▼契約
にこにこと正解が嬉しかったのか、花を飛ばしまくる大精霊様を前に、2人は固まったが、大精霊様は関係なしに2杯目のミルクティーに口を付けている。ケーキはもうない。
「な、なぜこんな所に大精霊様が、捕まっているのですか!?」
「な、なぜこんな所に大精霊様が、捕まっているのですか!?」
アレクシスの口をついてでた言葉も丁寧にオウム返ししていくスタンスだ。流石大精霊。マイペースが崩れない。
しかし、大精霊だ。
小さな国なら一夜で滅ぼせる力があるとまで聞く大精霊が、なぜ、こんな邸宅の一室にいるのだろうか。囚われているとしても、ディオン家は魔法に特化した家系ではないのは目の色を見ても明らかであり、大精霊を捕まえているというのは些か無理があると多少魔法を学んだ程度である自分でも理解出来る。
「…ミッチェルは、ディオン家と、契約をしているのね。」
ここに大精霊を留めて置ける理由。それ以外は考えられない。
「ミッチェルは、…ディオン家…と、契約…を…っ」
カシャンっとカップをソーサーに置いてミッチェルが立ち上がる。
すぐさまアレクシスも立ち上がるがミッチェルが私の元へ来る方が早く、座ったままの私の前で毛足の長い絨毯へ崩れ落ちるように足を崩し、私のドレスを掴んで、「ミッチェルは、契約を、契約を、しているのっ…契約を…っ。」と鈴を転がすような声で口にしながら涙を流し始めた。
「ミッチェル様は、ディオン家ではなく、ディオン家の誰かと契約をされているのですね。」
「ミッチェルはっ、でぃおんけではなく、ディオン家の、…っと、契約しているのっ!!!」
瞬間ピシッと音がして空間に亀裂が入ったような、不自然な線が壁に入った。
ミッチェルの「たすけて」という声が聞こえた気がしたところで、意識が途絶えた。
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