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手順37 思い返してみましょう

「美しいっ、美しいよ尚!」

 飯田橋先生はボクの背後からスーハースーハーという音を立てて平らな胸と太もも周辺をまさぐっている。


 なぜ、こんな事になったか。

 話は昨日の夕方まで遡る。


 寺園先輩に飯田橋先生を調子に乗らせろとアドバイスをもらったボクは家に帰ると早速、飯田橋先生へインスタからDMを送ってみた。


『今日は先生の写真が見られて良かったです♡ まさかあの写真を撮っていたのが飯田橋先生だったなんてΣ(っ゜Д゜;)っ』


 とりあえず、寺園先輩のアドバイスに乗っ取り♡を多用したり可愛い顔文字をつける事を心がける。

 しばらくすると飯田橋先生から返信が来た。


『尚チャン☆お疲れさま!(^-^) あの後はちゃんとお家に帰れたカナ?  尚チャン可愛いから先生心配だよ (^_^;) 先生もまさかこんな熱心なファンが身近にいるとは思わなかったナ♡♡ 明日にでも写真のモデルをお願いしたいけどいいかな??(^-^) 尚の素敵な写真をいっぱい撮りたいっ(^з^)-☆チュ!! 今日は早めに家に帰れたから久しぶりに晩酌しちゃおうかな♪』


 …………文面気持ち悪っっ!!!!!?


 反応に困る突然の長文メッセージにボクは固まる。


 どうした、一体何があった?

 というか、リアルとのテンション違い過ぎないか??

 なんだろう、若者のテンションに合わせようとしてかなりズレてしまっている感がある。


 ……とりあえず、何か返信しなくては。

 明日の撮影会で距離を縮めて、ボクは木曜日までに言い逃れできない決定的な状況を作らなければいけないのだから。


『明日、全然オッケーですよ♪ 先生の写真のモデルになれるなんて楽しみです♡』


 結局、どう返信したものか考えたあげく、ボクが返したのはこんな文章だった。

 そして、返事を送信した後、夕食に呼ばれて、その後お風呂に入ったりつづらと一緒に食器を洗ったりした。


 一通りやる事を終えて、寝るまでの自由時間にふとボクは飯田橋先生とやりとりをしていた事を思い出して、スマホを確認する。


『尚チャンありがとう(^з^)-♡! 先生も明日は楽しみにしてるよ♪(^.^)ノ そういえばそろそろ中間テストだね、先生も問題作りや採点で忙しくなるなあ……( ̄▽ ̄;) でも、そんな時だからこそ癒しが欲しい!!(>_<)  さて、明日はどんな写真をとろうかナ~(-。-)y-~』

『先生は明日の撮影で尚チャンの色っぽい感じを表現できたらなと思ってるよ(^-^)♡♡ こんな事言ったらまた尚チャンにえっちって怒られちゃうカナ? (^_^;)  でも、それも尚チャンの魅力だと先生は思ってるから、その辺も明日つたえられたらと思ってるよ☆o(^-^o)』

『既読が付かない……尚チャンは今ゴハンかな? それともお風呂かな??(”▽”) このメッセージを見たら、次からはスマホはちゃんと持ち歩かないと教育的指導だよ!! なんてね、でも、先生はいつでも尚チャンと話せる方が嬉しいな♡ σ(^_^;)』


 以下、こんな感じのメッセージがえんえんと後五件程続いていた。

 気持ち悪いを通り越してもはや恐怖を感じる。


『ごめんなさい、家では食事中にスマホいじったりすると怒られちゃうんです(×。×) 今日は疲れているのでもう寝ます、おやすみなさい♡』


 うんざりしたボクは半ば強引に話を終らせる。

 その後すぐ飯田橋先生から結構厳しい家なんだねとか辛い事があったらいつでも相談に乗るとか聞いてもない本人の現状報告とか、他にもまあ色々メッセージは来た。


 付き合ってたらいつまで経っても寝られないので早々にボクは通知設定をオフにして寺園先輩にラインで先程までの先生からのDMの内容を報告した。

 すると、すぐに寺園先輩からライン通話がかかってきた。


「尚くん、なんか思った以上にどっぷり入れ込んでるみたいだから、明日は気をつけてね? 明日は料理研究部の活動もあるし、いざとなったらすぐに廊下に飛び出して大声を上げてね♪ すぐに駆けつけるから☆」

 寺園先輩にそう言ってもらえると心強い。


「もしもの時はお願いしますね。でも、せっかくだから出来る限り木曜日まで引っ張ってみようと思います」

 でも、タイミング的にはやっぱり木曜日がベストなので、何とかその日まで引っ張りたい。

 そのために先輩達もせっせと準備を進めてくれているのだから。


「そっか、でも、無茶は禁物だよ☆ 少しでもこれ以上は無理だって感じたらすぐに大声をあげて外に逃げるんだよ?」

「はい、ありがとうございます!」

 ボクは寺園先輩のその言葉に、とても勇気付けられた。


 その翌日、ボクが写真部の部室に向かえば、教室に入って戸を閉めた途端、飯田橋先生に後ろから抱きつかれて今に至るという訳だ。


 ……うん、思い返してみたけど、この人距離の詰め方おかしくないか?

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