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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
36/260

第35話 因縁の決着…。

「ーーーーーーーッ!!」


 紅戦鬼ルビーオーガの足元に、10メートルの円形に詠唱陣が描かれ、広がる。

 数十メートルの高さから黄金の詠唱陣が広がり、黄金の粒子が無数に降り注ぎ、虹色の魔力球体ミラージュ・ボール紅戦鬼ルビーオーガ核水晶コアを取り込み、虹色の熱圧を一辺に漂わせる。


「ガープよ…。因縁の戦いは、これで最後だ…。四属性の大爆発エレメント・エクスプロージョンッ!!」


 ムジカ渋い様子を浮かべ、両手を掲げ、詠唱。


「ーーーーーーーッ!!」  


 核水晶コアを取り込む虹色の魔力球体ミラージュ・ボールは大爆発を引き起こし、一帯に生い茂る草々を消滅させ、爆発波か発生。

 爆発地点から、虹色の熱煙を上空に立ち込め、地鳴りを響かせる。

 核水晶コアを露出させた状態で、四属性の大爆発エレメント・エクスプロージョンのダメージを与えられたら、ヤバイだろう。

 1回目に効かなかったのは、核水晶コアから漂わせる魔力障壁で爆発攻撃から守っていた。

 ガープの魔力障壁は、爆発攻撃には強いが、斬撃、貫通攻撃には弱い…。

 しかし、紅戦鬼ルビーオーガに体格変異により、魔力障壁が消え、攻撃重視になった。


(どうなった?………)


 吹きたてる爆煙の中、ムジカは一辺を眺める。

 熱の風が充満し、額から汗を滴らせ、ガープがどうなったと言う緊張感を物語る。


ーーーーそして、充満する爆煙が晴れる…。


「ハァ………ハァ………ハァ………」


 ガープはフラフラによろめき、ドスッと地面にへたり込む…。

 ロングコートはボロボロに焼け、肉肌から無数の傷口が開き、傷口から黒い粒子煙が噴出している。

 核水晶コアにダメージを与えられ、再生能力すら、破壊されていた…。


「ガープ……」


 ムジカは詠唱し、右手に氷剣を造形化。

 疲労が積み重なった身体を引きずり、へたり込むガープの所に歩き進む。

 一歩、二歩、三歩と、奴に殺された仲間達の無念を胸に、徐々に表情を凄ませ、奴の前に立ち止まり、静かに見下ろす。


「俺の……。最後は…、小僧、貴様が幕を下ろせ…。戦士の最後は、戦いの勝者が下すのが相応しい…」


 ガープは正座に組み直し、瞳を閉じる。

 

