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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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13 王国暦376年9の月4の週 ククへ

 ククへ。


 前回はごめんなさい。自分でも驚くくらい動揺してしまったの。ククは勇者でいつか魔王を倒す為に旅に出るということはわかっていたはずなのに。結局まだ実感がなかったのかもしれないわ。

 だけど、ククが大丈夫だというのならそれを信じるのが幼馴染として、村の仲間としての勤めよね。無事に旅を終えられるように祈ってる。どうか頑張って。


 私たちの村ではまだまだ魔王の脅威を感じることはないけれど、国の中にはすでにその脅威を感じている人もいるのよね。その人たちの希望になることができるククを誇りに思うわ。どうかその人たちを助けてあげてね。


 先日の新聞の記事を読む限りは、魔王討伐パーティーの仲間はみんな息が合っていて仲が良いと書いてあったと思うのだけど。実際はそうでもないのね。

 でもきっとパトリシア様もケイン様もアドリー様も、魔王を倒して世界を救うという目的は同じ筈。共通の目的を持って旅をしていれば、自然と絆も強まるのではないかしら。

 部外者の私の言葉には意味なんてないかもしれないけれど、きっと大丈夫よ。ククだって昔は村の男の子たちとしょっちゅう喧嘩をしていたけれど、いつの間にかお互いに丁度いい距離を掴んで仲良く付き合えるようになっていたんだから。魔王討伐パーティーはみんな同じ目的を持つ仲間同士だもの、きっとククと村の男の子たちの関係よりも、建設的な関係を築いていけるはずだわ。


 旅の間も手紙を届けてくれるなんて、ギルドってすごいのね。そういえば以前行商の人もギルドに所属していると言っていたわ。そういう行商の人たちの物流網とかが使われているのかしら?

 でも旅が始まっても手紙を書くことができるのはとても嬉しいわ。他の仲間の方たちもきっと喜んでいるのではないかしら。旅が始まったら、討伐パーティーの方たちと友人や家族をつなぐものは手紙だけだもの。ギルドには感謝してもしきれないわ。



 この手紙が届く頃には、ククはもう旅に出ているのかしら。以前より手紙が届くのが早くなったとはいえ、この時差がもどかしいわ。そばにいるわけではないから仕方ないのだけれど、知らないうちに危険な目に合っていないか、やっぱりとても心配よ。ククが王都に行ってからの半年間は手紙の一つもなかったから、それに比べれば今の方が頻繁にククと連絡が取れて安心できるはずなのにね。ちょっと贅沢になってしまったのかもしれないわ。


 何度も言うけれど、私もククのご両親も村のみんなも、ククの無事を願ってる。

 無理をしないで、というのは難しいかもしれないけど、どうか必ず無事に帰ってきて。


 リリーより。

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