灰から蘇る不死鳥
「全く、この世界には困りましたね。不安定過ぎて気分が悪いですよ」
「なら移動すればどうだ?」
黒のローブを着た二人――クロスとフェニックスが、天宮学園の時計塔で下の景色を観ていた。辺り一面ヘドロや科学薬品を川に流した様な色彩になっているため、内心フェニックスもクロスの意見には賛成している。
「そんな事をしたら、アークがドラゴンかレインディアー送って私が始末されますよ。柊刻矢がこちらに向かっているとの情報があったので」
「ガセじゃないのか? あんたの天罰は二回直撃してるんだろ?」
そう言いつつフェニックスは理解していた。刻矢が何らかの方法で退院したらしいという事を。
その理由もフェニックスは知っていたが、クロスにはあえて黙っていた。
何故ならば柊刻矢は親友であると同時に、クロスに対する最後の希望であり切り札だから倒されては困ると考えていたからだ。
神宮寺家全員と風紀委員の錐彦、更には陸人のグループにも情報をリークした。全て柊博士と泉警視からの情報だと言い、裏付けも取らせてある。
後は彼等の誰かが刻矢と合流すれば勝率は格段に上がる。フェニックスこと五代悠翔は、最初からクロスを潰すつもりだった。たとえ刺し違えてでも。
「まあ、満身創痍の奴ならひねるのは簡単じゃないのかクロス」
「まあ主の加護を受けている私に勝てる者など、上位幹部くらいですけどね」
どんな手を使ってでもお前は蹴落としてやる。悠翔は復讐鬼としての感情をローブに隠しつつ、クロスを一瞥し胸の中で強く誓った。




