第58話 集約の魔儀(ネクロ・マギ)
「魔に裁かれ、消えるがよい……。魔の獄門ッ!!」
邪の装甲のローズ・ハットンは大剣を地面に突き立て、詠唱。
ーーー上空に紫の詠唱陣が広域に描かれ、10体の悪魔神官が杖を掲げ、出現。
10体の悪魔神官は詠唱し、部屋全域に剣状の粒子爆発を一斉に展開。
ーーー部屋中、無差別に展開してくる闇の剣状の粒子爆発、鬼神化フェニックスと鬼神化・重力の魔王は空中に漂う粒子爆発の発生源である邪属性の魔力粒子の集合体を察知しつつ、回避行動。
「魔の斬撃ッ!!」
邪の装甲のローズ・ハットンは全身に熱圧を漂わせ、詠唱。
邪属性の魔力を宿らせた大剣の刃を振るい、紫炎の斬撃を鬼神化フェニックスに狙いを定め、放つ。
「孔雀鳳凰剣ッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは炎剣を横に構え、紅炎のスピードで駆け走る。
鳳凰の魔力を宿らせた炎剣を振るい、邪属性の斬撃を破壊し、紫の衝撃波を発生させる。
「ーーーーーーッ!!」
邪の装甲のローズ・ハットンに紫の衝撃波が全身に吹き立て、視界が眩む。
「隙を作ってくれて、恩に切るっ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンの右側、十数メートルから鬼神化・重力の魔王は一辺に重力を発生させ、詠唱。
黒の詠唱陣を胸部の位置に描き、重力の爆裂波の光線を邪の装甲のローズ・ハットンに狙いを定め、放つ。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンが気付いた頃には遅い。
重力の爆裂波は邪の装甲のローズ・ハットンに直撃し、大ダメージ。
魔の斬撃を鬼神化フェニックスの孔雀鳳凰剣で破壊した事により、発生する衝撃波で僅かな目眩ましを生み出し、魔の削除を唱える時間を封じたのだ。
説明は少し長いが、一瞬の出来事である……。
「やったか?」
鬼神化フェニックスは体勢を低く立て直し、数メートルの距離から炎剣を片手に構え、睨む。
一辺に漂わせる紫炎の熱煙に身を潜める邪の装甲のローズ・ハットンを、ゼブラは鬼神の感覚を発揮し、キョロキョロと探る。
ーーーそして、熱煙は晴れる。
「ハァ……、ハァ……、ハァ……」
ローズ・ハットンは数多の焼傷、熱煙が全身から吹き立て、バチバチと雷流を行き渡らせ、息を切らせる。ダメージにより、邪の装甲は無効化され、元に戻る。
奴の様子は大ダメージ、今にも倒れそうだ……。
「口で言ってたワリには、えらいダメージを負っているようだな?」
鬼神化・重力の魔王は余裕な様子で奴を睨み、黒剣を構える。
「クククククッ………」
ローズ・ハットンは不気味に笑い声をあげる。
コイツ、何がおかしい?……。と、2人の鬼神化使いは沈黙。
「ーーーーーーッ!!」
ローズ・ハットンの持つ大剣の刃が、ピカリと光る……。
大剣はパキッと音を響かせ、無数の微粒子となり、全身に降り散らす……。大剣の微粒子はローズ・ハットンを回復し、全身の傷をキレイに修復。
「この剣はダメージを吸収し、ダメージの量が限界に満たせれば身代わりとなり、破壊され、回復する……。そして、ある術が発動可能になる」
ローズ・ハットンは企みの笑みを浮かべる。
両手を広く掲げ、地面に黒の詠唱陣を描き、呪文をブツブツと唱える。
(この感じは、マズイっ!!)
2人の鬼神化使いはローズ・ハットンが行う(何かに)を察知し、同時に突っ込む。
「もう遅いっ!!」
ローズ・ハットンは両手を掲げ、詠唱。
ーーー暗黒の詠唱陣が禍々しい輝きを放ち、描かれる……。5体の小規模な詠唱陣が暗黒の詠唱陣を囲み、描かれる。
詠唱陣から展開し、黒の雷流がローズ・ハットンの全身をバチバチと流れ渡り、熱圧の衝撃波は魔力エネルギーの高さを物語る。
「ーーーーーッ!!」
ーーー2人の鬼神化使いは、暗黒の詠唱陣から展開する熱圧の衝撃波に吹き飛ばされ、近づけない。
「ムダだ。詠唱が始まった時、誰一人我に近づけまいっ!!」
ローズ・ハットンは高笑い。
全身に紫の熱圧を漂わせた魔力結界を展開し、詠唱を難なく続ける。
ーーー5体の詠唱陣から悪魔神官が現出し、杖を掲げる……。そして悪魔神官は紫の魔力球を杖先に宿し、ブツブツと低い声で詠唱。
「集約の魔儀ッ!!」
ローズ・ハットンは紫の熱圧を漂わせた魔力結界を球形に収縮し、唱える。
ーーー5体の悪魔神官の杖先から黒の雷流がバチバチと空中を行き渡らせ、展開。
黒の雷流により地面、天井、壁一面に亀裂が広がり、微粒子の煙が空中を漂わせる。
「ーーーーーーッ!!」
ーーーその時、2人の鬼神化使いから魔力体が抜け出し、ローズ・ハットンに吸い込まれる。
急激に魔力を吸い込まれたショックでゼブラ、ヴァンの鬼神化が解け、元に戻る。
「さて、どう料理してくれよう」
ローズ・ハットンは紫の熱圧をビリビリと全身に漂わせ、詠唱。
左手に黒殻の槍を武器召喚し、ジリジリと歩み進む。




