2『悪い女でごめんなさーい』
「ん、ありがとう」
「いいえ、これくらいならいくらでも」
祝福の花4枚目の効果終わりに呼ばれてシャードさんの元へ行くと、シャードさんはエリアの隅の方に家を出していた。呼ばれるままに家の中に入ると…ポーションの補充をお願いされた。
「もう無くなっちゃったんですね」
「おおよそ1時間で100本、か…」
ダメージは受けていないのでHPポーションは減ってないそうだがMPの方が枯渇寸前らしい。
預かってあったMPポーションを200本出すが……ふと気づく。
思いのほか…シャードさんが疲れて見えることに。
「シャードさん疲れてますね?休憩しますか」
「まだ大丈夫だよ。全然足りないからね」
大丈夫と言うが……明らかにちょっと疲れている。おそらく人が少ない分、私も足場がなくて苦戦したようにシャードさんも個体数が多くて疲れたのだと判断するが……
これは、多分ドロップ数の差に引け目を感じて少し無理をしているな。
2時間の戦果は
私x133
シャードさんx32
「もう、2,3人いたら少し楽でしたかねー」
「そうかもしれないね」
2時間狩りをして1時間休み
2時間狩りをして30分休み
最後は480を超えるまで狩りをして、その日はそのまま2階で1晩過ごすことになった。
ちなみに驚いたのだけれど、家は壁に向かって人が通れる程度の隙間を作って設置し直されていた。
こうすれば、家と壁がモンスターの進行を防いで、モンスターに襲われるのが左右上の3方向になるという優れものだ。
一般のフィールドでは出来ないテクニックで、流石よくこういうこと思いつくよなとシャードさんの細かな努力に感動した。私たちよりサイズが大きなモンスターに関してはこれ入って来れなくなるかもしれない。流石である。
ちなみにこのとこ初めて知ったが『家』は街と同じく神の加護があり…モンスターには破壊出来ないらしい。壊せるのも、作れるのも家具職人のみ。びっくりである。
だ。この狩りにくい環境でも時給15を超えているのはさすがとしか思ってないけれど、彼はこれを確実に気にしている。
「……何さ」
明らかに虚勢をはってるシャードさんを見上げて首をかしげ、考えてーーー手を引っ張る。
「なんなのさ」
無言で動いてるせいで少し苛立ってきてるシャードさんをベッドに座らせて
むぎゅっと抱きつく。
「………」
「………」
以外に純情なシャードさんはそれだけでガチンっと固まった。
別に私はそこまで純情ではないのでついでにシャードさんの胸元に頭を埋める。
「さあ、狩りに戻りたくば私を引き剥がしていくのです!」
そう言って、さらにギューッと力を込めると………しばらくして、おずおずと抱き返された。
作戦は成功したようだと私も少し強めていた力を緩める。
「ねえ………ずるいんだけど」
「ずるくないでーす」
「…僕が引き剥がせないのわかっててやってるだろ」
「シャードさんは私に甘いですからね」
諦めたのか、シャードさんは私を抱えたまま、私を上に乗せるようにベッドに横になり……不意に口元にクッキーを1枚差し出したのでそれにパクッと食らいつく。
「はあ、もう最悪。ずるい。君はずるい」
「ずるくて面倒で、悪い女でごめんなさーい」
ふっふっふと笑いながらもう一度ぎゅっと抱きついて
シャードさんを強制的に休憩させることには成功した。
ただ、成功しすぎてちょっと休憩時間が長かったのはまあ、ご愛嬌だ。
2人っきりだし迷惑かける人も邪魔する人もいないしね!!
ご機嫌取りも相まって、少々シャードさんとの距離が近いが今のシャードさんは疲労の様子もドロップ量を気にした様子もない。
ソファに座る彼の膝の間に私が座っているので、むしろご機嫌なくらいだ。
竜人もツンデレも執着は強いけれど、その分甘えられるとちょろい。可愛いもんであるし私も別に嫌じゃないのでWinWinだ。
とはいえ、私はそこに座っているだけで…ステータス画面を見ているのだけどね。




