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文化祭編第四話 流れ星の犯人

気づけば、今日の文化祭終了時間20分前になった。結局、僕たちは犯人を捕まえることができずに、一日が終わろうとしている。



盗難によって、被害を受けた出し物は、計9個。そのうち、出し物をすることが不可能になったものは、3個。放送委員会の力や、文化祭実行委員会の力も借りたにも関わらず、犯人は見つからない。証拠は残しているのに。



僕たちは、疲れ果てて、自分たちのクラスの出し物がある教室にいた。幸いにも、自分たちのクラスの出し物は被害を受けていないらしい。なんとか、最後まで営業することができた。



「いやー、見つからなかったね。これ、学校史に残る事件になるね。」

扇風機を持って涼みながら、ホタルが言う。

「本当にそうだね。僕も疲れた。」

一方、僕はブースの中でだらけていた。僕らはこうして、もう来場者が来ないことをいいことにブースの中でくつろいでいた。



「でも、あと数分で終わるし、少しだけ廊下に出てみるか。」

体はとっくに限界を迎えていたが、僕もなんとか動く。もう夕方になると言うのに、むわっとする暑さが残る廊下には、人がたくさんいた。



「やっぱり、いないんじゃないの?」

僕はすでに半分心が折れていた。お昼から校舎中を歩いたにも関わらず、犯人は未だに見つからない。さらに、引っ込み思案な僕が、今日だけで初めて話す同学年の子が最低10人はいた。その結果、僕の体力は-100%になっている。明日は、ベッドに引きこもっていたいが、そうするわけにはいかない。なぜなら、明日も文化祭は続くからだ。



「いや、絶対いる。」

そんな僕をよそに、ホタルは自信満々に答えた。

「なんで?」

流石にホタルも諦めていると思っていたのに、ホタル曰くまだ希望があるらしい。



「だってさ、よくよく考えてみるとおかしいじゃん。一日で、校舎図を頭に入れるっておかしくない?しかも、堂々と校舎内で盗むんだよ。そうとう準備がいると思うけどな。」

確かに、ホタルの言うことは正しいのかもしれない。逃走する経路も事前に準備しなければ、もたついてすぐに捕まってしまう。



「まあ、他の人に事情聴取していた時点で、在校生だということははっきりしてたんだけどね。みんな、制服を着ていたって言ってたし。」

「そうだったの?もっと、早く言ってよ。」

「え、気づいているんだと思ってた。」

いや、言われなかったら気づかないよ。そんな風にツッコんでいた時、犯人らしき人が廊下に現れた。



「あれは!」

間違いない。今まで盗んできたものを両手に抱えている。これでは、まるで自分が犯人だと見せびらかしているものじゃないか。一体、何が狙いだ?



「スイ!追いかけるよ!」

ホタルが一目散にかけていく。それに僕も続いていく。犯人もバレたと気づいたのか走り始めた。僕たちは、職員室とは反対方向に走った。でも、犯人は僕やホタルよりも圧倒的に速い。このままじゃ、振り切られてしまう。どうにかして、犯人を確保しなければ!



「スイ!犯人の声を聞くことってできる?」

その言葉を聞いたとき、急に周りがスローモーションになっているように見えた。え、人の声を聞くこと?それでまた傷つかないかな?



「でも…」

やっぱり、まだ怖い。ためらいがある。



「だったら、誰がこの状況を解決するの?今、みんな文化祭の出し物が出来なくなって、困ってる。なんとか文化祭を続けるために、みんなそれぞれの問題を対処してる。誰かがやらなきゃ、『今』を覆すことはできないんだよ!」



「誰かがやらなきゃ」。その言葉が木霊した時、僕は無意識に能力を使っていた。犯人の狙いは?そして、いまどこに行こうとしてる?「耳」を開くと、たくさんの音がする。人々の不安の声。好き勝手に話している物。その中から、犯人の声を探し出す。まるで、渋谷のスクランブル交差点を渡っているたくさんの人から、たった一人を探すように。そうして、無規則に流れる無数の音から、たた一つの音に僕がたどり着いた時。僕は、少し動揺しながらも、さらに加速した。



「ホタル!僕は真ん中の階段から四階に行く!ホタルはそのまま犯人を追いかけて!多分、このまま突っ切ったさきにある階段を犯人はのぼるから!」

「了解!」

そんな言葉を交わして、僕は右に曲がって階段をのぼる。四階に着いたら、立ち入り禁止エリアの部分を走る。誰もいないから、全速力で走れる。そのまま突き当りまで行く。左に曲がって、犯人がのぼってくるだろう階段が見える。間に合え!これで、上手く挟み撃ちにしたら、僕たちの勝利だ!




しかし、僕が左に曲がった時点で勝負は決まっていた。犯人はすでに到着していた。僕は立ち止まって、荒く呼吸する。犯人は、僕が小四の時にいじめから助けようとした、レナちゃんだった。なぜ、ここにいる?そんな僕の疑問をよそに、あの子はかごを持って、窓を開けた。窓の先には、360°校舎が見える。一体、何をするんだ。

僕は、待てと、声をかけようとするが、レナちゃんの行動が一歩早い。レナちゃんは、右手に持っていたカゴから白くて小さい何かを大量に投げた。それは、星だった。軽いからか、風に乗って、まるで流星群のように校舎の吹き抜けを通っていった。




「きれい」

思わず、僕も見惚れてしまった。

「よかった。笑顔になってくれて。」



レナちゃんは、振り返ってそう言った。

「でも、だからってなんでこんなことしたの?」



だって、今回の騒動でたくさんの人が迷惑した。なぜ、僕のためだけにこんなことが起きた?



「ずっと、苦しかったの。」

彼女は、俯いて話し出した。

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