1『使徒様をお連れしました』
『『ただいま戻りました』』
ようやく到着した、不死地帯最奥エリア。
スタンピードの前線があまりに激しく…そしてそこを強引に押し通る馬車さんとメイド人形さんの攻防に、もう、恐怖しか無かった。
ボスエリアの隣のモンスターは首なし騎士が馬に乗ったデュラハン。
だがこいつは一体で三体という特性がある。
馬、騎士、武器の3つがそれぞれ別に動くことがあるのだ。
騎士を倒しても馬と武器が個別で襲ってくる。倒すためには三体を確実に倒さないといけない厄介な個体だったので……執事人形や執事メイドとほうきとかモップとか馬鞭が協力し、魔法を使える魔水晶の付喪神が魔法攻撃をしたりと……凄まじい戦闘前線だった。
そんな地獄を、味方は避けたようだが全てを踏みつけて走る馬車。
横から襲ってくるデュラハンをほうきで殴り飛ばす馬車護衛のメイド人形さん。
凄かった………。
『『『ようこそおいでくださいました』』』
『主がお待ちです。こちらへきていただいてもよろしいでしょうか』
「…その前に手持ちの回復薬を渡しておきたいのですがいいですか?」
『…事情はボックスからお聞きしましたか。なるほど人の手が入ってない良きしなですね、ご提供感謝いたします』
-特大ポーション(HP)x120
-特大ポーション(MP)x280
彼等の強さからすると微々たるものかもしれないがそれでも少しでも足しになってくれると嬉しい。
黄金の林檎も取り出したけれど、それは主に渡してくださいと言われ……執事人形のあとをついて行く。
あー、ここでメイド狩りしたなーとか
あー、ここで採掘したなあとか色々な記憶が蘇る、大きな城の地下にドンドン降りていくと……
玉座に座る、2人の吸血鬼の元へとたどり着いた。
『使徒様をお連れしました』
「ご苦労」
『それから使徒様から既に手持ちの回復薬をいただきました。おそらくボックスが事情を説明したものを思われます』
「そうか、必要なもの達に使わせよ」
『かしこまりました』
男性の吸血鬼は吸血王エルダー
女性の吸血鬼は純吸血鬼だったかな。
夫婦のこの2人はいつも一緒で……戦闘も2体同時にだった。片方を倒すとすぐにもう片方を蘇生するので、同時に倒さないといけないミッション討伐系のボスだった。
そんな、強くて何度も通ったボスが目の前にいる。
ーーーーちょっと感動した。
「さて使徒殿よ。急な話であったがわざわざ出向いてくれて感謝する……なんだ?」
感動したが、2人とも…既にボロボロだ。
スっと手を挙げて話を遮るとインベントリから黄金の林檎を2個取り出す。
「お話の前にまずこれを。ここの主人であるあなた方をそのような姿をさせたままでいるなんて申し訳ないです。……システムの不備をお詫び申し上げます」
それを差し出すと……2人の吸血鬼はふわりと微笑んだ。
「あなたの不備では無いのだから、謝る必要は無いわ」
「左様。これは我が城の者を守るための名誉の負傷だ。……だが心遣いは受け取ろう。確かに客人に見せるような姿ではなかったな。みっともない姿を見せたことを詫びる、許せ」
2人とも林檎を食べると…ふわっと身体が光って……ゲームで見た、傷一つない強そうなボスの姿に戻った。




