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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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18 王国暦376年11の月1の週 リリーへ

 リリーへ。


 ハンカチありがとう。難しい図案なのにちゃんとできてる。淑女は伊達じゃないらしいな。大切に使わせてもらうよ。



 昨日初めて魔物と戦った。王都でたくさん訓練していたはずなのに、いざ魔物を前にしたら、体が固まって思うように動けなかった。ちゃんと倒すことはできたけど、不甲斐なくて……情けなくなった。


 この辺りに住んでいる人たちは、日頃からこの恐怖を感じて生活していたんだよな……。そう思うと、もっと早く旅を始めればよかったって後悔が浮かんでくる。もちろん早く旅を始めても訓練が足りてなかったら負けてしまう可能性もあるから、そう簡単な話じゃないってことは分かってるけどさ。今の俺がやるべきなのは、後悔することよりも、これからできることを頑張ることだ。魔物を倒して、魔王も倒す。絶対に。


 俺たちの旅には騎士団が随行してくれてるんだ。今回みたいに魔物の被害が発生している地域では、魔物を討伐した後は騎士団の一部が残って復興支援をすることになってる。できれば俺も復興を手伝いたい気持ちもあるけど、今の俺たちにはやるべきことがあるから。

 今後もこういう形で騎士団を配置して行く予定だ。そうすることで復興と防衛を兼ねるっていうことらしい。


 これから旅が進むと、もっと強い魔物にも遭遇することになると思う。昨日は足が竦んだけど、次はちゃんと戦える。俺たちが負けるわけにはいかない。負けない。

 

 旅の間も合間に訓練は続けてるんだ。アドリーとケインも付き合ってくれてる。

 ケインはちょっとパトリシアとアドリーの仲裁に疲れてきてるみたいで、訓練は息抜きになって丁度良いらしい。訓練も仲裁も、俺も踏ん張って頑張らないとな。

 

 ククより。

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