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エピローグ

ラナとレヴェッロートが両思いとなった翌日。

公爵家の庭でルーナと遭遇したラナは、違う意味でぎょっとした。昨日の失恋でルーナは消沈しているだろうとは思っていたが、想像以上に茫然自失しているみたいなのだ。

ルーナは真っ直ぐの道をふらふら左右に振れながら歩いているので、とても危なっかしかった。



「だ、大丈夫? ルーナ。おーい」


 相手の目の前で片手を動かしてみるが、反応がない。



「どうしよう。ショックが大きすぎて、生気が抜けちゃったのかな……」


 ルーナがこんな状態では、大事なことが伝えられない。ラナは思わずため息を吐く。



「あ。スクード、お早う」

 その時、屋敷の方から歩いてきたスクードが見えた。どうやら昨夜、彼はこちらに泊まったらしい。



「あのね。助けて、ルーナが……」

「キャアアアアアア!」



 今まで何も映していなかったルーナの瞳がスクードを捉えたかと思うと、彼女は回れ右をして、昨日以上の速さで逃げていった。



「な、何が起こったの?!」

「さあ?」


 驚いているラナに、スクードは桜色の瞳で楽しげに笑いかけてくる。そして、彼は思い出したように付け加えた。



「ああ、そうだ。昨日のことです。ルーナ嬢は、こう言っていました。

 ——————ラナという存在が現れても、最後の悪あがきで私はレヴェッロートに恋をし続けた。だけど自分にはラナがやったようにレヴェッロートの未来は変えられなかった、と。

 だからルーナ嬢はきっと、どこかで貴女と公爵が思い合っているのを分かっていたのでしょう。

 では、私はそんなふうに素直で可愛い彼女を追わせていただきます」



 言うだけ言って、物凄い速さで彼はルーナの消えた道を走っていってしまった。

彼らの姿は、まるで憐れな獲物のネズミと追いかける猫のようだと思うと、ラナは笑いが込み上げてくる。




「ルーナ、後でスクードと何があったのか全部教えてよー! 

 まあ、聞こえちゃいないだろうけど」



 きっと近いうちにルーナは事情を説明してくれる気がした。それは、もしかしたらスクードと微笑み合いながらかもしれないとまで思う。彼らは強くて正義感があって、似合いの二人に見えた。スクードはルーナと結ばれれば、必ず彼女を幸せにするに違いなかった。先程会ったせいか、ラナの頭の中に桜色の瞳したスクードが強く印象に残っている。自分と同じ色の瞳のスクードが…………。



「あれ? もしかしてスクードが私のお父さんだったのかな?」



 そういえばスクードの髪も目も、自分と同じ色だということに行き当たる。勿論、考えすぎかもしれないと思ったが。



「ルーナを追いかける楽しげな様子を見たら、微妙に嫌だけど。……あれが私のお父さんかぁ……」



 ラナは頭が痛くなり、考えるのを放棄した。

 無理やり、考えを元に戻す。

 早くルーナに、レヴェッロートと婚約したことを伝えたかった。

 それからラナは、未来で挑戦したレヴェッロートとの賭けが今度は嬉しい引き分けとなったことも、親友のようなルーナにいつか聞いてほしいなと思ったのだった。



                                    Fin.

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