片付け
「 こんなものか 」
少しの間世話になった部屋をあらかたかたずけ終わり
放浪人は一息つく。
「 あとはそこに置いてある本を片付けるだけですねマスター 」
机の上に置いてあったログはライトを点滅させ隣の少し積まれている本を照らす。
「 そうだったな 」
放浪人は本を手に取りパラパラとめくる。
「 今でも全然理解できない。 よく受かったもんだ 」
「 そうですね。 これもミツザワさん達のおかげですかね 」
「 全くな 」
バスンと本を閉じる音が鳴り響く。
「 そういえば初日に持ってきた本… 」
思い出したように積まれている本の一番下に下敷きになっている
紫色で回りの金の装飾が施さている分厚い本を手に取った。
「 それがどうかしたのですか? 」
「 ザガンのところでみた宮殿の金を思い出したから
何か書いてあると思ったんだが……これじゃな 」
本を開こうとするも開く様子もない
「 大人しく本を戻すとするか 」
放浪人は本を一回強く握るとそのまま本が重なっている一番上に
置きまとめて持ち部屋から出ようとする。
「 あれ。 マスターわたしを置いて行くのですか? 」
「 今両手塞がっている。それに戻しに行くだけだ 」
「 すぐ戻ってきてくださいね 」
放浪人はため息をつき器用に部屋のドアを開け外に出ていった。
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光はない薄暗い静かな廊下。
放浪人は足もとに注意しながら階段を下っていく
図書室の前に差し掛かった時中から物音がする。
まだだれか起きているのか、放浪人は片手でドアを開く
「おっと」
本が傾きバランスを崩すと放浪人がドアにもたれかかり
バタンと大きな音をたてながら開けてしまう。
すると先ほど聞こえた物音が止まる。
部屋の中は月あかりと両端にあるライトで薄暗くなっている
本棚と机に本がある図書室
そこには放浪人以外の姿はない
「誰もいない…って分けでもないな」
机には本が散らばり本棚の下は何冊もの本が散らばっている
そして薬品の匂い、誰かがつい先ほどいたような形跡は十分だ。
「 リノアスいるんだろ 」
一番散らかっている本棚の方を向き放浪人が声をかける。
「……またわかったのか」
するとスゥッとその姿は浮かび上がるそれは
いくつかの本を持っているリノアス。
「なんだ。こんな夜中に泥棒か。本を盗むなんて随分
味気ないことをするんだな」
放浪人は冗談交じりで肩をすくめる。
「……違う本を返しにきただけ」
「だったら姿を隠さなくていいだろう」
「……」
少し気分を損ねたのだろうかフイっと無愛想に
顔を背けると手に持っている本を一つ一つ確認するように戻し始めた。
「そうか。俺と同じだな」
そう言うと放浪人は手前の机に本を置いた。
「 ところで本はこの机に置いとけば受付の人間が
空いた期間中全部本棚に戻すのを知っているか 」
その言葉に不器用に本を戻していたリノアスの手が止まる。
「……知ってた」
そう言うと落ちている本を持てる分拾うと放浪人のいる机に向かって
歩いてきた。本人はああ言っているが知らなかったのだろう
放浪人は頭をかき言葉を飲み込んだ。
「 にしても随分勉強熱心なんだなそんな大量に本を読んで 」
「 ……常に頭に何か入れるのは大事だから 」
「 そうかい。 1冊もロクに読めない俺には出来なさそうだ 」
机に置いてある本を叩き。 放浪人は眉を吊り上げる。
すると一番上の本に目がつく。
「 ちょいと聞きたいんだがお前魔法が得意なんだろ? 」
「 ……? ある程度は 」
「 この本開けるか? 」
放浪人が一番上に置いてある開かなかった本を上に掲げた。
首をかしげながら手に持っていた本を机に置くと本を確認する。
するとリノアスは驚いたように目を見開いた。
「 この本…私の 」
そう言うと放浪人から本を受けとった。
「 ・・・ずっと探してた 」
「 そうなのか。 すまないてっきりここのだと思っていた 」
リノアスが本を裏表と確認するのを見て
放浪人はバツの悪そうに頬をかいた。
「 ・・・中は見た? 」
「 見ていない。 そもそも魔法で開けられなくなっていると聞いた 」
「 …そう 」
リノアスは特に怒るわけでもなく本に手をかざすと
魔法陣が光出た後。特に何ごともなかったように開いた。
「 怒っていないのか 」
「 ・・・見つかったからいい 」
ペラペラとその場でページを見ながらリノアスは本を眺めた。
暗い中でも問題なく見れるよう文字は光を放っている。
「 聞くがこの本には何が書かれているんだ 」
「 ……ちょっと変わった魔術と金を作る方法。 他にもいくつか 」
リノアスは本を開いたまま放浪人に本を渡した。
「 なんて書いてあるのかさっぱりわからん 」
受験のため少し勉強した放浪人だったが見たことのない
文字の前に眉間にしわを寄せながらページを最後までパラパラめくる
「 ・・・…大丈夫。私もまだちょっとしか理解してないから 」
「 そうなのか。 まぁ俺は微塵もわからんが 」
そう言うと放浪人はリノアスに本を返した
「 ・・・色々な言語が混じりあってて中には暗号式になってる 」
「 これを書いて奴は人に読ませる気ないな 」
「 ・・・実際そうだと思う。 この本を読みたい人間が読む用だから 」
「 なるほど。 お前はこれを読みたいのか 」
リノアスは頷いた。
「 …ここにはすごい技術的な魔術が書かれていると思う
実際貴方にリンクさせる方法もこの本に載ってた」
「 あの時のあれか 」
放浪人は掴まれた腕を確認する。今はもうリンクは切れているが
実際自分が魔法を使えるようになったのもそれのおかげだ。
「 …私がこの学園に入る理由 」
リノアスは本を胸に抱きしめつぶやいた。
「 そうか…… だが流石に実技試験で寝るのはどうかと思うぞ 」
放浪人は肩をすくめて笑う。あの時放浪人の試合が終わった後
すぐにリノアスの名前が呼ばれ。女の教官と試合することに
なったのだが。その場で倒れ見事爆睡。
「 あれでよく合格できたもんだ 」
「 筆記と適性テストで満点ってわかったから問題ない 」
「 すごい自身だな。 まっこれからもその意気で頑張ってくれ 」
そう言うと放浪人は踵を返し図書室を後にしようと歩いて行く。
「 …あなたは何故この学園に 」
リノアスの言葉に放浪人は立ち止まった。
何故この学園にきたのか。それはミツザワ達にも全く同じ質問をされた。
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「俺はこの学園に入ったのはここで色々学びたいと思ったからだなライセンスを
沢山取っていずれ卒業したら自分の村で学校を開こうとおもっているからだ」
ミツザワが応える。
「 俺はこの学園で様々な特別クエストに参加することだな。そして
そのままプロギルド登録することだ 」
リクトリが胸を張り応え
「 わたしは特に目標はないけどーまぁ卒業できたら安定した職に就けるからかなー。
できるだけ楽な職がいいね。管理職とか」
ユオが思い付きのように応え
「 私は今の所治安維持局かな。 困っている人を助けたいので
放浪人は」
アムが考えんながら応え
皆。最低でもどうしたいか目的があった。
アムに聞かれ放浪人は考えた後とりあえず一つの答えを出した。
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「 さぁな。 行く当てがなかったからだ 」
放浪人は肩をすくめるとそのまま部屋を後にした。




