夜の賭け事
1時間後部屋に戻ってきた放浪人はその場で啞然とする。
「おまえ。何やってんだ」
「……調べもの」
机の下に何冊もの本を広げ黙々と書き溜めていくリノアスの姿
「どこから入った鍵は閉めたはずだが」
するとリノアスは二階のベッドを指さした。
放浪人が目を向けるとそこには丸い穴が空いており
穴の中にはもう一つの部屋。
ここよりも割と綺麗で広い部屋
「……わたしの部屋を繋げた」
「いつの間になぜここにこだわる」
「……ここは懐かしい感じがするから
あそこは綺麗すぎる」
放浪人は頭をかきため息をつくともう一つの部屋を指さした。
「出ていけ」
「……」
何か不服そうな顔を浮かべ。のそのそと本を持ちながら出ていく
「まったく」
放浪人はため息をつくと立てかけてある剣を掴む。
「……どっか行くの」
「まだ戻ってなかったのか」
ベッドの2階から顔をのぞかせて訪ねるリノアス
「夜の散歩だ。お前は早く戻れ」
そう言いながら剣を鞘から少し抜き剣身を確かめる。
「……それ持っていかない方がいい」
「ん?なんだ急に」
「……よくない感じがする」
「勘か」
そう言うと放浪人は剣を鞘に戻し背に背負った。
「忠告は聞きたいがこいつは使うんでな」
そう言うと部屋から出ていった。
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夜。満月。月の光が辺りを照らす。
「この裏を回るとステージの第三入り口があります」
ログに表示された通りに放浪人は誰にも見つからないように
進み無事先ほどのステージにたどり着いた。
場内は明かりが点灯しステージを照らし出す。
その上には既に先客が見える。
「どうやら逃げずに来たようだな」
そこには生徒会と記された腕章をつけたシーズニングが
腕を組んで放浪人を見下げる。
「随分洒落た物をつけているんだな」
階段を上がりながら放浪人が肩をすくめた。
「お前にわかるかこの腕章の素晴らしさが」
「わからん」
「ふん。無知というのは罪なものだ」
シーズニングはほくそ笑んだ。
階段を上がり放浪人がシーズニングの前に立つ。
「ここでやるのか」
「ああ。ところで約束は覚えてるか」
放浪人は頷くと背に背負っている剣を前に出した。
「そうだ。パープルレッドの落ちこぼれでも
約束を忘れないんだな」
シーズニングは目の前にある剣を見てニヤリと笑う。
「エルフ族の魔具。風の剣。エルフ族が滅多に外に出さない魔法具を
まさかこんな奴が持っているなんて」
「…ところでおまえこそ自分が言ったことは覚えているだろうな」
「覚えている。負けたらパープルレッドが使えない施設を使えるように
するんだったな。まっ俺が負けることはないと思うが」
「悪いが俺もこれを手放すわけにはいかないんでな」
すると放浪人は剣を引っ込め革の手袋をギュッと付け直す。
シーズニングがその態度が気に入らないのか
眉間にしわを寄せる
「おまえ少しは態度を改めた方がいいぞ。この学園で少しでも
残りたいならな」
「そんなことより。本当に約束を守るんだろうな」
「っち。俺が嘘をついてるっていいたいみたいだな
さぁな。負ける気は全然ないしなパープルレッドごときに」
「俺も負ける気はない」
放浪人の言葉にシーズニングはキレかけ胸元を掴もうとした
「では私が保証人になってあげますよ」
すると放浪人が入ってきた客席ドアからやってきました報道部!
