここに破棄する」


「おおーっ」

「ええーっ?」


 皇子の言うことなので、とにかく歓声をあげておこうという人たちの声に混じって、戸惑いの声が響く。

 特に、魔法学園のクラスメイトの女子は悲鳴のような声を上げる。

「エ、エドワード様、どうして?」


 キャサリンは、ついにこの日が来てしまったかとちょっと焦る。

 ゲームだと、皇子からの婚約破棄はキャサリンの没落へのターニングポイントだ。


 エドワードは、キャサリンの方をにらむように見つめながら話を続ける。

「キャサリン・ノーベル。

 君は、あるパーティーでこちらのクララ嬢がこぼしたジュースで母の形見のドレスが汚されたと騒ぎ立てて、クララ嬢を陥れようとした。

 俺は、それを止めようとして仲裁に入ったところ、なぜか君と婚約することになってしまったんだ」


 (ああ、そのルートで婚約することになったんですわね)

 キャサリンは、心の中で納得していた。

 完全にゲームの通りの筋書きだ。


「だが、ファルマイト公国の公爵家との関係が築けることから、父の皇帝陛下も喜んでくれたし、たくさんの方が祝福してくれた。

 だから俺は、愛情などなくても君と結婚する覚悟を決めていたんだ」


「愛情は、無かったというのですね?」

 キャサリンは、思わず聞いてしまう。


「ああ。君は、本当に意地悪で人を傷つけることが趣味なのかと思ってしまうような女性だからな」


「そ、そんなことありません」

 勇気を振り絞って叫んだクラスメイトの方を、エドワードがにらみつける。

 クラスメイトは、キャサリンがドレスを貸してくれたことなどを言いたかったが、エドワードの迫力にそれ以上言葉を継げなかった。


「とにかく俺は、キャサリンとの婚約を破棄する。

 皇帝陛下や関係者への相談はしていないが、もう決めたことだ。

 公の場で宣言した以上、もう取り消すことは出来ないと覚悟を決めて発表させてもらった」

 エドワードは高らかに宣言した。


 それに合わせて、パーティー会場の灯りが元通りになる。

 会場内は、賛否両論が渦巻いて騒然となっていた。


次回更新は、2月14日(火)バレンタインデーの予定です。

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