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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
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第45話 戦場のエボルド森林

ーーー〈ダリウス平原中央部〉ーーー


 編成された特殊部隊はダリウス平原中央部の丘に待機し、エボルド森林を眺めていた。

 特殊部隊がエボルド森林に侵入を確認したら、砦に待機している義勇軍の全部隊は、平原中央部に集合するように、指令を与えている。

 一辺から吹き立てる地底雲の白濁の蒸気、緊張感と熱気により額から汗を滴らせる……。

 

ーーー1500メートル先のエボルド森林の木々は不気味な程、静寂しており、解らない状況だ。

 特殊部隊の任務は、敵地に侵入し、内部を撹乱させ、そして平原中央部に集合している義勇軍の全部隊に信号弾で狼煙を上げ、合図を送る。


ーーー〈エボルド森林〉ーーーー


 編成された特殊部隊はエボルド森林を侵入し、察知力を研ぎ澄ませながら木々が生え並ぶ森林の公道を歩いていた。

 ……エボルド森林に足を踏み入れたのは奇跡に近い。魔界軍に支配され、一進一退の攻防戦が長年、続いた為、森林の様子がわからない。

 

「ワシがいるからと言って油断はするな。ここは戦場、一瞬の油断でもワシは死ぬ事もあるから気をつけて進むんだ……」


 ムジカは真剣な声をあげ、皆に告げる。

 エボルド森林はかつてアストラルの領域だが、今は魔界軍の領域、どこから奇襲を仕掛けてくるかわからない。

 少しの油断も、命取りだ……。


ーーーしばらく森林の公道を歩いていた。

 

「待て……」


 ムジカは右手を掲げ、皆を止める。


「どうしたんですか?」


 ゼブラは尋ねる。


「見ろ…………」


 ムジカは皆に対し、森林一辺に目を配る。


ーーー森林地帯には赤外線が無数に張り巡らされ、地面一辺を防備している。

 連鎖の爆流チェーン・ボンバーと言う名のトラップであり、赤外線に触れ、敵を感知したら爆発する仕掛けになっている。

 厄介なのは、赤外線が景色に同化し、肉眼では確認しにくい。

 ムジカが連鎖の爆流チェーン・ボンバーの赤外線を確認出来た訳、熟練の察知力だ。


「罠を仕掛けていたみたいだな……」


 ゼブラは目を凝らし、一辺を眺める。

 もし、ムジカが引き止めていなかったら一辺は爆発し、隊列が崩壊。間違って全軍進撃さえしていれば、魔界軍の思うツボであろう。


「今から氷属性の魔導術で一辺の罠をフリーズさせ、爆発を止めてやる……」


 ムジカは氷の粒子を全身に漂わせ、詠唱。


「ーーーーーーッ!!」


 ムジカの氷属性の魔力により、森林一辺に充満する地底雲の蒸気は氷の粒子化。

 そして森林一辺に配置される連鎖爆弾チェーンボンバーは一斉にパキッと音を鳴らし、氷結。


 氷結化した連鎖爆弾チェーンボンバーは氷のオブジェとなり、例えるなら氷華だ。


…………その時だった。


「ーーーーーーッ!!」


 氷華畑と化した連鎖爆弾チェーンボンバーは白銀の輝きを放ち、一辺を照らす。


「何が起こってるんだっ!?」


 ゼブラは目を塞ぐ。


「クソッ、仕掛けを止めた時に発動する誘発トラップかっ!!」


 右腕で顔を塞ぎ、ムジカは戸惑う。

 

 白銀の輝きは森林一辺の木々のスキ間を差し、皆の目をチカチカと眩く光らせる。


ーーーーそして白銀の光は、ムジカ、ゼブラ、ムサシ、カメレオンの四人を照らし、包み込む。


……………叫び声すら響かず、四人は白銀の光に飲み込まれ、一辺から姿を消した。


「あれっ……。みんなは……」


 ゼブラは森林道を歩いていた。

 他の皆は見当たらず、ゼブラただ一人だけだ。

 白銀の光により、皆は別々の場所に転移されてしまい、行方不明だ。

 皆、実力がある。転移された早々、戦死は考えにくい……。

 しかし、この広域な森林。早くに合流は難しい。


ーーーー転移されて、数分……。


「ーーーーーッ!!」


 ゼブラが気づいた時には既に遅かった……。

 地面に張り巡らさるトラップの赤外線に触れてしまい、地面から紅の詠唱陣が広がり、地面一辺に爆発を引き起こす。

 森林一帯に生え並ぶ木々は燃え、火の粉を撒き散らし、パキパキと音を響かせ、倒壊……。

 

ーーー空気中に充満する火の粉、黒煙。吹き荒れる熱風。場の光景は、火の森……。


「うっ……。イタタタタ……」


 爆風によりゼブラは吹っ飛び、身体を後ろに一回、二回と転がり、地面に叩きつけられていた。

 そして打ち身の痛みを堪え、立ち上がり、火の森を見渡す……。


 グルルルルル………。


 濁った喉払いを響かせ、パキパキと燃え盛る地面から詠唱陣が描かれ、詠唱陣から姿を現したのはリザードナイト。 

 体面の鱗は紅に煌めき、武器は曲剣。鉱山付近に棲息するリザードナイトである。

 地面に描かれた詠唱陣は十数であり、出現したリザードナイトは十体だ……。


「この数を、今の俺のレベルでは鬼神化無しではキツイな……」


 燃え盛る森林にて、ゼブラは鬼神化を唱え、鬼神化フェニックスに変身。

 

ズウンッ………。


 一面の森林はパキパキと音を響かせ、倒壊。燃え盛り、微粒の火の粉が吹き荒れる……。


「ーーーーーーッ!!」


 全身に紅炎を漂わせた鬼神化フェニックスは炎剣を横に構え、突っ込む。


「ーーーーーーッ!!」


 十体のリザードナイトは渇いた咆哮を響かせ、体勢を低く構え、斬りかかる。


「ーーーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは紅蓮のスピードで炎剣を振るい、1体、2体、3体のリザードナイトに先制を仕掛け、次々と斬り伏せる。

 スピードを誇るリザードナイトですら、鬼神化の剣撃スピードは見切れない。

 

ーーー辺りは炎の森林、斬り伏せられたリザードナイトの焼かれた肉片が転がる。


「グルァッーーー一ッ!!」


 鬼神化フェニックスを取り囲む4体のリザードナイトは渇いた叫びを響かせ、一斉に斬りかかる。


「ーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは全身に紅炎を漂わせ、ストレートタックル。

 周囲のリザードナイトは鬼神化フェニックスのストレートタックルの炎の周撃に弾かれ、吹っ飛ぶ。

 

ーーーリザードナイトは地面に叩きつけられ、木を突き破り、燃え盛る火に焼かれ、絶命……。

 しかし……。


「ーーーーーッ!!」


 地面一辺に紫の詠唱陣を無数に描き、出現したのはリザードナイト……。

 どうやら、戦場一辺には誘導召喚の魔導術が仕組まれ、敵を倒せば自動的に召喚される設定されている。


「なるほど、そういう事か……」


 鬼神化フェニックスは誘導召喚されたリザードナイトを眺め、瞬時に察知した。

 誘導召喚の発生源を探し出し、破壊すれば召喚術は止められるかもしれない。

 魔力の光が眩い物体、鬼神化状態になれば判別は容易い……。



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