守護不要永久感謝
わたしは、体育館裏倉庫にて連れて行かれた。
「……悠歩、話って」
突然こんなとこに来てもわからないよ。
でも、悠歩は何も答えず、わたしの唇に触れた。
柔らかい感触にすごくドキドキした。
「さりなちゃん。今までありがとう」
「え?」
今までありがとう?その意味がわたしにはわからない……
「守ってくれて嬉しかったよ……でもぼくさ……
強くなるから、さりなちゃんもう守らなくていいよ……」
そう、もじもじしながら語る男の決意は、とても
カッコ良く思えた─────…
「え……」
守らなくちゃ、痛い目見ちゃうよ?
「今までありがとう。幼なじみだけど、愛してる」
知らない悠歩がわたしを抱きしめた……
新しい悠歩が微笑んだような気がする。
「悠歩……」
わたしは静かにうなずいた。
彼なりの目的があるんだなぁと。
ここはもう、決意した男を見守らなくちゃいけない────…?
「本当にありがとう、守ってくれたことは
永久にわすれられない……」
そう言って悠歩は走り去っていった。
「悠歩……」
彼の名前を呼ぶことしか出来ずで困惑のまま……。
過保護なわたしも止めて、見守ろうかな……?
桜風に揺られながら、か弱い悠歩の記憶をめぐらせた……