第46話 吸血鬼マリー
「ーーーーーッ!!」
誘導召喚されたリザードナイト達は剣を片手に構え、鬼神化フェニックスに一斉に斬りかかる。
パキパキと燃え盛る紅火の森林の戦場を駆け走り、足音とリザードナイト独特の奇声を響かせる。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは体勢を低く構え、一斉に斬りかかるリザードナイトの攻撃を紅火のスピードで潜り抜ける。
キシャャャャアァーーーーーーーッ!!
一辺の地面に紫の詠唱陣を描き、誘導召喚されるリザードナイト。
召喚された同時に独特な奇声を響かせ、鬼神化フェニックスに斬りかかるのである。
「クソッ。鬱陶しいっ!!」
鬼神化フェニックスは戦場一辺から襲いかかるリザードナイト達の攻撃を回避しつつ、自慢の探知力で辺りを眺め、森林道を駆け走り、捜索。
ーーー森林道一辺はパキパキと燃え盛る炎、倒壊する森林樹……。鬼神化でなければ例の物体を察知し、捜索するのは不可能である。常人では捜索する以前、場の灼熱と熱煙に耐えきれず、息絶えてしまうだろう……。
「ーーーーーッ!!」
パキパキと燃え盛る右側の道端の木々を突き破り、斬りかかる数体のリザードナイト。
「ーーーーーッ!!」
鬼神化フェニックスは瞬時に体勢を低く構え、中間距離から紅炎のタックルをリザードナイトに与え、吹っ飛ばす。
「ーーーーーッ!!」
ーーー吹っ飛ばされたリザードナイトは燃え盛る炎に飲み込まれ、ジタバタと苦悶し、焼死。
(ヤバい、気持ちが暑い……。早く見つけないと闘争心に飲み込まれる……)
鬼神化フェニックスは燃え盛る炎の茂みを駆け走り、察知力を頼りに捜索。
鬼神化を長い時間、使用すれば闘争心が増し、パワーがアップする。闘争心が増し続け、パワーがアップし続ければ術者の意識が飲み込まれ、アノ時の悪夢を再び見る事になる。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー数メートルの距離の燃え盛る茂みから数体のリザードナイトが飛び出し、斬りかかる。
「ーーーーーーッ!!」
鬼神化フェニックスは瞳を紅に輝かせ、1体、2体、3体、4体と一気に斬り抜ける。
数百メートル先に、強い魔力反応を察知し、鬼神化フェニックスは燃え盛る道なき道を駆け走る。
ーーーそして。
ーーーーー〈広地〉ーーーーー
「ハァ……ハァ……ハァ……」
息を切らし、前を見つめる鬼神化フェニックス。
ーーー広地の中央には台座。台座の上には大球の魔力水晶が置かれ、邪悪な紫色に輝かせ、チカチカと点滅している……。
おそらく、台座に置かれている大球の魔力水晶がエボルド森林一帯に、リザードナイトの誘導召喚を仕掛けている。
「ーーーーーーーッ!!」
鬼神化フェニックスは炎剣を振るい、放った炎の斬撃で魔力水晶を破壊した……。
ーーーーー大球の魔力水晶が破壊された事により、森林一帯の炎が鎮火し、誘導召喚されたリザードナイトは消滅した……。
森林一帯、鎮火した広地に静寂が訪れる……。
「ふぅ………」
息をハァ…。と、吐き、気持ちを休ませる為、ゼブラは鬼神化を解く。
体力の消費、精神的な疲労感により、気汗が額から滴る……。
とりあえず、場は落ち着いた。他の皆はどうしているのだろう。と、思い浮かべるのである。
ーーーバサバサバサバサバサッ……。
その時、広地一帯の木々の隙間から、無数の黒コウモリが一斉に飛来。
一辺の景色を黒く染め、バサバサッと羽音を響かせ、不吉な前触れを漂わせる。
コウモリの目の色は紅く、鋭い牙は血の気を旺盛を物語る。
(絶対、何か来るな……)
ゼブラは辺りを眺め、剣を構える。
「ふふふふふっ……」
広地一帯から妖艶な笑い声が響き渡る。
「誰だっ!!」
ゼブラは声をあげる。
ーーーーーすると。
「ーーーーーーッ!!」
一帯に飛来する黒コウモリはバサバサと、一点に集合。
そして女性の形に具現化し、役目を終えたコウモリ達は一斉に飛び去る。
ーーー具現化したのは問題だらけの女性だった。
ロングの黒髪、額にはティアラを装着。妖艶な垂れ瞳に泣きボクロ、眼鏡。
スラリとした身長に、ムッチリした肢体。胸には黒のビキニアーマー、肩には黒のショルダーアーマーを装着し、ヒラリとした赤マント。
下はブイラインギリギリのティーバッグを着用し、腰元にはロングソードを装着。脚部には黒革のブーツ。
(………………)
女性の姿に、ゼブラは困惑。
大変、面倒臭そうな奴が出て来やがった……。
「フフフ、可愛いわねアナタ。私に緊張してるのかしら?」
問題だらけの女性は妖艶な声をあげる…。
(…………)
言葉に困っているのか、ゼブラは沈黙。
「そんなに緊張しなくていいわ。私はアナタを誉めに来たのよ。私が仕掛けたトラップを、こう攻略するなんて、アナタが初めてよ。強いのね……」
問題だらけの女性はフラリとゼブラに近づき、ジロジロと眺めて動き回る。
彼女が森林一帯に誘導召喚の水晶を仕掛けていた主犯であるらしい。
「ーーーーーッ!!」
ゼブラは剣を振るい、女性を振り払う。
長い時間、鬼神化を使用していた為か神経が敏感であり、危険と感じてしまう……。
「私は吸血鬼女性のマリー。勝負してくれるかしら?……」
問題だらけの女性。改め、マリーはバックステップで回避し、剣を抜く。
「何っ?」
ゼブラは声をあげる。
「だから、私と勝負してって言ってるの……。古くから一族の戒律なのよ……」
マリーは吸血鬼特有の牙を晒しニコッと、ゼブラに言った。
一族の戒律ってなんだろう……。見ず知らずの者と勝負を仕掛けるなんて、変わった戒律である。
森林一帯に仕掛けた誘導召喚のトラップは、彼女の独断らしく、魔界軍の戦略とは無関係だ。




