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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
3章 迷宮って楽しいよね
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3-2.つくってあそぼ

「ふぅーーー、クリアだーーー」


 某迷宮探索RPGのエンディングロールを眺めつつ、呟く。

 いやぁ、面白かった。このゲームを購入した私の目に狂いはなかったよ。いやまあ、人気作なわけだから、余程合わないというのでなければ楽しめるのは当然なんだろうけど。


 しかし、このゲームをプレイして改めて思ったけど、やっぱり私はちまちまとレベル上げをするのが好きみたいだ。特にこのゲームは、レベルが一つ上がるだけでも強くなったことを実感できるため、レベル上げにも気合が入る。

 更には、自分の好きなキャラクターでパーティーを組んで探索できるというのも良かった。どうせプレイするのなら、好きなキャラを操作したほうが楽しいしね。それに、キャラの性格付けがされていないため、自分の好きなように妄想できるというのも良い。普通のRPGみたいに、主人公が決まっていて、仲間になるキャラが決まっていて、ってなると、そのキャラが好きになれないとパーティーに入れる気にもならないし、レベルを上げる気にもならない。あげく、嫌いなキャラとかで固定パーティーを組まされたりなんかした日には、萎えるどころの話ではない。とは言っても、キャラに性格付けがされているゲームが嫌いだというわけではないよ。私はどっちでも楽しめるんだけど、性格が好きになれないキャラがいると、使いたくないなぁと思ってしまうというだけの話だ。

 その点、このゲームは好きなキャラを使って、最初から最後までちゃんと探索が可能であるということが素晴らしい。まあ、組み合わせによってバランスの良し悪しはあるんだけどね。難点を上げるとすれば、使いたいキャラが多すぎて、逆の意味でパーティーを組むのに悩むというところか。


 ……いや、なんで私ゲームのレビューみたいなことしてるのよ。

 どうやら想像以上にこのゲームが面白かったため、テンションが上がっていたみたいだ。一ヶ月以上はプレイしていたと思うけど、全く飽きずに楽しめたしね。


『ゲームはもう終わったのですか?』

「いんや、クリアはしたけどまた終わりじゃないよ」


 私の呟きに反応したきぃちゃんが終わったのかと聞いてくるが、すかさずその言葉を否定する。

 だって、私はまだゲームをクリアしただけなのだから。

 世界中のボウケンシャーたちは言いました。クリアしてからが本番なのだと。

 言葉通り、このゲームはクリア後に高難度の最終階層が探索可能になる。迷宮のマップも、出現する魔物も、本編以上に嫌らしい仕様だという話だ。これをプレイせずしてボウケンシャーを名乗ることが出来るであろうか。いや、ない。


 ……なんで私ゲームの紹介みたいなことしてんだろう。

 まあいいや。そんなわけで、私の迷宮探索はまだ終わらないのだ。

 それに、これが終わったとしてもまだ続編が手付かずで残ってるしね。なんて幸せな状況なんだろう。私の人生は、迷宮を攻略するためにあると言っても過言じゃないかも知れないね。いや、さすがにそれは過言か……。


 あ、そういえばきぃちゃんに聞いておきたいことがあったんだ。忘れないうちに聞いておこう。


「ねぇねぇきぃちゃん」

『何ですかナハブ』

「この世界ってさ、迷宮とかってないの?」

『迷宮ですか……ゲームなんかで言う、いわゆるダンジョン的なものでしたら存在します』


 ダンジョン的なものと言うと、洞窟だとか遺跡だとか塔だとか、そういうののことかな?

 そっちも悪くはないんだけど、私の胸がときめくのは今プレイしているゲームみたいに、階層ごとにエリアが分かれているような、先へ進むごとに魔物が強くなっていくような、迷路のような階層をじっくりと踏破していくような、そんな迷宮のほうなんだよね。


『ただ、あなたの想像しているような、ファンタジー小説的な迷宮のようなものは存在していません』


 あー、やっぱりないかー。まあ、一年以上冒険者やってるけど、そんな話聞いたことなかったもんね。色んな大陸を回ってレベル上げしていた時も、そんな話している人なんていなかったし。当時はあまり人と関わることなくひたすら魔物を倒しまくってはいたけど、それでもそんなものが実際にあるというのならば、少しくらいは私の耳に入ってもいいはずだ。それがなかったということは、やはりそういうことなのだろう。

 しかし、やっぱり異世界に来たのならば迷宮というものを探索してみたかった。だって、ラノベとか読んでると、高確率で迷宮が存在してるのよね。その手の物語が好きな私としては、やっぱりお約束はおさえておきたいじゃない?

 けれど、ないのならば仕方がない。非常に残念だけどあきらめよう。本当に残念だけど……。


『迷宮が存在していないことが残念ですか?』


 ……そんなに私は表情に出るのだろうか。今もそんな顔に出したつもりはないんだけどなぁ。

 どうやら残念だと思う気持ちが顔に出ていたようで、きぃちゃんにそんなことを尋ねられる。

 そりゃ残念といえば残念だけどさ、ないものねだりするほど子供のつもりもないし、とりあえずはゲームで迷宮探索欲は発散しているつもりだし、駄々をこねるつもりはないよ。とてもとても残念だとは思うけど。


『そんなに迷宮が好きならば、自分で創ってみたらどうですか?』


 は?

 え?迷宮って創れるの?

 私はきぃちゃんからの想像もしなかった言葉に固まってしまうが、きぃちゃんは気にせず話を続ける。


『ナハブの能力があれば可能ですよ。迷宮核(ダンジョンコア)なら私が作成出来ますし』


 迷宮核!迷宮核ってあれだよね、よくラノベに出てくる、迷宮が出来るのに必要だってやつ。迷宮の最終階層に埋まってたり、安置されてたりするってやつ。これがあれば勝手に迷宮がどんどん広がっていくってやつ。大抵の場合、どうやって出来ているのかがわからないってやつ。

 え?きぃちゃん作れちゃうの?迷宮核作れちゃうの?


『必要な物が揃っていれば、私にとってはさほど難しいことではありません。後はナハブに必要な物を用意してもらうのと、必要な環境を整えてもらえれば、迷宮などすぐにでも創ることが可能です』


 マジすか。きぃちゃんがいれば迷宮ですら創れちゃうんだ。さすがきぃちゃん。本気で出来ないことなんてないんじゃないかって思えてくるよ……。相棒の有能さがとどまるところを知らない。


「うん、わかった。私、迷宮創ってみるよ。どうしたら良いか教えて、きぃちゃん」


 迷宮を自分の手で創ることが出来るというのなら、そりゃぁ創ってみたいに決まってる。探索するというのも魅力的なんだけど、生み出すことが出来るっていうのはもっともっと魅力的だ。それに、自分で創った迷宮を自分で探索するというのも楽しそうだしね。その場合、探索と言っていいのかは微妙だけど。


 さぁ、きぃちゃん。私の心は迷宮作製に傾きまくってるよ。どんな迷宮を創ろうかと考えるだけでワクワクしてきた。早く説明プリーズ!


『それでは、迷宮の創り方を説明しますね』

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