表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第10章 復活の悪役令嬢
389/554

388.お城のパーティー

 少し良い気分になったキャサリンが家に帰ると、玄関で執事に呼び止められる。

 サナンダはゴールボール部の練習に参加しているので、一緒ではない。

「キャサリンお嬢様。お城から招待状が届いております」


「あら、ありがとうございます。

 招待状って、何かパーティーでも開くのかしら」

 そう言えば、長いことお城にも行っていないことに気づいた。

 当然、エドワードの部屋にも行っていない。

 まあ学校での様子からして、しばらくはエドワードの部屋には入れないだろうとは思ったが。


 部屋に帰ってから、まず普段着に着替えた。

 着替えたというか着替えさせられた。


 招待状の封を切って、中を見る。

 お城のパーティーは結構頻繁にあるので特に気にはしていなかったが、エドワード直筆の手紙が入っていた。

『今回のパーティーでは重大発表をするので、絶対に来て欲しい』

 と書かれていた。


「重大発表? 何かしら?

 もしかしたら、学校で婚約者に対して冷たくし過ぎたことを謝罪してくれるとか?

 それは無いか」

 キャサリンは、独り言で自分で自分に突っ込みを入れた。


 とりあえず、メイド長を呼んで次週の週末にお城でのパーティーに行く準備だけ頼んでおいた。

 2週間後にアジサイかオリガが帰ってくると考えると、1週間後のパーティーの重要度は全然高くなかった。




 招待状が届いたのは週末だったので、キャサリンは休日を優雅に過ごしてから週明け、魔法学園に登校した。


 教室に着くや否や、ナタリーが興奮した様子で話しかけてくる。

「キャサリン様ー。なんと今週末のお城でのパーティーにお招きされましたのー。

 お城のパーティーに招かれるなんて、すごく光栄ですわー」


「お城のパーティー? あ、ああ。そういえば招待状が来ていましたわね」


「キャサリン様にとっては、お城でのパーティーは日常のことなんですね。

 でも、私たち平民にとっては一大事です。

 ああ、今から楽しみで仕方ありませんわ」


 ウットリするナタリーを見て、キャサリンは少し反省していた。


(いつの間にか、すっかり貴族の生活に馴れてしまっていましたわ。

 お城のパーティーも、いつものことだと軽く考えて。

 普通の人は、こんなに感激するものなのに。

 こんなことでは、尊大な悪役令嬢になってしまうのも時間の問題かも。

 気を付けなくては)




「あ、あのー、ちょっとよろしいでしょうか? キャサリン様」

 反省しきりのキャサリンに、クララが少し遠慮がちに聞いてくる。

 後ろにクラスの女子のほとんどを従えている。


「な、何かしら?」

(こんなに多くの人が身分の差を超えてでも言いたいことがあるなんて、α世界線の私は、一体何をやらかしたの?)


 ちょうど自分が慢心しだしたことを心配していたので、クララだけではなくクラスの女子全員で抗議に訪れたのかと肌が泡立つ思いだった。


「実は、クラスの女子たちから相談があるようなんです」


「そ、相談? ウ、ウフフフ

 相談でしたら、いくらでもどうぞ」

 キャサリンは、自分の考えていた恐ろしい状況との落差に少し拍子抜けした。


 クララは、申し訳なさそうに言う。

「本当は、みなさん私に相談に来られたんですが、私ではちょっと心もとないので」


「まあ、クララさんに答えられないような難問なら、私にも難しいかも知れませんわよ」

 キャサリンは、予防線を張る。


「やっぱり……、ダメですか?」


「いえいえ。そんなことは、ありませんわよ。

 どうぞ、お話しくださいな」


 クララは、意を決したように話し始める。

「はい。それでは。

 今週末に開催されるお城のパーティーなのですが、クラスの女子全員が招待されたみたいなんです」


「ええっ?」

 ナタリーが嬉しそうに話していたので、大金持ちのナタリーだけ招待を受けたと思っていた。

 女子全員を招待とは、また思い切ったことをしたものだ。

 恐らく女子全員ではなく、クラス全員なのだろう。


「それで、女子のほとんどはパーティーにどんな格好で行けばよいのか分からなくて、私のところに相談にやって来たんです。

 でも、私も貴族になったばかりなので、どこまでが許されるのかとか難しいところが分からないんです。

 そこで、貴族としては最高峰ともいえる公爵令嬢のキャサリン様にお聞きしようということになったんです」


 クララの説明に続けて、真面目そうなメガネ女子が訴えかけてくる。

「すみません。キャサリン様。

 私たちは、貴族の方たちと机を並べて勉強させていただいておりますが、ほとんどの者は貧しい庶民なのです。

 そんな晴れやかな場に着ていくような服は持っておりません。

 もし頑張って用意したとしても、ドレスコードとか分からないので、失礼に当たるのではないかと心配で心配で」


 別の女子が、泣きそうな声で話す。

「お城のパーティーなんて一生縁がないようなモノなので、出来れば行って見てみたいんですけど、私たちが行って良いような場じゃないと思います。

 ですから本当はお断りしたかったんですが、エドワード様直筆の手紙が入っていて、『今回のパーティーでは重大発表をするので、絶対に来て欲しい』と書かれていたんです。

 これでは、お断りすることも出来ません」


 さらに他の女子も続ける。

「私たち、自分たちが自由になるお金なんて持っていないんです。

 もし参加費とかかかるようなら、お支払いできないので……、それも心配で……」

 本当に切実そうだ。


「分かりましたわ。皇子ったら、皆さんの事情を何も考えずに、何か発表したいからといって全員に招待状を送ったんですね。

 まずお金のことですけど、招待してもらっているんですから基本的に招待した人が費用は持つものです」


「でも、それは貴族の方々はお互いにパーティーに招待し合っているからでしょう。

 私たち庶民は、パーティーなんて開けません。

 参加費を請求される可能性は、すごく心配なんです。

 貴族の方たちにとって申し訳程度の参加費でも、私たちには大金なのです」


「そんなに心配でしたら、もし万一参加費が発生する時は、クラスの女子全員の参加費は私が持ちますわ。

 これで安心できるのではありませんか?」


「わあーっ」

「おおーっ」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます、キャサリン様!」

 みんな口々に、感嘆の言葉や感謝の言葉を口にする。


「いえ。参加費はかからないと思いますから、お礼を言われるほどのことではありませんわよ」

 キャサリンは、ちょっと照れてしまう。


「でも、キャサリン様からそう言っていただけるだけで、みんな安心してパーティーに行くことが出来ます。

 キャサリン様に相談できて、本当に良かったです」

 最初にクララに続けて話し始めた真面目そうなメガネ女子は、涙を流さんばかりだ。


次回更新は、1月26日(木)の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