表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/63

意思を持つドレス

「そ、その耳、かわいいな」


『なんで魔法具でエルフ耳になっている耳を褒めるんですか! ひょっとしてご主人はエルフ耳フェチ? なんてマニアックな』


 焦って変なとこを褒めた俺に、イエローストーンは小声でつっこんでくる。


「そう? ありがと。エルフ耳もかわいいでしょ?」


「ああ、かわいいと思う」


 俺の言葉に、レイナは「えへへ」と白い歯を見せて嬉しそうな表情をした。


「とりあえず座ってくれ。コーヒーと、軽食を用意してある」


「ホント!? うれしい」


 俺は用意しておいたチーズとトマトとソーセージを乗せたパンを、魔法具のかまどで温め直すと、干し野菜のスープとコーヒーと一緒にテーブルに出した。


「ノートン君、これすごくおいしい」


 やはりレイナはおいしそうに食べる。昨日と同様に、腹ペコのようだ。


「王室の食事では足らないのか?」


「うん。公務での会食以外は簡単な食事しかでないし、夜は公務がないしね」


 なるほど、姫とは言え境遇は悪いようだ。


「まあ、わたしは結構食べる方だし」


 レイナは少し恥ずかしそうに言う。そういえばレイナは華奢な体のわりによく食べていた気がする。


「しかし、街で買い食いくらいはできるだろう?」


「だって、お金ないし」


「えっ!? どういうことだ? 王族で、しかも怪盗なのに」


「え~とね、わたしはこの魔法具の呪いのせいでお金をもてないの」


 レイナは自身のワンピースを指さす。ワンピースからは僅かに魔力が洩れている。


「レイナのその服も、魔法具だったのか!」


「うん、イマジンドレスといって、持ち主の魔力によって形と能力が変わるんだ」


 よほどお気に入りなのだろうか、レイナは嬉しそうにミニスカートのすそをつまみながら見せてくれる。


「どんな効果があるんだ?」


「今はスタンダードな形態で、隠密性と機動力が上がるんだ。戦闘時は、別の形態になるよ」


「なるほど、さすがは王家、すごいアイテムだな。少し生地を触ってもいいか?」


「いいけど、異性が無理に脱がせようとすると、その人が〝塩の柱〟になる呪いがかかっているから、気をつけてね」


 なんて恐ろしい呪いだ。さすがは王族、もちろん脱がそうだなんて思ってはいなかったが。


『ガハハ、猫人の兄さん、アンタはビンボーが好きかい?』


「うわ、しゃべった!」


 驚くべきことに、このドレスも人語を発する魔法具だった。下卑た男の声で、しかも貧乏が好きかと妙なことを聞いてくる。


『レイナ嬢ちゃん金ないくせにいいもん食ってるな~、無銭飲食か?』


「これはおごってもらったものだから、いいんだよ」


『施しか~、嬢ちゃん貧乏だもんな~』


「わたしが金欠なのは貴方のせいでしょう?」


 仲がいいのか、レイナはドレスの魔法具につっこむ。必要な魔法具とはいえ、こんな下卑た声でしゃべる魔法のドレスを身につけていたのか。


「このドレスのせいで、お金を持てなかったのか」


「うん、すぐにどこかに落としちゃうの」


「ひょっとして、怪盗エルフが民衆に施しを行う義賊って言われているのは?」


「それはこの呪いのせいで、わたしが落としたお金を民衆たちが拾っているからだと思う」


 なるほど、それで怪盗エルフは義賊ということになったのか。


「しかし貧乏か……」


「王族だからね、わたし個人はお金なくても問題ないしね」


『それにレイナ嬢ちゃんは、貧乏が大好きだからな』


「別に好きなわけじゃないよ」


『猫人の兄ちゃんよろしくな、アンタは貧乏が好きかい?』


「……俺は商売人だから、貧乏は天敵、嫌いだな」


『がはは、嫌われちゃった~』


『貧乏の呪いで、お店を潰さないでくださいましね』


 見かねたイエローストーンが忠告してくる。


『がはは、猫人の兄ちゃんも、しゃべる魔法具を持ってたんだ。よろしくな宝石ちゃん、がははは」


『こんな下品な魔法具と一緒だなんて、いやですわ』


 貴重なしゃべる魔法具どうしが、まさか集うことになるとは、思ってもみなかった。


「ではレイナ、準備ができ次第出発しよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