第57話 ゼブラ、ヴァンVSローズ・ハットン
「何故、戦争するか?……。それは、この世界が欲しいからだよ。ここは小さな世界だが、魔力が大量に満ちている。我が軍が、この地下世界を手中に納めれば、新たな拠点を造り、魔術兵器を生み出す。そしてグレイランドに戦争をいつでも仕掛ける事が出来る。その為に、邪魔な障害は排除しなくてはならない。フハハハハハッ!!」
ローズ・ハットンは、闇属性の熱圧を全身からジリジリと漂わせ、笑い声を響かせる。
奴の高い魔力エネルギーに、地面や天井がピシピシと音をあげ、揺れる。
リベリウスを破壊し、廃墟に変えたのは奴らによる見せしめの為、支配の第一歩である。
「たった、それだけで?……。今まで戦って死んだ人達は、自分達の目的の為、邪魔だったから?。許さない、お前を倒して、この世界を救ってやるっ!!」
ゼブラは鬼神化フェニックスに変身し、炎圧を漂わせる。
「フン……。今回だけ貴様に力を貸してやる、感謝するがいい」
ヴァンは鬼神化・重力の魔王に変身し、黒の熱圧を全身に漂わせる。
「お前も、鬼神化使いだったのか?」
鬼神化フェニックスは鬼神化・重力の魔王に向く。
「重力の魔王だ。足を引っ張るなよ……」
鬼神化・重力の魔王は黒剣を構え、ローズ・ハットンに突き向ける。
「鬼神化使いか……。面白い、相手してやるっ」
ローズ・ハットンは詠唱。
紫の詠唱陣を空中に描かせ、詠唱陣から大剣を武器召喚し、片手で持ち上げ、両手で構える。
マントをバサバサと揺らし、闇属性の熱圧が周波となり、一辺を吹き立てる……。
「上等だっ!!」
鬼神化フェニックスは炎剣を構える。
紅炎のスピードで駆け抜け、中間距離から炎剣を振るう。
「ーーーーーーッ!!」
ローズ・ハットンは察知。
右側、数メートルの距離まで跳び、回避。
「ーーーーーッ!!」
ーーーその時、鬼神化・重力の魔王が黒剣を構え、ローズ・ハットンの左側に移動し、突っ込む。
(フッ………)と、ローズ・ハットンは揺るんだ笑みを浮かべ、大剣を片手で掲げる……。
ーーー大剣の刃と黒剣の刃がぶつかり合い、轟音を響かせ、黒の衝撃波が広がる。
衝撃波により、室内の壁はピシッと亀裂が残り、魔力の強さを物語る。
「何っ………」
そんな馬鹿な……。と、思わせる光景に、鬼神化・重力の魔王の動きが止まった……。
鬼神化・重力の魔王の剣撃が、ローズ・ハットンの片手で構える大剣に、ピタリと受け止められていたからだ。
「フハハハハハッ!!。甘い、甘いっ!!。貴様らは、踏み込み、そして経験が甘いっ!!」
ーーーローズ・ハットンは自身の属性魔力により、力を解放。
紫の炎を全身にゴウッと激しく燃え盛らせ、白銀の鋭瞳を光らせる。
少し下がり、鬼神化・重力の魔王に狙いを定め、大剣を振るう。
「ーーーーーーッ!!」
鬼神化・重力の魔王は剣圧に負け、弾き飛ぶ。
後ろ壁にドスッと、ぶつかり、フラフラになりながら態勢を立て直す。
「アンドラス様から授かったパワー、なんと素晴らしい……。フハハハハハッ!!」
ローズ・ハットンは高笑い。
属性魔力は邪。全身を燃え盛らせ、白銀の雷流を漂わせている付与魔導術の名称は、邪の装甲。
「重力の雨撃ッ!!」
鬼神化・重力の魔王はフラフラな状態で詠唱。
(おや………)
邪の装甲のローズ・ハットンは何かを察知。
鬼神化・重力の魔王の重力の雨撃による発生する重力に、余裕な表情を浮かべている……。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンの頭上の空中に無数の詠唱陣が描かれ、黒の光線が一斉放射。
「魔の削除ッ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンは大剣を掲げ、詠唱。
足元に円形の紫光の詠唱陣を描き、紫の光を輝かせた結界を広げる。
そして鬼神化・重力の魔王の重力の雨撃の光線は、魔の削除により、光の粒子となり、打ち消された……。
(クソ、強いな……)
鬼神化・重力の魔王は黒剣を構え、ローズ・ハットンを睨む。
「鬼神化使いにしては、弱いな……」
ローズ・ハットンは不満足な様子。
左掌に魔力を宿し、邪属性の紫の炎球を具現化させ、鬼神化・重力の魔王に、ジリジリと歩き進む。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンの左側、十数メートルの距離からだった。
鬼神化フェニックスが突っ込み、炎剣を振るう。
「ーーーーーーッ!!」
邪の装甲のローズ・ハットンは、鬼神化フェニックスの炎剣の一撃を、自身の胸部で受け止めた。
全身にジリジリと漂わせる紫の熱圧、地鳴りを響かせ、鎧形に燃え盛らせる紫炎。邪の装甲の防御力、ローズ・ハットンのパワーが、鬼神化フェニックスの一撃を上回っている。
(無傷だと……)
鬼神化フェニックスは、ローズ・ハットンの胸部に、炎剣を押し当てた状態で止まった。
「喝っ!!」
ーーー邪の装甲のローズ・ハットンは左掌に宿らせる紫炎の球を、鬼神化フェニックスに与え、吹き飛ばす。
「ハァ……、ハァ……、ハァ……」
地面に1回、2回、と叩きつけられた鬼神化フェニックスは空中で態勢を立て直し、炎剣を構える。
邪属性の掌撃ダメージにより、鬼神化フェニックスの胸部から紫炎の傷が燃え盛る。
強い……。力量なら、ムジカさん位だ。果たして、勝てるのだろか……。




