クライアバル王国に住むエルフ族
クライアバル王国。
その名の通りクライアバル王という人物が長年この国を治めている。
国全体を大きな塀で囲み、入り口は一つの門のみという外部からの無断侵入を厳重に遮断していた。
この国の特徴は住民がほとんど王に使える兵士や料理人であり交代で城の勤務。
それゆえこの国全体は王と自分の為に国を発展させる努力を怠らない。
だからだろうか城と一般住民の家をつなぐ抜け穴みがどこかに存在するのではという
噂もささやかれている。
放浪人達はきれいな草原を超え王国の門にたどりつこうとしていた。
そこにはガタイのいい門番が二人たっている。しかしある部分に放浪人の目についた。
「ム。エルフか」
そう門番の顔は整っておりそして耳が人間より長く尖っているまるで童話にでてくるエルフの姿。
「クライアバル王国の住民は皆エルフ族です。マスター」
放浪人の声に反応したログが点滅する。二人のやり取りにディアは首を傾けた。
「なんだ知らなかったのか?クライアバル王国はエルフ族の集まりって結構有名だけどな」
「世界初心者だからな」
「なんだそりゃ」
「まぁいい。とにかく無事に入れるかどうかだがな」
ディアと放浪人の声に気づいた門番は二人に近づいてきた。
「そこの人間よ。ここから先はクライアバル王国だ。失礼だが入国許可がないものは通すことが…」
「おい。よく見ろ男の隣。ディア様じゃないか」
後から遅れてきた門番がディアに気づくと声を上げた。
「ディア様だ!ディア様が戻られたぞ!」
「おお!ディア様。よく戻られました。すぐに門を開かせ迎えの者に城まで案内させていただきます」
「お連れ方もどうぞ」
慌てて門番二人は頭を下げ門を開けた。
「なんだ。どういうことだ」
放浪人がディアに訪ねるとディアはしたり顔。
「わたしはこの王国ではちょっとした有名人なんだよ」
「へーすごいんだな」
「なんだ惚れたか?」
「そんなことより城の中に入るぞ」
放浪人はディアの言葉を流して足早に門をくぐって行く。
「あっおいなんだよ」
文句を言いながらディアも放浪人に続いた。
門を通り王国の中に入ると白く綺麗な家が立ち並び住宅の横には綺麗に整理された草木
そして透き通った川の水がせせらぎの音を静かに奏でながら流れていく
自然とエルフ族が共存するまるで天国のような場所!
そして街のどこを見渡してもエルフの住人。もちろんそこを通る放浪人達は少し浮いていた。
「綺麗なところだな」
「ああそうだろ。みんな魔法の技術が高いから細かいところまで整備できるんだよな。
そのかわり繊細すぎるのが難点だが」
そこらを見るとエルフ民が地面に粉を巻くとあっという間に花が咲いた。
「エルフ族は昔から人間よりかなり高い魔力を持つ者が多いです。
あと美人も多く結婚したい人種ナンバー1です」
「ほお、それはいいな」
ログの解説に放浪人は感心する。するとディアが放浪人の脇を小突く
「なんだ。何かようか」
放浪人が不機嫌そうに訪ねるとディアも不機嫌そうにそっぽ向いた。
「なんでもねえよ」
「わけがわからん」と放浪人は首をかしげた。
すると遠くから放浪人達の前に馬に似た生き物に引かせた馬車が止まり
小柄で金髪で腰ぐらいある長い髪に白銀で花柄の髪飾り。
透き通った白い肌に尖った耳白い民族衣装をまとったエルフ少女が顔を出した。
「ディア様!帰ったと耳にしましたので至急でお迎えに参りましたよ」
「クエセレンお嬢様じゃないか。わざわざ来てもらってわりぃな」
ディアは馬車の前に立つとクエセレンと呼ばれた少女と話す。
「あのいかにも金持ちは誰なんだ?」
「お顔を確認するにクライアバル王の公女クエセレン様ですね」
「お姫様と知り合いなのかあいつ」
ログと話す放浪人は実は周りから変な目で見られている!
「おーい放浪人城まで送ってくれるってよ」
ディアに呼ばれ変人放浪人は姫様が乗っている馬車に乗り込んだ。
「あのディア様の隣にいた殿方は一体」
「独り言言っていて大丈夫だろうか」
「まぁディア様のお連れ様ですし。きっと…」
その時まわりの住民は姫をたいそう心配したそうな。
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「初めましてわたくしクエセレン・レース・クライアバルと申します」
「これはこれはご丁寧に放浪人……と申します。あー本日はこの国にお招きいただき」
なれない敬語で礼を言おうと考える放浪人にクエセレン姫はニコリと微笑みかける。
「そんなにかしこまらなくていいです。あなたのことはディア様からお友達だと伺っております
ですのでどうか気になさらずに」
「すまない。どうも敬語がうまくなくて」
放浪人は包帯が巻かれた手で頬をかく
「お手お怪我されてるのですか」
「あっそうだ。城についたら医務室に連れてってくれるか骨までいってるらしくてさ」
思い出したディアが放浪人の包帯で巻かれた手を掴み姫に見せる。
「わかりました。城に着き次第案内しますね。安心してください
この程度でしたら優秀なスタッフがすぐ直してくれます」
「そうかそれはありがたい」
お姫様が相手だろうかいつもとより放浪人素直な応対。
「なかなかの男前それに少し綺麗さもある素晴らしいお顔ですね」
「いやーそうかなっっっていででで」
姫に褒められてデレデレする放浪人の包帯で巻かれている手をディアは強く握る。
「デレデレするなって情けない」
怒るディア。まさに嫉妬!
しかしディアは何か思い出したようにハッとすると窓の外を眺めた。
「ん?なんだ突然窓を見て」
手を止めたディアに不信感を覚えた放浪人。
「しかし私の許婚ジュゼス様はその数倍美しいですわ」
「は?」放浪人は硬直する
すると馬車の天井に髪は金で引き締まった顔のエルフの男が
映し出される何枚も
それを見ながらクエセレンはうっとりする。
「見てくださいこの目吸い込まれそうなブルーの瞳!ああ素晴らしい」
自分の世界を語りだす姫様を放浪人はほっとこうと外を見ようとするも
「なに目をそらしてるんですか!あなたも見てください」
逃げ場を失う
「いや…俺はもう結構…」
「ではわたくしがよさを語らせてもらいますまず私たちの出会いはーー」
それから長々と許婚自慢を始めるクエセレン
「美人でもああいう女は苦手だ…」
「マスターの気持ち理解しました」
ログは放浪人の心境を理解した。




