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酒場のベレシート

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サラーガの露店が立ち並ぶ場所から少し離れた目立たない所に

酒場『ベレシート』という看板を掲げている小さな建物の酒飲み場。

店の内装はというと木目調の綺麗な床にグレーの壁には肖像画や写真、サインが

あちらこちらまわりに飾っており歴史の深さを感じ。


ほどよいオレンジ色のライトがその場にいる人間の心を癒す。

カウンター横木の前には客用のカウンター席が四つ置かれ

少し離れた所にはハイテーブルと椅子が設置されているのでのんびりしたい客に好評

カウンターの奥には地元住人なら見慣れている酒や逆に今まで見たことのない酒がランダムに置かれている。

順番も定期的に変わることからミストレスが気分で並べる順番を変えているとのこと。


そんな店の扉がカランと乾いたベルの音とともに開かれる。


「さあ、はいってはいって」


女性の笑顔に招かれて洒落たバーに足を踏み込むサーナと放浪人。


「随分と洒落たみせだな」


味のある内装にヒューと口笛を吹き。なんの躊躇もなく店内に入る放浪人に

対してサーナは


「ちょっとどんどん進まないでよ」


放浪人のマントの裾を握りながら緊張した様子。


「タワケガ!」


同時にそこからスコンとシショウに脇腹を突かれた!

放浪人は不機嫌そうにサーナに振り向いた。


「何故、俺のマントを掴んでんだ。サーナ」


サーナはビクンと身を震わせた。


「う、う、うるさいわね!放浪人!しかたないじゃない

だ、だ、だってーこういう店は大人が来るところだし」


そういい慌ててマントから手は放したが手が寂しいのか人差し指をぐるぐる回しながら赤面する。

そんなサーナの様子に女性は振り向きながら優しく笑いかけた。


「そんなに緊張しなくてもいいわ。お客は滅多に来ないから」


笑顔を向けられ放浪人の後ろに隠れると

「はうう。あの人しゅごいよ」と悶絶する。


「よかったな」


そんなサーナの撃沈っぷりに対して放浪人は再びため息をついた。


「ていうか、なんであんたは緊張しないのよ」


サーナの問いに放浪人は頬をかき

「別に…」とメディアに反感を買いそうな一言でながした。


「ニシシーお客はいるんだけどねーミストレスー」


店内から突然の声。


「あら来てたのね。ソルシエール」


ミストレスと呼ばれた女性は驚きもせず笑顔で手を上げ挨拶を返した。


ソルシエールと名を返された女性は店の奥のテーブルに座っておりひらひらと陽気そうに手を振っていた。

見た目は黒いローブに赤い髪。眼つきの悪い女。いかにも中世の魔女という風貌。


「ミストレスさん?」


サーナが名前を確認する感じでたどたどしく名を言うとミストレスは優しく微笑み


「そう呼んで構わないわ。うふふ。わたしもサーナちゃんて呼ぼうかな」


と返した。再びサーナは赤面して放浪人の背中に逃げるように隠れた。


「おい!緊張するからっていちいち俺のマントに隠れるな!肩に乗ってるシショウが毎回どつくんだよ」


放浪人はマントを脱ぐと腕にまくりかけた。

逃げ場を失ったサーナがうううと唸り声をあげ勘弁したのかきょろきょろと小動物みたいに

肩身を狭くしながら店内を歩いていく。


ミストレスは二人をカウンター席まで案内し酒の瓶がおいてある受付に回り込んだ。

二人はそれぞれ席に座り、シショウは放浪人の横のテーブルにとまった。


「お酒は出せないからジュースでいいかしら」

「はいっだっだだだだいじょーぶです。ありがととーございます」


サーナは緊張して言葉に詰まっている。

ミストレスは近くの棚から飲み物の瓶を取り出すと二つのガラスのような半透明な

コップにオレンジのような色の液体を注ぎそれぞれのテーブルに置いた。


「どうぞ。最近仕入れたビタミンたっぷりの果実水よ」


ミストレスの笑顔と共に出された飲み物のコップを


「いただきますと」サーナはお辞儀しするとコップを持ちあげて

少し口に含み「ふぅ」と一呼吸して落ち着きを取り戻そうと奮闘する。


すると奥のテーブル席に座っていたソルシエールと呼ばれた女性が放浪人達がいる

カウンター席に歩いてきた。


「ヘー。この世界で私以外の初めての客だね。ミストレス」


煽るような声を上げたソルシエールはニヤニヤしながら金色の瞳で

放浪人とサーナを交互に上から下をなめるように観察する。


「二人に迷惑かけないでねソルシエール。わたしの大切なお客様だから」

「シシシ。だいじょーぶ。だいじょーぶ私は優しいから」


ヘラヘラとミストレスの話を流しながらサーナの隣の空いている席に躊躇なく座りこむ。


そして図々しく「それよりさー見て見て」といいカウンターに乗り出し

サーナと同じバンドを操作して細かな数値がかかれた画面を

ミストレスに見せつけるように立体的に表示した。


「ついに私ここの世界の魔術、魔法スキルコンプリートしたのー」


嬉しそうに笑いあげるソルシエールをミストレスは「そうなのすごいわね」とあまり興味がない様子

で聞き流していた。


「なによ。興味なさそうね。ミストレスー」

「だってわからないんですもの魔法とか魔術」

「えー。ちょっとは興味もってもいいんじゃない。便利よ」

「うーん」


ミストレスは困ったという表情を浮かべる。

そんな二人のやり取りを隣で見ていたサーナと放浪人。


「よくわからんが魔法や魔術のコンプリートってなんかすごそうだな。

もしかしたらお前よりすごいのかもな」


煽るようにチラリと横目でサーナを見る放浪人。


「…えっ嘘」

「あっ?どうした」


サーナは怒りもせずただ目を見開きソルシエールを見ながら驚いていた。


「ん?なにあんた鯉が餌をもらうみたいに口をパクパクして」


熱い視線にソルシエールは怪訝な顔をする。


(もしやあまりの実力差を感じて逆上したのでは)


放浪人は今にも飛び掛かろうとしているであろうサーナを止めようと手を伸ばした時


「貴方様は伝説の天才魔女ソルシエール様!」


予想とは裏腹サーナは興奮しながらソルシエールの手を両手で握った。

手を握られて啞然とするソルシエールをみて

ミストレスは「天才魔女魔女ね」とつぶやき微笑んだ。

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