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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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32 王国暦377年1の月3の週 リリーへ

 リリーへ。


 ちゃんと手紙届いたよ。ケインは元々すごい奴だけど、俺もまさか旅の間にこんなものを作れるとは思わなかった。稀代の天才と言われてるらしいけど、マジで天才だと思う。

 それなのにケイン自身は全然驕ったところがないんだ。何か困ったことがあったら俺もケインを頼ろうかと思うくらいだ。本当にできた人間で、俺も見習わなきゃと思わされるよ。

 ちなみにケインがアドリーから相談されてるのはパトリシアのことらしい。多分気づいてないのは本人たちだけで、あいつら普通に両想いなんだよ。じれったいからさっさとくっつけばいいのに。


 新聞記事に踊らされるとは、情けないぞリリー。言っておくが俺はそんなに軽薄じゃないし、リリーからの手紙だって嬉しいんだからな。ちゃんと魔王を倒してリリーのところに帰るから安心して待ってろ、バカ。




 一昨日魔の森に入った。森の中はこれまでよりも圧倒的に魔物の出現が多い。でもまだまだ退治に苦戦するほどじゃないから、思ったより大丈夫そうだ。もちろん油断はしないけど、あんまり心配するな。邪魔になんてならないから、手紙は続けてくれ。


 ククより。

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