10『世界危機の真相』
『事態を重く見た私どもも主人も総出で下のものらを守りつつ前線に出ているのですが…その、無尽蔵すぎて魔力が枯渇してしまい押されることが多く……』
「なるほど、そっちが神様の言っていた世界危機の真相だったんですね」
『左様でございます。特に我等不死族は範囲攻撃を持つものが他のエリアに比べて少なく、情けない話ですが特に押されております。ですので他エリアにいらした使徒様には大変申し訳ないのですが緊急事態としてわれらの救助をしていただきたいのです。主に魔力回復方面で』
「それなら言ってくれればポーションを買ってきたのに」
『使徒様は無からポーションを産み出すことが出来ると伺っておりますが?』
不思議そうに言われて、ピキっと固まった。
そうか、そういうことか。
私……採掘してポーションを集めろ、そう言われてるのか。
でも…不死地帯のボスエリアは確か推奨200。
…掘れるかな…。
「……行けますかね」
『ああ、ご安心を。使徒様はまだこの地に舞い降りたばかりで虚弱とは伝え聞いております。そこはわたしどもが何とか致しますゆえ、ご安心ください』
何故安心を2回も言ったの。
何とかの内容がとても不穏で……恐怖しか抱けない。
………少し不安だなあ。ずっとシャードさんに助けて貰っちゃってたから彼がいないことがとても不安になる。しかし…私がポーションを一時的に供給してもそれはあくまで一時しのぎにしかならない。人が成長するのは、まだかなり先なのだから。
「……ちなみに人間と協力してポーションを分けて貰うことは出来ないんですか?人間の作るポーションはとても強力ですよ」
なので根本解決をすべくそんな質問を投げた瞬間
恐怖が全身を包み込んだ。
『……使徒様?ご冗談を。かの者らが虚弱なせいでわたしどもは、非常に、非常に迷惑を被っておりますのよ?人など……見るだけで轢き殺してやりたいですわ…使徒様をお迎えに行くのに、使徒様のご機嫌を損ねないように…神との契約を守って…どれ程我慢いたしましたか……』
殺気。本気の殺気。
臓腑から震える、前にシャードさんに強行軍をされた時の命の危険以上の…殺気。
なるほど、これでは人族との協力なんて無理だ。
私に対する態度がほのぼのすぎて感じなかったが…そういえば付喪神の憑いた馬車…『ホラーオブボックス』はボスエリアを走るレベル200超えの敵だった。
「そ、れでは、無理ですねえ」
『ええ。ああ、ご安心ください。人族は殲滅すべきものですがセーフティエリアや他エリアの手出しは禁止されておりますし、使徒様は完全に別物です。使徒様は神が我らのために使わしてくれた尊き生き物。我らは感謝と敬愛しか抱いておりません』
なるほど、これではシャードさんの命の保証が出来ないはずだ。たぶん、人が作ったポーションの使用も嫌がるだろう。
全力で納得した。でも……これが私のやるべきことでも、彼がいないという事実はとても心細く感じた。




