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壁越しの戦い!

「お前を殺す!ザガン様の為に」


斧を持った角の生えた巨人が放浪人にじりじりと近づいてくる


「ログあの化け物の情報あるか?」


放浪人は巨人を警戒しながら後ろに下がる。


「あの魔物についての情報はありません


マスター気を付けてください」


ログからはunknownと表示された。放浪人は肩を落とす。


「おまえここにきてからそればっかだな」


「うう。すいません」


ログの申し訳なさそうな音声。放浪人は巨人を観察する。


雄牛の顔。それに毛深い体。


(前の世界で神話で近い奴を見たことがあるな確か)


ミノタウロス!神話の生き物だ


多少違いがある物の特徴的部分は捕えていた。


(地獄で鬼に似た奴らを沢山みたから対して驚かんが…)


するとミノタウロスは斧を振り上げ放浪人めがけて振り下ろした。


後ろに下がり回避する。


「ザガン様の為にザガン様の為に」


ぶつぶつとつぶやき再び斧を振るう。


また後ろに下がり回避。すると斧は地面に突き刺さり


床にヒビが入る。


「たく。なんて力だ。ボロックと同じくらいか」


「ボロック…」


するとミノタウロスの動きが止まる。


「あいつ急に動きが止まったが…」


「どうしたのでしょう」


放浪人とログは急に動きを止めたミノタウロスに違和感を感じた。


するとわなわなと小刻みに震えはじめる。


「ああ!違う俺だ!俺の方が強いんだ!ボロックよりも!」


ぶつぶつと呪文を唱えるようにミノタウロスはつぶやくと


「ぎゅああ!」


神殿内を震わすぐらいの叫び声をあげ


ブンブンと力の限り斧を振り回し始めた!


目の前にある物を破壊していく赤い液体が入っている管


柱、床と見境なし。


「マスター!辺りを破壊していきます」


「こんどはなんだ!あいつ何を考えている」


液体は地面にしたたり辺り一面を水浸しする。


砕かれた柱が粉塵となり視界が悪くなる。


その隙にミノタウロスは放浪人のすぐ近くまで接近していた。


「グオオオオ!」


雄たけびと共に放浪人に斧を振りかざす。


咄嗟に剣を抜いて剣先に手を置き剣身で受け止める!


ガキィィ重苦しい音。


「ぐうう」


恐らくこの剣じゃなければ折れていただろう。


放浪人は膝をつきながら攻撃に耐えた。


再びミノタウロスは斧を振り上げるも身をよじり


回避する放浪人。


斧は床を叩く!その時!ズゴン!と床が壊れた。


「しまった!足場が」


「マスター!」


崩れ行く床と共に放浪人とミノタウロスは下に落ちていく!



