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▼アイシングクッキー

「できたわ…!」


朝も早くから、せっせとキッチンの端っこをおかりして作り上げた大作を見て、私は満足の一声。


「お、お嬢様!これは一体…!?」

「わたしの、こんせの、さいこうけっさくです。」

「お嬢様はいつももっとお上手じゃありませんか!」


そう。前世の記憶持ちで尚且つ器用貧乏の私はそんじょそこらのお貴族様より料理ができる。

が、目の前にあるのはポイズンクッキングだ。

紫が勝ちながらでいて、黒もおどろおどろしく目立つこの作品を見て、手を出そうなんてやつはまずいない。着色に拘っただけで、実際美味しいアイシングクッキーなのだけれど。

これで勝つ。

ワタワタしている料理長たちを後目に、さっさと後片付けをして部屋でラッピングをしていく。


攻略本には、毒に嫌悪感があり手料理が嫌いとあったので、明らかなポイズンクッキングで手料理のダメさと毒々しいかんじを演出してみた。

人の弱点やトラウマを掘り返す形は望むところではないが、背に腹はかえられぬ。


シュルルっと結び終わり、ハサミでぱちんとリボンを切ると、ホッと息を吐く。


上手くいくかは分からない綱渡りのような作戦だ。

過去に毒殺されかけたって、いつの話か分からないから幼い婚約者が警戒してくれるか分からないし、クッキーも練りこんだ染料とアイシングがおどろおどろしいだけで食べたら普通のクッキーだ。


…それでもダメなら運命に逆らってでも、私は我儘を通すしかない。


できるだけジタバタしても痛まないような服を選ぼう。とドアの向こうから朝を知らせる声を聞きながら返事を返した。

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