貰った人形
「...チカとミカはお姉ちゃんの部屋の前で何してるの?」
ミシアが聞くと二人は黙ってうつむいている。
「お姉ちゃん怒らないからいってごらん?」
もう一度聞くと怒らないからというフレーズに反応したのか二人がほぼ同時に喋り始めた。
「お姉ちゃんが変な顔してたから来たんだけどチカが僕が止めたのにお姉ちゃんの部屋に入ろうとしたから」
「お姉ちゃんが変な顔してたから気になっちゃって見に行こうとしてお姉ちゃんの部屋に入ろうとしたらミカが邪魔してきた」
言い終わると二人は黙って睨み合っている
「じゃあどっちも変な顔してたからお姉ちゃんの事が気になってきてくれたの?」
「うん」
二人同時に答える
そこは照れくさそうに下を向いてモジモジしている
...もしかしたら心配されているのかもしれない、いつも一人で決めては一人で行動していて幼い頃に人間に心配されたことのないミシアには心配されることなどなかった、そういった感情はなかったのだろう。
「そう、ありがと、お姉ちゃんには何も無いよあなた達が可愛かっただけよ」
少し嬉しそうに声を弾ませて言った
誰かに気にかけて貰えるのがこんなに心が救われるとは思っていなかった、子供達には自分の限界を超えるほどの愛がさらにミシアの心に芽生えたのがわかった。
子供達が部屋から出ていくとベッドで横になり身体を休める、最近体の調子が悪くなっている、子供達のためにはやく体調を良くしようと毛布を被りまた眠りにつく。
自分達の部屋についたチカとミカはドアの前で立ちどまった。
「...なにもなかったんだね、やっぱり僕の考えすぎだったかな...」
ミカがポツンと呟く、するとその後に続けるようにチカが喋り始めた。
「チカも考えすぎかな...ごめんねミカ」
普段は絶対と言っていいほど譲らないチカに急に謝られて動揺した。
「ぼ、僕も悪かったよ、ごめん」
何故か僕まで謝ってしまった、チカのせいだ、謝る事なんて滅多に無いのに、チカに文句を言おうとするが部屋に入った途端にチカが急に慌て始めたことに気づく。
「チカ...どうした?」
文句を言うのではなく心配する言葉が出てしまった。
チカは小さな声で呟いた。
「ない...お姉ちゃんから貰った大切な人形がない!」
人形...そういえばみんなで寝ている時にチカが大事に少し大きめの人形を抱えていたのを思い出した。
あれがお姉ちゃんにもらった物なら大事に抱えているという納得がいく、チカはお姉ちゃんが大好きだから。
慌てて部屋中を探し回っている、チカは少し涙ぐんで人形を探す、少し可哀想に見えた自分の大切にしている物がなくなるのは誰だって辛い、もしそれがどこかにあるならばそれを必死に見つけようとするだろう。
呆れたようにしてミカはチカに近づいて言った
「僕も一緒に探してあげるよ、大切なんだろ」
チカは涙ぐんだ顔を縦に揺らした。
「で?どんなやつだっけ?」
ずっと抱きしめていたのは覚えているが、チカのベッドには色々な人形やぬいぐるみがあって正直どれがどれだかわからない。
するとチカが手で大きさを表して少し大きめの可愛いくまの人形だそうだ。
わかったと応えて探していくチカの事だから外には置いていかないだろう、人形で遊ばれて怒っていた事もあったくらいだ、するとルミのベッドの近くにくまの人形があった、それをチカの目の前に持っていくとその人形に跳びつき、あった、あった、と喜んでいる...少し疑問に思うのが何故ぬいぐるみではなく人形なのだろう...そう考えているとチカが居なくなっていた、またお姉ちゃんの部屋に行ったのだろう。