響く音がドアの向こう側にいたイドルとザガンにも


聞こえた。


「おやおや。あの大将大暴れしたみたいだな」


さも他人事のように話すザガン。


「あの化け物は君が作ったの」


グリフォンに肩を掴まれたままつるされている


イドルはザガンに説いた。


「おいおい。化け物とはかわいそうに今はあんななりでも


あいつも人間なんだぜ」


「にっ人間!あれが」


「まっそうはみえねえよな。チョイと俺様が


力をかしてやったのさ。反動で奴隷みたいに


なっちまってユニーク差はなくなっちまったけどな」


ザガンの言葉に驚愕するイドル。


「ってことはあれは人間…」


イドルはミノタウロスの顔を思い出すどこかで


見た面影…そしてザガンのいった名前。


「まっまさかあれは」


「やっと気づいたか」


治安維持の方でも話題になっていた砂漠の2つの盗賊団


ボロックと対をなしていた∃。


「カシバシ団の頭領さ!ハハハ」


「どうして君がカシバシの頭領に」


「あん?あいつが欲したからさ。最初は力を貸して欲しい


といわれて配下になったが退屈でね。抜けたときいたら


真っ先に俺様のところにきたぜ」


俺に力をくれ頼む!必死に懇願するカシバシ


「あんな必死に頼まれちゃー無下に断れねーだろ


だから力をやったんだ」


笑いながら奥の部屋の祭壇を開いた。


「こっこれは」


イドルは驚愕した。


そこにはおびただしいまでの魔物や無害の生き物残骸が


聖杯を逆さにしたような台に積み重なるよう置いていた。


逆さになった杯のしたから管が通っている。


イドルは理解した。あれはこの生き物達の血なのだと。


「力を抽出して組み込んでやった」


「そんなそんなのできるはずない」


「おいおい目の前の現実を受け入れろよ俺様の努力の結果さ」


ザガンが指を鳴らすとグリフォンがイドルを身の前に連れてくる。


「まさかこの生き物も…」


「そうだぜ。イカスだろ。だがこんなもの


作るのはたいしたことねえ。俺の最終目的は別にある」


「そ、それは」


「ククク教えるわけねーだろ。さてそろそろてめえも


この逆聖杯の一部になってもらうぜ」


グリフォンは言葉通りにイドルを杯の上まで持ち上げた。


「ほんとは放浪人のだんなが一番なんだが


残念ながらここにたどり着きそうにねえ


仕方ないからてめーを代用してやる。光栄に思いな」


ザガンが命令を下そうと腕を上げた時


「いえ。残念ながらそうはいきません」


声と共に突然グリフォンの鉤爪はバラバラになった。


離されたイドルはグリフォンに向けて手をかざし魔法陣を出すと


そこから大量の火と水が出てきた。


「ピピギギギギ」


グリフォンの体に全て当たりそして爆発四散!


「ちっなんだ」


イドルの体は杯から離れたところまで飛ぶとそこから


宙がえりし着地する。


流石のザガンも動揺


「てめえ。やってくれるじゃねーかよ」


爆発で起きた煙を振り払いイドルを睨む。


「俺の可愛いペットがいなくなっちまったじゃねーか


顔に似合わず残酷なことするんだな」


「……」


しかしイドルは黙りこくり下を向いている。


「あんだ?何黙ってんだ。ここまでやっといて


ただでかえすと思ってるのか」


「ほう。それは楽しみですね」


するとイドルは手で空間を切り裂いて剣を出した。


(俺の世界で収縮魔法だと。いやそれより)


「てめえ!何者だ!さっきの小僧じゃねーな」


ザガンの指摘に剣を試しに振るイドル。


「おや。わかりましたか」


「てめえ。この小僧を媒介にしてるな」


「借りているのですよ。彼は全ての魔法の適性能力


があるのです。おかげで力と意志を流せるのですよ」


「転写魔術か…えぐい事しやがるぜ」


「同意の上ですよ。わたしは彼の先輩ですからね」


ザガンは試しとばかりに手をかざし魔法陣を作ると


そこから炎の渦が現れイドルを襲った。


しかしイドルは真っ向から突っ込み炎を叩き切った。


「どうやら身体能力も上がっているな」


「フフフ。これがイドルとコンビを組む理由ですから


イドル少し我慢してくださいね」


するとザガンめがけて剣を振るう。


「ぐっ!」


ザガンも咄嗟に氷で作ったナイフで応戦するも


ナイフは無残に砕け散る。すかさず氷の魔法を出し


対抗するも先に叩き切られた。


「その程度ですか」


いったん剣を手前に引くと今度は突きの攻撃


ザガンは左によけると


パッと剣から手を放しザガンに向けて手を前にだすと


そこから矢がとんでくる。


「まだだ!」


手を振り払い攻撃し矢を払うも


振り払えず体に数本の矢が刺さり


そのまま聖杯から離れたところまで飛ばされ


地面に倒れた。


イドルの頬から血が流れる。


「やりますね。咄嗟に岩石を体に纏わせて致命傷を避けそして


逃げると同時にイドルの体に傷をつけるなんて」


「はっこれぐらい大したことねーぜ」


ザガンはよろよろとその場立ち上がり威勢を放つ


が彼にそんな余裕はない。何故か


彼の足は地面にのめりこんでいたのだ。


「なに!こいつ地の魔法で地面をやわらかくして


やがったな!」


足を引き抜こうと引っ張るも土は彼を離さない。


「魔法で引き離す余裕は与えませんよ」


イドルは頬の傷を手でぬぐい剣先をザガンに突き付けた。


「別にわたしは貴方を殺していわけではありません


むしろ興味があります。あなたの魔術とは違うもの


地から金を生み出したことにね」


ザガンの首に剣先が軽くささる。


「どうです。わたしの元で働きませんか。


悪いようにはしませんよ。組織にはあなたの事は伏せときますし」


「ほう。俺様を雇うと?」


「そうです。今はイドルの意識はありません。


わたしとあなただけです。後はイドルの記憶を消せば済むこと」


ザガンは笑う。


「クククおまえ嫌な先輩だな」


「フフフ。悪くはないでしょう。どうです


お互いWIN-WINの対等の関係でいきましょう」


「確かにいい話だけどよー」


ザガンは睨む。


「俺様はてめーのような奴は嫌いなんだよ!」


イドルはキョトンとした表情を見せ。ため息をついた。


「そうですか。残念です。それではあなたの研究は


わたしが奪いましょう」


そして剣を一度引きザガンめがけて再度剣を振るった!

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