ソレアが歩いてくる。もう一人の少女を連れて
「リノアスか」
放浪人が名前を呼ぶとこくりと首を縦に振る。
「貴様らここに何しに来た」
シーズニングは不機嫌そうに睨むとソレアはバンドのレンズを光らせた。
「いやー面白そうなことには首を突っ込むのが私の流儀なので
それにそれぞれ立ち合い人がいた方がよろしいかとおもいました
あっ因みにこの子は私が来る途中で入り口前で見つけたので
連れてきただけですよ」
ソレアは笑いながらリノアスの肩を叩くとぺしっとその手を弾かれた。
「うわ。ひどい」弾かれた手を見つめながらショックを受ける。
「……わたしは見に来た」
無表情で放浪人に言いきるリノアス。
「ギャラリーがふえたな」
「いいじゃないか。ちょうどいい。ここでお前を倒してトップクラスの力を示せば
パープルレッドのゴミがいやそれ他の奴らも二度と我々に楯突く
事がなくなるんだ。よし報道部ともう一人の女。
立会人としていることを許可しよう」
シーズニングは後ろに下がり指を鳴らす。
「許可がなくても勝手にやりますけどね。わたしは」
ソレアはため息をつくも再びレンズをステージに向ける。
「それで戦い方はどうする。このまま殴り合うのか」
「馬鹿か。それだと身体能力が高いお前が少し分がある
ここはこれで勝負しよう」
シーズニングが腕を上げるとステージが光始めた。
実技試験どうよう宙には名前と体力が表示される。
「体感は高めにしようその方がスリルがある」
シーズニングは腰に巻いてあるナイフを引き抜いた。
「それじゃあ始めようか」
ステージにまわりには数個光り輝く宝石が浮かんでいる。
「……あれは?」
リノアスが隣にレンズを構えるソレアに訪ねる。
「あれですか?あれは魔石ですよ。掴むと適性がなくてもその石に込められている魔法が使えるように
なるんです。もちろん一回だけで威力も純の魔法と比べて格段と劣りますけど」
「……」
それを聞くと少し興味深そうにステージを眺めた。
「俺が魔石の使い方を教えてやる」
まず最初に仕掛けたのはシーズニング。
近くにあった緑色の魔石を掴むとそのまま
物凄いスピードでつっこんでくる。
「くらえ!」
シーズニングが手に持っているナイフを放浪人を狙って振るも外れ空を切る。
「踏み込みが甘いな!くらえ」
放浪人はニヤリと笑い地面を蹴り体重を乗せた拳の一撃!
拳はシーズニングの服をかすめていく
「ぐっお…」
シーズニングは慌てて後ろに下がり服をおさえる。
「おお。あの速さにすぐさま対応するなんてやりますね」
ソレアはパシャパシャっとレンズを光らせる。
「……あれが魔石の効果」
「そうですよ。緑色は風です。あれを使うとスピードが一時的にあがるんですよ」
するとソレアが手に小さな風の渦を作る。
「こういうふうに攻撃でも使えるんです。いやー風は便利」
そのまま風は手から離れ空に散った。
「今度は俺からいくぞ」
放浪人は一気にシーズニングとの距離を詰めると腹部めがけて拳を放った。
「ぐっ、やばい」
シーズニングは咄嗟に近くにあった魔石をとると障壁が現れる。ガチンっと拳を弾く音がなり
放浪人は弾かれると障壁は崩れ去る。
「っち。また物理無効って奴か」
放浪人が手を振り苛立つ。
「おお。6番さん。なかなかやりますね。シーズニング君が運悪く物理無効の魔石を
拾ってかわされましたが一度しか使えないませんからねー
これは結果は見えてしまいましたかねー」
シャッタ音をならし。シーズニングの敗北記事の
内容を考えるソレア。
「……まだ油断はできない」
リノアスがつぶやく。
「油断できない?っというとまだ何かあるとお思いですかですかリノアスさん」
「……そう」
ソレアの問いに素っ気なく応えるリノアス
「うーん。ノリが悪いですね。具体的に言ってもらわないとわからないですよ」
「彼女の言う通りだ」
すると彼女たちの後ろから男性の声ソレアはその声に聞き覚えがあった。
「おや、サイガ君も見学ですか」
そうサイガだドアの前で腕を組み放浪人とシーズニングの戦いを静観していた。
「研究室から出たら何やら騒がしい音が鳴っていたからな」
「それで観戦しに来たと」
「そうだ」
サイガは頷く。
「えーっとそれで。リノアスさんの言う通りとはどういうことですか?」
改めてバンドをサイガの方に向け訪ねるソレア。
「奴は少なくともトップクラスに上がった実力者だこれで終わるとは思えない」
そう言うとサイガはステージを眺めた。
「なるほどーそれで今後どうなると予想します」
「……」
だんまりするサイガ。
「わたしなんか無口な方ばかりで寂しいんですけど…」




