第32話 ゼブラ、ムサシ対ガープ
一辺を漂わす爆煙が晴れ、鬼神化フェニックスとムサシは気を取り直し、戦闘体勢に移る。
今は滅ぼすか、滅ぼされるかの戦争、そんな事をしている場合ではない。
一方のガープは、鬼神化フェニックスとムサシを睨み、大人しく待っている。
「ムサシ、下らない言い争いは後だ…。まずは、奴を何とかしよう…」
鬼神化フェニックスは紅の熱圧を全身に漂わせ、炎剣をガープに向け、構える。
「戦闘中、変な事をするなよ…」
ムサシは刀を構え、クールに告げる。
「しないってのっ!!…」
鬼神化フェニックスは鋭い瞳をムサシに向け、ツッコむのである。
コイツ、まだ根に持ってるのか…。と言いたいが、反論すると面倒臭さいので、止めておく…。
「まあいい…。お前は私の援護だ、足を引っ張るなよっ!!」
ムサシは先制。
氷属性の付与術を使い、全身に氷粒子の冷圧を漂わせ、ガープに突っ込み、中間距離から刀を振るう。
刃は円月に凍結し、刀は鋭い氷刃に造形化させ、威力が期待出来る。
「ーーーーーーッ!!」
ガープは余裕な表情を浮かべ、黒炎の剣を片手に構え、受け止める。
「白虎氷結斬ッ!!」
ムサシは数メートル下がり、近距離から氷刀を振るい、2発の氷の斬撃波を放つ。
「ーーーーーーーッ!!」
ガープは黒炎の剣を片手で振るい、2発の氷の斬撃波を熱斬し、浄化させる。
浄化により、一辺には氷の粒子煙が漂い、キラキラと空気中が光る…。
「孔雀鳳凰剣っ!!」
鬼神化フェニックスは一辺に漂う浄化煙を突き抜け、ガープの前方の中間距離から、炎剣を振るう。
翼部、胸部、刃身には数メートル以上に炎を漂わせ、凄まじい魔力を物語る…。
「ーーーーーーーッ!!」
ガープは不敵の笑みを浮かべる。
右掌は黒曜一色に染まり、黒の熱圧を漂わせ、孔雀鳳凰剣を受け止める。
魔力と魔力の壮絶な衝突に、黒と紅の雷流が地面に広がり、バチバチとした音が響き渡る。
「ーーーーーーーッ!!」
何かを察知し、鬼神化フェニックスは口元に笑みを浮かべ、バックステップし、左側に移動。
(なんだぁ……)
ガープは不審な様子で、移動した鬼神化フェニックスを眺める。
「白虎氷結斬っ!!」
ムサシは氷刀を振るい、白虎氷結斬をガープの後方、数メートルの距離から3発、放つ。
「ーーーーーーーッ!!」
ガープは察知し、3発の内、2発の白虎氷結斬を黒炎の剣を振るい、浄化させ、一辺に氷の微粒子の濃霧を漂わせる。
一瞬、反応が遅れたのか、1発の白虎氷結斬が胸部に斬撃が直撃し、傷口が氷結化。
ダメージを負い、ガープはよろめく…。
「かかったなっ!!」
一瞬の時間で、ムサシはガープの右側の中間距離に移動し、氷刀を振るい、白虎氷結斬を放つ。
「ナイスタイミングだっ!!」
ガープの左側の中間距離から、鬼神化フェニックスは炎剣を振るい、孔雀鳳凰剣を放つ。
ガープの立ち上がる時間と、鬼神化フェニックスとムサシの合同攻撃の時間の方が、早い…。
「ーーーーーーーーっ!!」
鬼神化フェニックスの孔雀鳳凰剣と、ムサシの白虎氷結斬が、ガープの全身に直撃し、多大なダメージを与えられ、ガクンと片膝を着く。
3発の白虎氷結斬は囮である…。
氷の斬撃を壊させ、一瞬だけ、二人の意識を無くさせるのか狙いであり、体勢を崩した所に、二人でダメージを与える作戦である。
ーーーその頃。
(やるな…。あやつら…)
戦場から500メートル離れ、ムジカは回復しながら、二人の戦いを見守る。
自身は、奴にダメージを負わすのが精一杯なのに、二人は難なく遂行している。
