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異次元

修正中

突如が強烈な光が目に差し込む!


「眩しい」


眩しさのあまり地面に仰向けになっていたイドルが目元に手をかざした。

ぼーっとしていた意識もはっきりしていき目に映る風景が色付き明確になっていく

本物の太陽の光。草木の匂い。揺れ動く風。少し離れたところから生き物の鳴き声がこだまする。

イドルは確信した。ザガンが作った空間は完全に崩壊したのだと


「戻ってきたんだ!」


嬉しさのあまり大声を上げてしまうイドルだがそれと同時に頭に強い痛みが襲う。

急な環境変化の痛みだろうと思いながら片手で頭を押さえ痛みに耐えながらゆっくり立ち上がる。


「大丈夫ですか。イドルさん」


強く握る手の中から心配するログの音声がなった。


「大丈夫だよ。急に戻ってきたから体が対応できなかったのかも」

「そうなのですか?なんだか血色の悪いお顔をしておられますが」

「でも痛みは少しずつ治まってきてるから。本当にこれぐらい何ともないよ」


イドルの言葉どおり徐々に痛みが和らいでいく、イドルは頭に手を押さえながら強く深呼吸し

落ち着き状況を整理し始めた。


「それより状況を確認しないとログさん、ここがどこだがわかります?」


ログは宙に地図を表示して見せる。


「現在地確認しました。ここは私達のいた世界、それも次元に入る前にいた森で間違いありません」

「よかった。ログさん。僕たち無事に戻ってこれたんだね」


嬉しさで興奮気味のイドル。すると後ろの方で草が揺れる音が聞こえた。

イドルは慌てて振り返って見ると


「ううう」


やせ細ったカシバシが唸り声をあげて倒れていた。

どうやら彼も戻ってきたらしいほんの少しだが体もやせ細った状態から少しずつだが元に戻ってきている。


「カシバシが近くにいるということは放浪人さんもすぐ近くにいるはず」


放浪人がいるであろう方向にフラフラとした足取りで向かうもそこには誰もいない。


「そんな。放浪人さん!放浪人さん!」


森の方に呼びかけるも生き物の叫び声しか聞こえない


「マスター!」


ログも声をかけるも返事が返ってくる様子もなかった。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


放浪人の目の前に広がる光景


(ここは…)


上も下もわからない灰色の場所すぐ横にはうねうね動く黒い物体がどこまでも続いている。


摩訶不思議で不気味なところだが放浪人にとっては妙な懐かしさがあった。


はじめて見る光景だが感覚が初めてではない少し経験した記憶にある感覚。


(俺が死んだとき…生と死の狭間か)


その時ほど神聖さはないものの全く同じ感覚

ゴオオっと風の音にも叫び声にも聞こえる音が鳴り響く。


(なるほど魂の力…神に似たことをしようとしたんだな)


神と放浪人が始めてあった場所に所々酷似している空間にザガンの目的をほんの少し理解した放浪人

だがこの場所には神はいない


(さてどうしたものか)


ザガンの言葉が放浪人の脳内をよぎる


『次元の狭間をさまようんだな』


消える前に言い放った最後に言葉。実際そうだ。どこに行けばいいのかわからない場所に放浪人はいた。


「神様!いらっしゃいますか!」


放浪人がダメもとで神を呼ぶも当然だが反応はない。


「……」


無駄だと気付き暗い闇の中を歩きだした。

地面かどうかわからない足場を一歩一歩と足を踏み込むごとに反応するかのように水のように

闇は波紋が広がっていく。


波紋を作る事に放浪人は今までもことを思い返しはじめた。

ザガンとの戦い、ミノタウロスを退け、イドルとの出会いなどなるで巻き戻しをするかのように

そして神との出会いまで遡る。


「懐かしいな。あの人にあって俺は……」


時空内に波紋が広がった。それはどんどん大きくなっていき映像のように

波紋の中心に大きな建物が映し出された。


「あれは?」


身に覚えのない場所。しかしよく見るとそこには雪が積もり地面を隠す銀世界。

放浪人は直感で理解した。ここは自分がかつて生きていた場所だと

試しとばかりに手を伸ばし映し出された映像に手を伸ばすと指が食い込むと同時にぽちゃんッと水のような音と共に映し出されている映像が揺れた。

手を戻し触れた指先を見てみると微かだが雪がこびりついていた。

放浪人は顔を上げ揺れが収まり再び映し出さている風景を眺めた。

ザガンの扉はもしかしたら成功したのかもしれない

もしこの風景に飛び込めば自分がかつていた世界に戻れるであろう。異世界とおさらばということだ。

無意識に吸い込まれるように放浪人の足が映し出される映像に足を進めていく


……がその場で立ち止まり放浪人は首を振ると歯を食いしばり自分を殴った!

口の中が少し切れたのか口の中からあふれ出た血が地面に吸い込まれていった。


「俺にはまだこの世界でやることがある!」


この異世界にきてまだ大きく時を過ごしたわけではないが旅をして多くの人間と出会う中で

無意識だが放浪人はここにきた理由を掴みかけていた!

それにかつての世界には自分の居場所はない!

