守護選択自分再生
翌日、彼のことを知れて良かったな、と思う。
強くなりたいと願うとは思ってもみなくて。
わたしは、朝の会の暇つぶしに、ケータイ小説を
呼んでいた。
ケータイは持ち込めないから文庫本だけども。
小説に目を向ける前、悠歩を横目でチラッと見た……。
悠歩は弱気な顔をしていない。普通の表情をしていた……
結局は彼の自由だもの。そう心に言い聞かせながら
ケータイ小説を読み始めた。
恋愛ものではないけれど。
悠歩のことを守る自分がまた生まれてきそうになりながらも、わたしは、今日も過ごすの────…
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今日は友達のサホと帰る。
「あっ!さりなっ!おまたせ~」
「サホ~」
サホは明るい元気な女子。
サホとはクラスが違うけど、それでも友達であることに変わらない。
「さりな、悠歩とは帰らないの?」
歩き出しながら、2人で話す。
「帰ろうって誘ってるけど、事情があるとか
言い出してさ……」
わたしはため息をついた。悠歩の謎の事情……
「えーっ、事情?なんか怪しいわねー」
「うん…」
「学生に事情なんてない気がするけど……」
サホもわたしも困惑中。
一体彼は、わたしの見えないとこでどんな事情が
あるの?
深くは探りたくない、ひょっとしたら家の事情かもしれないし。
「……不思議な男だわ、悠歩」
弱気な彼を初めて、不思議な男と思った……
「そうだね~あはは」
サホと、わたしは笑った。
帰る道中、悠歩の話や近況を話し合った。
そして家に帰り、こう思った……
悠歩から離れるのも良いかも知れないと。
悠歩もわたしから離れていき……どっちもどっち
同じね、行動が。