エピローグ:ホワイトハウスのバカ笑い
それから3年の月日が流れた。世界は劇的な復興を遂げていた。
アメリカ・ペンタゴンの大統領執務室。
そこには、ポーカー大統領の跡を継いで見事にアメリカ合衆国大統領となったジョージ・テキサスと、壊滅した日本を立て直し、国民からの圧倒的な支持を得て「新日本国皇帝」の座に就いた浅井マイクの姿があった。
しかし、世界のトップに立った二人の男のやることは、18年前のあのテキサスの養豚場と何一つ変わっていなかった。
「おいジョージ、その肉、ちょっと焼きすぎだろ! レアが一番美味いんだよ!」
「うるせえマイク! テキサスのBBQはウェルダンに決まってんだろ! ほら、この特製のタレをたっぷりつけろ!」
二人は高級な絨毯が敷き詰められた大統領室のど真ん中に、わざわざテキサスの養豚場から持ってきたボロボロのドラム缶コンロを設置し、ホワイトハウスさながらの部屋で、モクモクと香ばしい煙を立ち上げながら勝手にBBQを焼いてバカ笑いしていた。
「ちょっと! あなたたち、いい加減にしてください!!」
バタン! と激しい音を立てて部屋のドアが開き、書類の束を抱えた一人の少女が怒鳴り込んできた。今や最高に仕事ができる敏腕大統領秘書官となった、17歳のアニー・浅井だった。
「国家予算の超重要会議の最中に、大統領室で何をやっているんですか!? 煙でスプリンクラーが作動したらどうするんですか!」
「げっ、アニーだ!」
「大統領の俺より怖い、皇帝の娘が来たぞ! マイク、肉持って逃げろ!」
世界を救ったはずの最強の二人の英雄が、17歳の少女にめちゃくちゃに怒られながら、コークの缶を片手にケラケラと子供のように笑い合っている。
怒るアニーの胸元には、かつて網走でシゲさんが命を懸けて守り、島でアントニオが余ったボルトで不器用に作ってプレゼントしてくれた、あのクマのキーホルダーが大切そうに揺れていた。
窓の外には、どこまでも青く澄み渡った、美しく、そして完璧な命の質量が詰まったプラス宇宙の太陽光が、彼らを祝福するように、優しく降り注いでいた。




