第68話 サクリファイスロータス・アメジストグリモア
ーーーーーーッ!!
ーーーアンドラスの全身から闇の風圧を漂わせ、黒熱の粒子が放出され、周囲に黒炎がジリジリと燃え盛る。
周囲にジリジリと燃え盛る黒炎は、アンドラスの魔力のレベルを表している。
奴の服従下のガープとは、レベルが違う……。
「何て事だっ!!、まだパワーが上がるのかっ!!」
鬼神化フェニックスは腕を掲げ、吹き荒れる黒風から身を防ぐ。
黒風の温度は灼熱、生身なら燃えていただろう。
黒風から響かせる風音は、人の叫び声のように悲しく、耳中にチクチクと突き刺さる。
「この感じは……」
ムジカは何かを察知し、剣をドシッと構える。
全身に氷属性の粒子を漂わせ、黒風の熱から耐え忍んでいた。
「いでよっ!!、サクリファイスロータス、アメジストグリモアよっ!!」
アンドラスの両手から出現したのは2本の魔剣。
左手に持つ魔剣、アメジストグリモア……。刃は赤身のような灼色、柄の部分はビクビクした血管が活発に脈を震わせ、赤い蒸気が吹いている。
右手に持つ魔剣、サクリファイスロータス……。刃は植物触手、柄の部分、鍔はツタで構築されている。
「あの剣……」
ムジカは憤った様子で震わせる。
「何か知っているのか?」
鬼神化フェニックスは、ムジカに視先を向ける。
「あの剣からは人の魂の叫び声が響いて来たのが伝わってきたのでな……。まさか、生け贄を?」
「正解……。この剣を手にいれる為、2人の人間をコントロールして、それを生け贄して、手に入れたのだよ……。この剣を取り出す度に、この生け贄の魂が響いて来て、心地いいったらありゃしない。ヒヒヒヒヒッ……」
アンドラスは残酷な笑い声をケラケラとあげる。
奴にとって、人の魂はモノを手に入れる為の軽い代償物に過ぎないらしい。
「ーーーーーーッ!!」
ムジカの頭の中、今まで死んでいった者達の顔が浮かび上がり、激昂し、剣を掲げる。
四属性の魔力を宿らせ、アンドラスの足元に詠唱陣を展開させ、詠唱文字を描く。
詠唱文字から、無数の光の鎖が飛び出し、アンドラスの全身にジャラジャラと巻きつき、拘束。
「ククククク……」
やってみろ……。と、言いたそうな様子のアンドラスは笑い声を響かせる。
「ーーーーーッ!!」
ムジカは四属性の魔力を宿せ、虹色の熱圧をジリジリと漂わせる。
ーーー剣を振るい、虹色の斬撃を拘束されているアンドラスに放つ。
「ーーーーーッ!!」
ーーーアンドラスに虹色の斬撃が直撃し、光爆。
光爆したアンドラスから、光の糸が無数に撒き散らせ、瞬時に収束。
そして、激しい音を響かせ、再び爆発……。
一帯に、白銀の爆煙が吹き荒れ、充満。
「ご馳走さま……」
アンドラスは右手のサクリファイスロータスを掲げ、声を響かせる。
サクリファイスロータスの剣は、カタカタと震わせ、刃身からは熱圧を漂わせる。
「あいつ、何をしたんだ?」
鬼神化フェニックスは、アンドラスを睨む。
「吸収したのさ……。この剣でね……」
アンドラスはサクリファイスロータスを軽く掲げる。
魔剣サクリファイスロータスの能力、それは魔力吸収。相手がどのような威力の高い魔導術を唱えようと、全て吸収し、打ち消してしまう。
「ーーーーーーッ!!」
ムジカは詠唱。
四属性の魔力を自身の身体に付与し、アンドラスに突っ込む。
髪は逆立ち、虹色の光鎧を全身に造形化……。虹色の熱圧を漂わせ、パワーアップ。
「これ、お返し」
ーーーアンドラスはサクリファイスロータスを振るい、刃先から10メートル位の大きさを誇る虹色の魔力球を放つ。
「ーーーーーッ!!」
駆け走るムジカ。
剣を掲げ、虹色の魔力球を吸収し、そして……、地面に剣を押し立て、詠唱。
ーーー結晶石の棘が地面からガシュッと一斉に隆起し、アンドラスに向かい、放流。
「ーーーーーーッ!!」
アンドラスはサクリファイスロータスを振るい、結晶石の波をパキンッと、消滅させる。
結晶石の粒子が、宙に舞い上がる……。すると。
「ーーーーーッ!!」
アンドラスの背後、ムジカが剣突きを放つ。
「ーーーーーッ!!」
アンドラスは振り向き、サクリファイスロータスを振るう。
ーーーしかし、ムジカは偽者。偽者のムジカは虹色の魔力球に変身。
サクリファイスロータスの剣撃を回避し、2体に分裂し、アンドラスを一瞬で包囲。
2体に分裂した虹色の魔力球は4体から8体、16体、32体にまで一瞬で分裂。
「四属性の雨剣ッ!!」
ムジカはアンドラスの背後から、詠唱。
ーーー12体に分裂した虹色の魔力球は、黄金の雷圧を漂わせた虹色の剣に具現化し、降り注ぐ。
一斉に降り注ぐ剣雨、虹色の爆雷が響かせ、白銀の煙が充満……。
ーーー白銀の煙が晴れ、アンドラスは姿を現す。
奴は無傷、サクリファイスロータスにより、全て打ち消された……。
「ーーーーーッ!!」
ムジカは剣を掲げ、背後からアンドラスに突っ込む。
「ーーーーーッ!!」
アンドラスは察知。
背後の偽者のムジカに狙いを定め、サクリファイスロータスを振るう。
ーーー偽者のムジカは、虹色の魔力球に変身。
アンドラスの頭上をクルクルと宙を舞い、通過し、黄金の雷圧を漂わせる虹色の剣に造形化。
「アンドラスッ!!」
ーーームジカは宙を舞う虹色の剣をパシッと受け取り、至近距離に潜り込み、アンドラスの胸元に狙いを定め、剣突きをグイッと放つ。
奴は無防備。今、至近距離に潜り込まれたムジカに対して、何も対応できない。
ーーーーそして、アンドラスの胸部にムジカの剣突きがグサリと突き刺さり、傷口から毒々しい黒血が吹き出る……。




