表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/63

生徒カレン

 始業前の早朝、俺とレイナはサーシャに連れられて魔法科女子学園の応接間にきていた。そこで校長と担当の教師から正規の依頼の説明を受けていた。


「わしが校長のダイナという」


「私が怪盗事件の担当のポロン・ウィズリーと申します」


 ソファーにどっしりと腰掛けた太った中年男性が校長のダイナ、その横で丁寧に頭を下げ挨拶するのは、三年生のA組を担当しているポロンという女教師だった。


 年のころは二十代半ばか、紫がかった長い髪を束ねた眼鏡姿の几帳面そうな女性。名門学校の教師らしく、タイトスカートのスーツと眼鏡でお堅い印象だが、隠しきれない色香が漂っている。髪をほどくとすごい美人なのかもしれない。


 ポロン先生の隣には女子学生が同席していた。長い赤髪をサイドテール型にまとめた利発そうな少女。マホジョの生徒というだけあってか、かなり可愛いと言ってよい。


 彼女の名前はカレン・フィレンチェ、怪盗エロスの最後の被害者だった。猫人を間近で見るのは初めてなのか、先ほどから興味深そうに俺の顔をみている。


「ノートン君、さすがマホジョ、先生も生徒も綺麗だね」


「しっ、それは関係ないはずだ」


 小声で話しかけてきたレイナを、俺はたしなめる。


 ポロン先生が言うには、怪盗が表れたのは一か月前、その間に三人の生徒が記憶を奪われたらしい。幸い生徒たちに記憶以外の外傷はなかったため、公にはせずポロン先生が補講を行って授業のフォローをしていたという。その後、そのままポロン先生が怪盗事件の担当になったそうだ。


「しかし、記憶を怪盗に盗まれたという根拠はあるのですか?」


「現場にはこのようなものが残されていました」


 ポロン先生は小さなメモを見せる。


  ──女子生徒の恥ずかしい記憶はいただいた──      

                      怪盗エロス                 


「女子の恥ずかしい記憶を盗む、変態さんの怪盗だ、やだ~!」


 内容のショッキングさにレイナは叫ぶ。


「そんな恥ずかしい記憶は無い、と思うんですけどね。覚えてないけど」


 ポロン先生の横で、会話を聞いていたカレンが答える。怪盗エロスに記憶を奪われたカレンは、教室の机の上に寝ているところを早朝に発見されたそうだ。


「でも、自分でも覚えていないような恥ずかしい記憶が盗まれてたら、やっぱ嫌かなあ」


 少しはにかみながら笑うカレン。明るくてよい娘のように思える。


「学園としても思春期の生徒のプライバシーに関することなので、動けないでいます。学園に怪盗が入ったとなれば、他の怪盗達によるドレッドノート・レースの対象となり、騒ぎが大きくなる恐れがあります。あとその……あまり予算もつかないですし」


 他の怪盗達を刺激したくないという事情に加え、私立学園とはいえ非公式で使える予算には限りがある。そのことをポロン先生は言いたいらしい。


「報酬については問題ない、捕らえた怪盗からもらうので」


 俺たちの目的は記憶を盗む魔法具だ。それさえ押収できればいい。


「でも、ここは女子校だよ、どうやって調査するのノートン君」


「レイナは臨時の転入生として潜入してくれればいいさ」


「うん、わかった。やってみるね」


「そういうことでしたら、体験入学の手続きを行いましょう」


 ポロン先生は快く応じてくれた。


「でもノートン君はどうする? さすがに女子学生に扮するのは無理だと思うけど」


「ウチの学校のペットとしてノートンさんを飼うのはどうでしょうか?」


「あ、それいいかも! わたしもノートン君を飼いたい」


 サーシャがした変な提案を、レイナがノリノリで賛同する。


「……お前たちは、俺を何だと思っているんだ」


 そのやりとりがおかしかったのか、ポロン先生とカレンもクスクスと笑っている。ダイナ校長は何も言わず、俺たちのやり取りを無言で見ている。


「規則では男性講師は認められませんが、猫人のオスという形でなら押し切れると思います」


「ね、猫人のオス……」


 ポロン先生の扱いも、あんまり変わらなかった。


「科目はアイテム科でよろしいでしょうか?」


「それがいいと思いま~す、優しく教えてね、ノートン先生!」


 ウィンクするレイナ。体験入学とはいえマホジョの入学がよほど嬉しいのだろう。


「校長も、そういうことでよろしいですか?」


「わかったポロン君。本校では校長以外の男性教員は禁止だが、例外的に許可しよう」


「では今からなら朝礼に間に合います。準備をして、向かいましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