「ーーーーーーッ!!」


 ムジカは氷剣を振るい、ガープの首をガシュと跳ね、処刑した…。

 ガープの肉体は力なく倒れ、跳ねた首が地面を転がり、肉体と首から黒の粒子煙を一辺に噴出させ、消滅した。

 戦士は、戦いの中で活き、最後は戦いの中で死ぬのが理想であり、奴らしい最後だった…。


「ムジカさんっ!!……」


 ムジカの所に近づいて来たのはムサシ。

 鬼神化を解いたゼブラの左肩を組み、疲れた表情を浮かべ、歩き進む。

 ゼブラは鬼神化を解いた為、急激な精神変化と戦いのダメージにより、自力では歩けないのだ。


「すまないな…」


 ムサシに肩を組まれ、介護されながら歩くゼブラは、うつ向いた様子で小さく声をあげる。

 精神状態は酷く衰弱しており、休憩が必要だ。


「バカ者、謝るな…。変身を解いたら、いきなり倒れたからビックリしたぞ…」


 ムサシはクールな口振りで心配。


「そうか……」


 ゼブラは声を吐く…。


「べっ……、別に心配なんかしてないんだからなっ!!…。同じ戦場で戦う同志としてだな、安否確認も仕事だからな……」


 ゼブラの弱々しい返事に…、ムサシは頬を紅く染め、声を響かせる。

 心配なんかしてない、心配なんかしてない。と、自身に言い聞かせ、頭に浮かぶゼブラを振り払う。


「皆、ありがとう…。奴を倒せたのは、お前達の力があってこそだ…。砦に戻ろう、凱旋だ…」


 ムジカは疲れきった笑みを浮かべ、アロウン砦に向かい、歩き進む…。

 因みに、戦場で倒れていた負傷兵達は、分身達が回収し、先にアロウン砦に送り届けた。

 しかし、14人のうち、11人は意識不明の重体であり、生死の境をさ迷い、残りの3人は、精神崩壊により、戦えない…。

 勝利の代償は、あまりにも高かった…。


ーーーーー〈義勇軍の町サイモン〉ーーーーー


 アロウン砦の攻防戦とは反対に、義勇軍の町サイモンは平和な光景が広がっている。

 多くの兵士達がアロウン砦に出払っている為、町中の人通りが少なく、警備は手薄だ。

 現地の一般市民、魔界人の民が町中を行き交い、警備は兵士の姿は何人かは確認が出来る…。


ーーー〈中央広場〉ーーーー


「何とか言えってんだよっ!!」


 人の通りが少ない広場にて、兵士が蹴っているのは魔界人の中年男性。

 中年男性は地面に倒れ込み、腹を蹴られた苦痛でうずくまっている…。全身は土まみれ、至る所には青アザが浮き、口の中は血が絡み、滴る。


「いくら平等でも、スリはイケないよな…」


 兵士はしゃがみ、倒れ込む中年男性を見下ろす。

 因みに、彼は同種志向が強く、魔界人に対する差別志向があり、ゼブラと揉めた兵士である。

 ムジカから謹慎を言い渡されたが、警備兵が手薄な為、町中を歩いている。


「ゲホッ…、ゲホッ…、ゲホッ…」


 中年男性は口の中に血玉が溜まり、咳き込み、反論が出来ない。

 どうやら、中年男性はスリをやってしまい、兵士の過剰な怒りを買ってしまったらしい…。


「何だ、魔界人は人様の金を取るって戒律があるのか?。ここは地下世界アストラル、汚い魔界ではないの、わかる?。スイマセンでしたは?」


 中年男性の髪を掴み、兵士は尋ねる。


コツン……


 その時、兵士の背中に小石が飛んできた。


「オイッ、いい加減にしろよっ!!。義勇軍の兵士が、魔界人を虐待するなんてどういうつもりだっ!!」


 中央広場には魔界人の民が怒りを露にし、グイグイと押し寄せてきていた。

 魔界人は兵士の周囲を囲み、額の宝石が、紅の光を輝かせ、大批判の声を響かせる。


「その人はスリなんてしていないよっ!!。その兵士が男性とすれ違った同時に、サイフを落として、それを罪として、なすり擦りつけた所を、見たんだよっ!!。全ては自作自演だよっ!!」


 魔界人のオバさんは甲高い声を上げる。


「虐待をいい加減にしろよっ!!」


 魔界人の男性市民は言った。


「ーーーーーーーッ!!」


 魔界人の市民達は憤る声を響かせ、兵士に向かって一斉に小石、ゴミを投げ放ち、ぶつける。

 魔界人特有の、額の宝石は紅に輝かせ、怒りを露にする…。


「調子に乗るなよ、ゴミの魔界人がっ!!」


 兵士は苛立ち、凄んだ表情で剣を抜く。


「ーーーーーッ!!」

 

 魔界人の男性市民が怒りに満ちた表情を浮かべ、岩を持ち、背後から兵士の頭をゴンッと、鈍い音を響かせ、兵士を地面に叩き伏せる…。


「ーーーーーーーッ!!」


 同時に、魔界人の市民達が一斉になだれ込み、岩で殴られた兵士を殴る、蹴る、踏みつけ、血祭りにあげるのである。

 グチャ、グチャ、と、鈍く響かせる肉を叩く音、殴られた兵士は静寂と化し、額の宝石が、紅に輝かせ、広場一帯を紅に染まる。

 額の宝石が、一斉に紅の光を輝かせる事は、激しい怒りを意味し、全体で光れば、団結力を生む…。


「彼らは我々を同じ民と言ったっ!!。しかし、我々に対する扱いは何だっ!!。我々をゴミのように見下し、虐げる。それが人かっ!!。言っている事がまるで違うではないかっ!!。我々は断じて、義勇軍を許さないっ!!」


 言葉に表せないような血祭りにされ、倒れる兵士を踏みつけ、1人の魔界人の男性は、一辺の魔界人の市民達に憤りの声を響かせる。

 魔界人の市民達は応え、額は紅に輝かせ、瞳は黒く、鋭い表情に染める…。


ーーーそして。


「ーーーーーーッ!!」


 魔界人の市民達は暴徒化。

 額の宝石が禍々しい紅の光を一辺に輝かせ、女性は性的暴行され、子供、老人など関係なく、市民を暴行し、建物を破壊し、燃やし、暴れ回る…。

 小さな火種が、大きな動乱に発展した…。

 逃げ惑う市民、鎮圧活動に取りかかる残された兵士達、町中は大混乱である…。


「ーーーーーーーッ!!」


 露店のガレキ、肉、魚、野菜の食材が無惨に散らばり、大混乱の悲鳴が響き渡る…。


「ーーーーーーーッ!!」


 兵士達は武力を行使し、暴徒化の魔界人の市民を攻撃し、取り押さえ、殺す事もやむを得ない…。


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