すると放浪人の意志に呼応してか波紋の先からかつての世界が消えていった。


(今度こそさようならだ)


放浪人は踵を返し消えゆく世界を最後まで見なかった。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


その後少し時が経ち何か出口はないかと周囲を気にしながら当てもなく薄暗い暗闇を歩きまわるも

先ほどとは違い今度は強く自分がいた異世界を思い描くも波紋は出てこない。

出口が見えない手がかりもない状況に放浪人は肩を落とした。


(完全にお手上げだ)


だったら一度そこから出て神様となんとかコンタクト取ればよかった。

後悔し始めた……時だった。


『あーテステス。わたしの声聞こえるかねー』


突然の聞き覚えがある声に放浪人は驚いた。もちろんどこで聞いたか思い出せないが


『そこにいる誰かー聞こえてたら返事してくれる』

「聞こえている」


謎の声に声を返すか躊躇した放浪人だったが出られる術がない状態だったためとにかく

すがるしかなかった。

それにこんな緊張感のある中ですっとぼけた陽気な声の感じに敵意がないことを判断したのだろう。


『その声……あー放浪人かーこんなところで何してんの?』

「俺をしっているのか」

『……アホなあんたは私のこと忘れてそうだけどねー』

「声だけじゃ。わからん」

『記憶力のいい人間は声だけ聞いたら気づくと思うんだけど。まっいっか。

ほらミストレスのところでジャーバンドを渡した。素敵で知的なミステリアスのベタな魔女』


放浪人は思い出した。この世界にきて最初に泊まった店

自分とサーナの恩人ミストレスの店にきてた。サーナの憧れの魔女。

黒いローブに赤髪。目つきが悪い女


「ソルシエールか」

『ピンポーン正解』


ソルシエールの陽気な声。


『いやー驚いた。突然感じた次元の歪みに何ごとかと精神を飛ばして覗いてみればあんたがいたんだもん』

「さすが天才魔女だ。なにいっているか理解できん」


放浪人は謎の納得。


『ところでこの悪趣味な、次元の狭間を作ったのはあんた?』

「いや。違う俺は巻き込まれた」

『ああ。なるほどね。だから困った顔してたのね』

「正直困っている。ここから出られるか?」


ふーむとソルシエールは沈黙する。


「まさか出られない天才をもってしても出られないとか言わないよな」

『そんなことないわよー余裕よヨユー…』


しかしまた沈黙して言葉が返ってきた。


『ごめん。本物の事言うとかなりキツイ』


放浪人が再び肩を落とした。


「こんな時ふざけないでくれ」

『いやーごめんごめん。別にふざけてないんだなー』

「そう言うのが……いやもういい。それで俺は本当に出られないのか?」


再びうーんとソルシエールの困惑している声が聞こえた。


『それには、チョイと訪ねないといけないことがあるんだけどさ。

あんたわたしが渡したジャーバンドって今持ってる?』


放浪人は腕を確認する。もちろんついているわけがないザガンとの決着の最中壊れるとまずいと思い

外して神殿の階段においてきたのだから。


「ついていないが…まずいか」

『へーもしかしてそのジャーバンドってこの空間の外にある?』

「ああ。壊れてなければ多分外にあるはずだ」

『ナイス!』


ソルシエールの嬉しそうな声が聞こえた。


『喜びな。あんた帰れる確率上がったよ』

「確率?どれくらいだ」

『五分五分』

「命と考えるとかなり低くないか」

『贅沢言うもんじゃないよーむしろその次元に入り込んで私に見つけてもらって尚且つ出られる

確率があるってんだから。これはかなりのご都合的って言っても過言じゃないよ。

あんたも幸運の持ち主ってもんさ』

「悪運もあるがな」


運が悪いのかいいのかわからない。


『いいかい。今から私はあんたのジャーバンドのデータにアクセスする

それで……まぁなんやかんやして、あんたがいるそこの次元の出口作るから

そこに入って外に出る。簡単な事さ』

「簡単なのか?」

『なぁ難しいけどね。それしか手はないよ』


ソルシエールの声にため息が混じる。


『今いる場所は次元に無理やり穴を開けるてるからね-時期にその影響でその次元は跡形もなく

消えるのさ。それに巻き込まれたら言うまでもなくもう助からない。死ぬよ』

「生きるか死ぬかということか」

『道はどこに出現するかわからいんだよねー。目の前に現れるかはたまたずっと遠くに出るか

予想不可能。それにすぐ閉じるからね。まさに賭け』


放浪人は準備体操を始めた。やる気満々だ。


「構わん。やってくれ。どのみちここにいたら死んだようなもんだ」

『ほぉーいい度胸してんねーオッケ任せな。精々あんたにも天よりも高い恵みがあることを祈るよ』


ソルシエールの声が聞こえなくなり沈黙ではなく叫び声などざわめきが響き渡る。


(さて後は魔女様に任せるしかないようだな)


放浪人は辺りに気を配りいつでも動ける体制をとった。

立ち尽くしていると足元に何かが絡みついてくる

感覚を拭い。闇に飲み込まれないようにする。

今はただ待つのみだ。この暗闇を脱出できる道が開くのを……

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