表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
終わる世界と始まる世界
65/104

試される覚悟

 神宮寺麗那は、柊家の本邸にある空中庭園でため息をついていた。刻矢と姫陽、サルヴァトーレにあって自分に無い物。それが解らず悩んでいたからだ。

「自分以外の命をベットする覚悟――か」

 麗那にそんな覚悟は無かった。刻矢達が傷付く事なんて見たくない。可能ならば、刻矢にイマジナリゼロを使わせず自分が強くなる方法が知りたい。麗那は心の中でそう呟いていた。

「よう、麗那ちゃん」

「柊博士」

 麗那に声を掛けたのは、ここの元主である柊未弦だ。トレードマークのカウボーイハットを被っており、空中庭園の手すりに腰掛けている。

「何か悩み事かい? 若いなら悩め悩め!」

「悩みっていうより、あたしって三人と居る資格があるのかなって思っちゃって」

 刻矢と姫陽、そして悠翔はコードだけでなく強い意志を持っている。にもかかわらず、麗那はコードを手に入れるチャンスを失ったばかりか三人に追い付く事さえ出来ない。刻矢の場合は、イマジナリゼロを手に入れて更に先へと進んでしまった。

 麗那は現状に足踏みしかしていない自分自身が情けなかった。

「じゃあさ聞くけど、麗那ちゃんは何がしたい? 何を望んでいる?」

「あたしの……したい事?」

「居る資格? それってお前さんが望んで言っているのか?」

 未弦が麗那を試す様に語り掛けてくる。麗那にとって、悩みを洗い出し的確に捉えているみたいな言葉だった。

 麗那は未弦に今日あった出来事の全てを話す。

「命をベットか。なるほど、確かに俺のガキ共にはあって今の麗那ちゃんには無い考え方だな」

「どうやったら答えが出るのか解らないわ」

「答えは出す物じゃない。見付けるものさ。納得がいかなければ、他人とは違う新しい答えを出せばいい。刻矢と姫陽が俺とは違う新たなイマジナリゼロを導き出した様にさ」

 未弦が麗那の隣にやって来てから、年長者としてのアドバイスをする。

 他人の物とは違う自分自身の答え。麗那は心の中から何がしたいのだろうと再び考える。刻矢達を守るために力が欲しいのか、違う。刻矢達と一緒に居るために戦いたいのか、願ってはいるがそうではない。自分自身が元々持っている根本的な願い。それは――

「そうだ。あたしは、あたし本当は何でも出来る刻矢が羨ましかったんだ。ずっと刻矢の背中を追っていた。追い付けないけど何度も何度も。刻矢にあたしを認めて欲しかったんだ」

 麗那は思わず目から涙を溢してしまう。小さい頃から憧れだった存在。何処までも先に行く大きな背中に追い付けなくて、刻矢と一緒に走る事を諦めてしまった。夢を捨ててしまったのは、刻矢ではなく自分の方だ。自分だけで強くなろうとして、コードで過去の夢を思い出すのが怖かった。

 そう考えるだけで、麗那は自分を惨めに思ってしまう。

「だが、刻矢は誰よりもお前を認めていると思うぜ?」

「え?」

「そうじゃなければ、お前さんをここに呼んではいないさ。刻矢は麗那ちゃんを選んだんだよ」

 未弦が去っていく。銀のアタッシュケースを麗那の側にわざとらしく置きながら。

「あ、あの! これ――」

「ああ、それ置いとくから放っておいて良いぞ」

 未弦が完全に居なくなると、麗那は好奇心からアタッシュケースを開いてしまう。

 中にあったのは、以前彼方から見せてもらったナイトメアコードの装置と、アルファベットの『i』を象った透明な鍵だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