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ルビーアイ princess momoka  作者: アゲハ
2章 カタストロフィ
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38話 エリカの想い

私が立ち去り、リンリンと眠った姿のエリカ


そんな中でリンリンは噴水の縁に座ったまま微笑む




「アレが桃花かぁ……♪ 素晴らしい逸材だね」




そう言うと空に目を向ける


そして、もう一言


言葉を紡いだ




「そう思わない? 《エリカ》♪」



「気付いてましたか…… さすがはリンリンお姉様…… はい、まさかあれ程とは……」




話し掛けられたエリカは、その瞳を開く


寝そべったままの彼女の視界ににもまた、リンリンと同じ空が映っていた




「相手が相手なら《寝たフリ》は有効だね♪ で、エリカはいつから聞いてた?」



「リンリンお姉様が《危害を加えない》と断言なさった辺りです」



「それで私の考えに賛同してくれた訳ね」



「はい、まぁ……」



「ありがとね♪」



「いえ……」




小さく呟いたエリカの頬が赤く染まる


そんな彼女を見たリンリンは、おいでおいでと手を招き、立ち上がり歩み寄ったエリカの頭を優しく撫でた




「彼女は…… どうかな?」



「私はリンリンお姉様の考えが正しいかと」



「私の考えが解る?」



「はい…… 彼女は()()()()()()()()ですね」



「そうだね…… そして桃花が最後に言っていた言葉も覚えてる?」



「はい」



「大きい器じゃない? エリカは、桃花の力が整ってなければ殺すつもりだったでしょ? そんな子を最後には守ろうとするなんてさ♪」



「そうですね…… ノア様から浅く聞いていた戦いが本当に起きるのなら、未熟な足手纏いは要りません」



「ん♪ ……で?」



「充分かと」



「そっか♪ ……で?」



「で、とは? 何かまだ話を掛けられた事が有りましたっけ……?」



「友達になりたいって言ってたよ♪」



「友達ですか……」



「そこんとこ、どうなの?」



「そうですね…… 成れるモノならば…… 成りたいモノですね」



「そっかそっか♪ 良いねぇ、切磋琢磨!」



「でも、次会った時に彼女は忘れてるかも知れませんし……」



「何言ってんの! 忘れてたらエリカから友達に成ろうって言うんだよ♪」



「ええ!? イヤですよ、そんなの……」



「それで良いの? いつか背中を預け合える親友に成るかも知れないよ?」



「背中を……?」



「そ♪」



「じゃあ…… 私は…… もっと彼女に追い着ける力を身に付け無ければいけませんね」



「そうだね♪ じゃ、侍女達にもエリカと特訓中って話をした訳だし、これから特訓する? アリバイ作りの為にもね♪」



「え!? ……はい♪ お願いします!!」




とても嬉しそうな笑顔を見せるエリカ


その表情につられ、リンリンも笑顔を返した




「でも待ってね、エリカ」



「はい?」



「もう1人()()()()()()()()()()()が居るから」



「はぁ……? 誰です?」



「フフフッ♪」




そう含んだ笑みをもらすリンリン


そんな彼女に声を掛けた者が居た




「リンリン様♪ ただ今戻りました! あ、エリカお姉様もお起きになったのですね♪」



「うんうん、()()()…… 思ったより連れて来たね♪」



「はい!」




そう言った女性は、先程桃花が噴水縁の下に隠れた際に中庭を訪れた侍女ユユコ


その背後には更に()()()()()が控えていた




「とりあえずユユコも入れて10人ね?」



「はい♪ リンリンお姉様が《3分で出来る限り侍女を集めて戻れ》とジェスチャー下さったので…… 少なかったです?」



「大丈夫、充分だよ♪ ありがとね!」



「いえ♪」




なんの事かと侍女達、そしてリンリンを交互に何度も見るエリカは言葉を発した




「あの…… リンリンお姉様? コレは……」




1度エリカへ向けたリンリンの視線


だが、直ぐにリンリンは侍女達へ向き直る




「ユユコ、(なら)びに侍女一同さんに伝えます…… 曲者を見つけたよ…… その通路を右に女性が走って行ったから捕まえてくれる?」



「リ、リンリンお姉様!?」



「黙りなさい…… エリカ」



「は…… はい……」



「さて、話を戻すね? ノア様やムーン様に万が一の事が有ってはいけません…… 殺してはダメだけど、多少の痛手はしかたない♪ ソレを踏まえて捕獲してらっしゃいな」



『『承知しました♪』』




侍女達が一様に頭を下げた後に走り去る


一気に(しず)かになった中庭で、エリカはリンリンへ問い掛けた




「あの……」



「ん? ああ…… 桃花の捕獲ね?」



「はい…… 彼女に危害を加えないってお姉様は仰ってたのに…… 何故?」



「だから特訓だよ♪ もう1人のっていうのが桃花なの」



「ど、どうして……」



「桃花はこの世界でもっと強くならなければならないもんね♪ だからココの侍女達から追われ、斬り掛かれた方がスキルアップするよ! 彼女は自己治癒できるから、本気で死ぬかもってスリリングな状況のが都合良いの」



「はぁ…… リンリンお姉様の悪いクセが出ましたね…… 気に入った者を無茶を省みずトコトン強くするってクセが……」



「そう?」



「はい……」



「でもさ? ムゥムゥ様の御指導も似たようなもんだったよ? だから私は強くなれたんだからね♪」



「ま、まぁ……」




そう呟く様に言葉を吐いたエリカ


侍女達が走り去った通路を見ては憐れみの表情を浮かべ、そして彼女は桃花へ届かぬ想いと知りながら、それでも心で語り掛けた




(桃花…… ちゃんと生き残りなさいよ? 私は…… 私は、貴方と友達に成ってみたいのだから……)


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