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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
33/260

第32話 ゼブラ、ムサシ対ガープ

 一辺を漂わす爆煙が晴れ、鬼神化フェニックスとムサシは気を取り直し、戦闘体勢に移る。

 今は滅ぼすか、滅ぼされるかの戦争、そんな事をしている場合ではない。

 一方のガープは、鬼神化フェニックスとムサシを睨み、大人しく待っている。


「ムサシ、下らない言い争いは後だ…。まずは、奴を何とかしよう…」


 鬼神化フェニックスは紅の熱圧を全身に漂わせ、炎剣をガープに向け、構える。


「戦闘中、変な事をするなよ…」


 ムサシは刀を構え、クールに告げる。


「しないってのっ!!…」


 鬼神化フェニックスは鋭い瞳をムサシに向け、ツッコむのである。

 コイツ、まだ根に持ってるのか…。と言いたいが、反論すると面倒臭さいので、止めておく…。


「まあいい…。お前は私の援護だ、足を引っ張るなよっ!!」


 ムサシは先制。

 氷属性の付与術エンチャウントを使い、全身に氷粒子の冷圧を漂わせ、ガープに突っ込み、中間距離から刀を振るう。

 刃は円月に凍結し、刀は鋭い氷刃に造形化させ、威力が期待出来る。


「ーーーーーーッ!!」


 ガープは余裕な表情を浮かべ、黒炎の剣を片手に構え、受け止める。


白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんッ!!」


 ムサシは数メートル下がり、近距離から氷刀を振るい、2発の氷の斬撃波を放つ。


「ーーーーーーーッ!!」


 ガープは黒炎の剣を片手で振るい、2発の氷の斬撃波を熱斬し、浄化させる。

 浄化により、一辺には氷の粒子煙が漂い、キラキラと空気中が光る…。


孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんっ!!」


 鬼神化フェニックスは一辺に漂う浄化煙を突き抜け、ガープの前方の中間距離から、炎剣を振るう。

 翼部、胸部、刃身には数メートル以上に炎を漂わせ、凄まじい魔力を物語る…。


「ーーーーーーーッ!!」


 ガープは不敵の笑みを浮かべる。

 右掌は黒曜一色に染まり、黒の熱圧を漂わせ、孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんを受け止める。


 魔力と魔力の壮絶な衝突に、黒と紅の雷流が地面に広がり、バチバチとした音が響き渡る。


「ーーーーーーーッ!!」


 何かを察知し、鬼神化フェニックスは口元に笑みを浮かべ、バックステップし、左側に移動。

 

(なんだぁ……)


 ガープは不審な様子で、移動した鬼神化フェニックスを眺める。


白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんっ!!」


 ムサシは氷刀を振るい、白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんをガープの後方、数メートルの距離から3発、放つ。


「ーーーーーーーッ!!」


 ガープは察知し、3発の内、2発の白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんを黒炎の剣を振るい、浄化させ、一辺に氷の微粒子の濃霧を漂わせる。

 一瞬、反応が遅れたのか、1発の白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんが胸部に斬撃が直撃し、傷口が氷結化。

 ダメージを負い、ガープはよろめく…。


「かかったなっ!!」


 一瞬の時間で、ムサシはガープの右側の中間距離に移動し、氷刀を振るい、白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんを放つ。


「ナイスタイミングだっ!!」


 ガープの左側の中間距離から、鬼神化フェニックスは炎剣を振るい、孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんを放つ。

 ガープの立ち上がる時間と、鬼神化フェニックスとムサシの合同攻撃の時間の方が、早い…。

 

「ーーーーーーーーっ!!」


 鬼神化フェニックスの孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんと、ムサシの白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんが、ガープの全身に直撃し、多大なダメージを与えられ、ガクンと片膝を着く。


 3発の白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんは囮である…。

 氷の斬撃を壊させ、一瞬だけ、二人の意識を無くさせるのか狙いであり、体勢を崩した所に、二人でダメージを与える作戦である。


ーーーその頃。


(やるな…。あやつら…)


 戦場から500メートル離れ、ムジカは回復しながら、二人の戦いを見守る。

 自身は、奴にダメージを負わすのが精一杯なのに、二人は難なく遂行している。

 凄いとしか、言いようがない…。


 一方のガープは、ダメージを負い、身体を前屈みにフラつかせ、ムジカの事を忘れている。


(負傷兵達を救わねば…)