凄いとしか、言いようがない…。
一方のガープは、ダメージを負い、身体を前屈みにフラつかせ、ムジカの事を忘れている。
(負傷兵達を救わねば…)
少し、回復したムジカは詠唱。
3体の土分身を地面から造形化させ、戦場に残した負傷兵を救出するように、命令し、駆け足で向かわせる。
ーーーー〈ダリウス平原中央部〉ーーーー
「キサマら……」
ガープは全身に黒の熱圧を漂わせ、表情を凄ませ、鬼神化フェニックスとムサシを睨む。
人間ごときに、ダメージを与えられた事にプライドを傷つけられ、憤りを積もらせる。
「参るっ!!」
ムサシは全身に氷の粒子を漂わせ、氷刀を横に構え、突っ込む。
「人間ごときがっ!!」
ガープは憤った声をあげ、黒炎の剣を片手に構える。
「ーーーーーッ!!」
ムサシは何かを察知したのか、軽く笑い、ガープが黒炎の剣を降り下ろすと同時に、中間距離からガープの左腹を潜り抜け、奴の剣撃を空を切らす。
ムサシの剣撃は、フェイクだ…。
「孔雀鳳凰剣ッ!!」
鬼神化フェニックスは突っ込み、ガープが振り向いた同時に炎剣を振るい、奴の胸に一撃を与える。
「白虎氷結斬ッ!!」
潜り抜けたムサシは体勢を立て直し、振り向き、鬼神化フェニックスが一撃を与えたと同時に、突っ込み、ガープの胸部に氷の一撃を与える。
同時に与えられたと思う位、速い合同攻撃であり、ダメージを負ったガープは反応が遅れた…。
「ーーーーーーッ!!」
2発の一撃に、ガープは吹っ飛び、胸部に紅、氷の斬跡が刻み込まれ、地面に叩きつけられる。
「意外に息が合うな、俺達…」
鬼神化フェニックスは炎圧を漂わせ、隣に立つムサシに瞳を向ける。
「たまたまだ…。お前は少し離れろ、暑苦しくて汗をかくし、気持ち悪い…」
ムサシは鬱陶しい表情を浮かべ、鬼神化フェニックスをクールに、ギロリと睨む…。
鬼神化フェニックスの漂う炎圧に、汗を全身に滴らせ、ムサシの胸元を汗の雫で光らせる。
「汗がなんなんだよ…。お前、尻がデカイ割にアナは小さいんだな…」
鬼神化フェニックスは炎剣を持つ右手をコキコキと回し、冗談気にストレッチ。
「キサマァ!!。小さいアナとは何だっ、小さいアナとはぁ!!。セクハラで成敗してくれるっ!!」
セクハラ発言に、ムサシは頬を紅く染め、鬼神化フェニックスに氷刀を突きつけ、罵声をあげる。
息が合ってるのか、合ってないのか…。
ちなみにムサシは、気持ちが強い割りには、思い込みが激しく、素直な気持ちになれないと言う可愛らしいコンプレックスがある。
「ーーーーーーッ!!」
ガープは憤った様子で立ち上がり、黒炎の剣を振るい、鬼神化フェニックスとムサシに狙いを定め、黒曜の円月の斬撃波を放つ。
「ーーーーーーーッ!!」
前方から放たれるガープの斬撃波に、鬼神化フェニックスとムサシは察知し、咄嗟に二手に別れ、跳び避ける。
「こいつはどうだっ!!」
ガープは瞳を金色にギロリと光らせ、殺気の周波をキィーンと響かせる。
兵士達と同じように、奴らを殺気で精神を崩壊させ、なぶり殺してやると、目論むのである。
今回、響かせる殺気は、兵士達の精神を崩壊させた以上、強力な殺気である。
ーーーしかし…。
(………………)
鬼神化フェニックスは炎剣を構え、ムサシは氷刀を構え、ドシッとガープを睨む。
「バカな…。俺の殺気で、壊れない者がいないハズが…」
ガープは光景に驚く。
鬼神化フェニックスには紅炎の殺気、ムサシには冷氷の殺気をピリピリと漂わせ、ガープの殺気の周波に対抗し、対応した…。




