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▼肖像画

翌日、悠々と正門から馬車に乗りディオン家に向かうアレクシスを見送って数時間後。

そろそろ話の真相が割れているかしら、とお茶を飲んでいるとドサッと寝室から音と呻き声が聞こえた。


とりあえず身構えて、手元にあったペーパーナイフを手にカチャンとドアノブを回す。侵入者なら、使用人を呼んでいる間に私が襲われてしまうだろうから、なんなら自分が動いた方が効率的かと考えたからだ。


「…。」


人影が2つと、盾のようなものがひとつ。ベッドの上でモゾモゾと動き、重みでギシギシと小さく木の作りが鳴いていた。

すると、そのうちの片方がぷはっと息を吐いて顔を上げると、プラチナブロンドの美しい髪とサファイアブルーの瞳が煌めいた。


「…アレクシス、どうしてこんな所に。」

「アリシアちゃんのお部屋?かな。」


ミッチェル様はここにばっかり飛ばすよねぇ。と呟きながらベッドから降りて、私の手からペーパーナイフを取り上げてしまう。必要が無くなった様なので反論も反抗もしない。


「アリシアちゃんとの交流でユルユルだったミッチェル様の契約を、アリシアちゃんの魔力ハンカチで吹き飛ばしたらミッチェル様がここにテレポートの魔法を使ったんだよ。」


ほら見て。

そう言って見せてきた、盾だと思っていた大きな肖像画には、ディオン夫人。リオ・ディオンが全体的に淡い色彩を輝かせるように微笑んでいる。

そこに、昨夜アレクシスに渡した私の魔力でできた布をかける。

すると、淡い光がすんとなりを潜め、髪の色がどんどんと濃く、深い色に変わっていく。

どろりとした色は最終的に赤を煮つめたような、濃く黒の交じった赤色に落ち着いた。


「これは、ディオン夫人?」

「そうだよ、これが本当のリオだ。」


ベッドの方からした声に驚いて顔を向けると、そこには、自分たちより10歳ほど歳上に見える少年がいた。

ピンクの髪、溢れ出る魔力。

歳は違っても明らかに、


「ミッチェル?」

「うん。ああ、やっとアリシアとお話が出来る。」


満面の笑みは、さすが大精霊といったところであった。

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