 少し、回復したムジカは詠唱。

 3体の土分身を地面から造形化させ、戦場に残した負傷兵を救出するように、命令し、駆け足で向かわせる。

 

ーーーー〈ダリウス平原中央部〉ーーーー


「キサマら……」


 ガープは全身に黒の熱圧を漂わせ、表情を凄ませ、鬼神化フェニックスとムサシを睨む。

 人間ごときに、ダメージを与えられた事にプライドを傷つけられ、憤りを積もらせる。


「参るっ!!」


 ムサシは全身に氷の粒子を漂わせ、氷刀を横に構え、突っ込む。


「人間ごときがっ!!」


 ガープは憤った声をあげ、黒炎の剣を片手に構える。


「ーーーーーッ!!」


 ムサシは何かを察知したのか、軽く笑い、ガープが黒炎の剣を降り下ろすと同時に、中間距離からガープの左腹を潜り抜け、奴の剣撃を空を切らす。

 ムサシの剣撃は、フェイクだ…。


孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんッ!!」


 鬼神化フェニックスは突っ込み、ガープが振り向いた同時に炎剣を振るい、奴の胸に一撃を与える。


白虎氷結斬びゃっこひょうけつざんッ!!」


 潜り抜けたムサシは体勢を立て直し、振り向き、鬼神化フェニックスが一撃を与えたと同時に、突っ込み、ガープの胸部に氷の一撃を与える。

 同時に与えられたと思う位、速い合同攻撃であり、ダメージを負ったガープは反応が遅れた…。


「ーーーーーーッ!!」


 2発の一撃に、ガープは吹っ飛び、胸部に紅、氷の斬跡が刻み込まれ、地面に叩きつけられる。


「意外に息が合うな、俺達…」


 鬼神化フェニックスは炎圧を漂わせ、隣に立つムサシに瞳を向ける。


「たまたまだ…。お前は少し離れろ、暑苦しくて汗をかくし、気持ち悪い…」


 ムサシは鬱陶しい表情を浮かべ、鬼神化フェニックスをクールに、ギロリと睨む…。

 鬼神化フェニックスの漂う炎圧に、汗を全身に滴らせ、ムサシの胸元を汗の雫で光らせる。


「汗がなんなんだよ…。お前、尻がデカイ割にアナは小さいんだな…」


 鬼神化フェニックスは炎剣を持つ右手をコキコキと回し、冗談気にストレッチ。

 

「キサマァ!!。小さいアナとは何だっ、小さいアナとはぁ!!。セクハラで成敗してくれるっ!!」


 セクハラ発言に、ムサシは頬を紅く染め、鬼神化フェニックスに氷刀を突きつけ、罵声をあげる。

 息が合ってるのか、合ってないのか…。

 ちなみにムサシは、気持ちが強い割りには、思い込みが激しく、素直な気持ちになれないと言う可愛らしいコンプレックスがある。


「ーーーーーーッ!!」


 ガープは憤った様子で立ち上がり、黒炎の剣を振るい、鬼神化フェニックスとムサシに狙いを定め、黒曜の円月の斬撃波を放つ。


「ーーーーーーーッ!!」


 前方から放たれるガープの斬撃波に、鬼神化フェニックスとムサシは察知し、咄嗟に二手に別れ、跳び避ける。


「こいつはどうだっ!!」


 ガープは瞳を金色にギロリと光らせ、殺気の周波をキィーンと響かせる。

 兵士達と同じように、奴らを殺気で精神を崩壊させ、なぶり殺してやると、目論むのである。

 今回、響かせる殺気は、兵士達の精神を崩壊させた以上、強力な殺気である。


ーーーしかし…。


(………………)


 鬼神化フェニックスは炎剣を構え、ムサシは氷刀を構え、ドシッとガープを睨む。


「バカな…。俺の殺気で、壊れない者がいないハズが…」


 ガープは光景に驚く。 

 鬼神化フェニックスには紅炎の殺気、ムサシには冷氷の殺気をピリピリと漂わせ、ガープの殺気の周波に対抗し、対応した…。

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