文化祭編第六話 愚者が歩き出す時
教室では、すでに終礼が始まる雰囲気になっていた。しかし、丸石さんと、ホタルが教室にいないらしい。これはうまくいったのかな?そんなことを考えながら、あたしは窓の外の景色を見る。斜め左上を見れば、丸石さんとレナちゃんが泣きあっていた。よかったと、安心する。
レナちゃんの背中を押したのは、紛れもなくあたしだ。レナちゃんは同じ部活に入っている友達で、一回だけ丸石さんの話を聞いたことがある。だけど、レナちゃんが時々遠いどこかを見ているうような目になるもんだから、一回くらいちゃんと話したら?と言った。あの様子だと、満足いくまで話し合えたみたいだな。
あたしがレナちゃんの背中を押したのにはもう一つわけがある。それは、丸石さんのことを気にしていたからだ。お節介であることは、わかってる。でも、丸石さんもレナちゃんと同じような目をすることがあったから、見ていられなかったんだ。あの元気なホタルが関わると、逆にどんどん元気を失うからさらに心配した。
この時期を指定したのには、あたしの個人的なわけがある。秋というものは、何かを変えるチャンスだからだ。秋は、何にもとらわれない、自由な季節だ。世間では、「食欲の秋」、「スポーツの秋」、「読書の秋」などと様々な標語に使われている。つまり、秋は世間から一言で表されないくらい、自由な季節というわけだ。しかも、さっき挙げた標語には、決まって一つの法則がある。それは、新しく何かを始めてみようという声かけだ。
だから、あの二人に変わって欲しかった。過去を見つめ直して、現在の自分と対峙する。そうやって、二人には将来、新しい方向に飛んでいってほしい。
あの二人だけじゃない。ホタルにも、そんな思いはあった。だって、絶対に丸石さんと、ホタルは相性がいいもん。でもこのことは今、焦らなくてもだんだんわかってくると思うけどね。
奇妙なものに巻き込まれて、未知の冒険に出る。そのことによって、不思議な体験をして、常識を壊す。占いによって、丸石さんは事件の解決に乗り出す。そして、星が飛んでいくことを体験して、レナちゃんと和解する。これらによって、二人はまた新しく始まる。
これは、既に占いによって決まっていた。愚者、月、塔、死神。これら四つのカードによって、丸石さんの運命は導かれた。
「ね、大丈夫だったでしょ。」
あたしは、誰にも気づかれないように少し微笑んだ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。これにて、文化祭編終了です。
第二章は3月19日から再開予定です。
ホタルとスイなど個性的なキャラクターと共に新たな事件が始まります!
ぜひ、お楽しみに!!




